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親と子の栄冠ドラマ -中学入試体験記-

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我が家の場合

  • 年度:2024
  • 性別:男子
  • 執筆者:
1月の前受校で合格を頂いて、少し心に余裕が持てるかなと思いつつ迎えた2月1日午前の第一志望校。母は校内の保護者控え室では待たずに近くの飲食店で待ち、終了時間間際に迎えに行くと、死んだ魚のような目をした我が子が退場口に現れた。開口一番『史上最悪だった』『終わった』と言い放ち、午後の受験校の近くまで言葉少なげに移動した。落ち込んでいる我が子を励まそうと、お昼ごはんは大好物を食べさせた。すると不思議なもので、気持ちが切り替わってきた。好きな食べ物の力は偉大だった。我が子は夜行性で、夜に頭が働く。朝型に変えようともがいた時期もあったが、結果変えられず。

なので午後の受験校のほうが頭が冴えそうだと予感した。結果、予感は当たり、午前の本命は不合格、午後の学校は合格した。本命の学校の合格発表は本人勇気なく見なかったので、母が見た。『明日やる気がなくなるから、(本命校の)結果は言わないで』と直後に言われていたので、こっそり見た。ただ、本人、本命に受かったら次の日から受験辞めるからね!そのつもりでね!と言っていた。なので本人からすれば結果を知ってる母の挙動から推測していたのか、私が明日の準備を始めたらこんな事を言い出した。『○○(本命校)、不合格だったんでしょ?』と涙ぐんで私を見た。『どうして?結果は言わないでって言われてるから、私、何も言ってないよね?』とトボけると、『だってママ、明日の準備始めちゃってるじゃん?!明日も受験に行くんでしょ?ってことは、○○(本命校)はダメだったってことだよね?』・・・。なるほど、自分で見る勇気はないけど、私の様子から窺い知ろうという。なかなかずるい。

そこまで言われたら仕方がない、と開き直り、『そうだよ、明日も行くよ!自分でも予想してたでしょ?史上最悪だったんだよね?予想通りだよ。』すると我が子はソファのクッションに顔を埋めて、涙した。しばらく1人で泣かせ、少し経った頃に隣に座って声をかけたりしてみたが、涙は止まらなかった。『我慢しないでたくさん泣いていいよ。』と言ってその場を離れた。すると今度は父親が我が子の隣に座ってなぐさめようとした。すると、我が子は『近づいて来るな!部外者が!!!』と悪態をついた。我が家は子どもの受験関係は全て母である私が付き添っていたので、子どもからすると父親は関係ない人と位置付けられていた。父親はその言葉にイラっとしてしまい、子どもに良くない言葉を言い返してしまった。その後、父子バトルが勃発してしまう。『ここでやり合って無駄な労力使わないで、明日の準備しよう!』と子どもには声をかけ、夫には『それじゃ父親というより、お兄ちゃんだよ。まるで兄弟喧嘩になっちゃってるじゃない。今はぐっと堪えて、見守ってあげて。』と伝えた。

翌日2/2は午前だけ受験した。偏差値的には余裕のある学校だったが、昨日の事でメンタルが落ちてしまったのか、結果は不合格。そして迎えた2/3。我が家は2/3の午前ですべての受験予定終了としていた。『よし、泣いても笑っても最後だ!頑張ろう!』と声をかけると、『よっしゃ!頑張ってくる!』と、やる気復活でホッとした。学校に着いて、親と分かれるところでは笑顔も見れた。ここがダメでも、合格をもらってる学校はあるんだから・・・という気持ちで送り出し、その日はただただ子どもの帰りを待たずに、自分の仕事などをしながら気を紛らわせて待つようにした。合格をもらっている学校のホームページを見て、手続き等をチェックし、イメージを膨らませていた。2/3に受けた学校は2/1の本命校とさほどレベルは変わらないし、正直厳しいかな・・・と思っていた、この時までは。そして、ようやく終了時間となり、子どもと事前に約束していた待ち合わせ場所に集合した。我が子の顔は晴れ晴れしく、お茶目に笑いながら『漢字間違えちゃったよ、直せなかった〜』などと、自分で自分のダメ出しを始めた。いわゆる凡ミスというかもったいない間違いがたくさんあったようだ。そんなわけなので、ここも当然落ちるだろうと腹を括っていた私。

迎えた発表時間、すぐにサイトにアクセスせず、トイレに行った。すると、その間に我が子が自らサイトにアクセスしたようだ。私がトイレの中にいると、『おー!合格!!!やったぜー!!!』という声が。『え〜ほんと〜?』と私。我が子の方に駆け寄ると、自然とハグ。2人して『やった〜!』とハグしながらその場で2回転。その夜、父親が帰宅すると、2日前のバトルがなかったかのように、『パパ、いっしょにゲームしよう!』『おー、やろうやろう!』と完全復活。めでたしめでたし!最終日にもらえた第二志望校の合格のおかげで、その後、本命校の事はまったく口に出さなくなる。第二志望校が第一だったかのように、入学を楽しみにしている。

我が子の中学受験は前受け校を含めると4勝2敗という結果となり、大きな2敗のおかげで、1勝のありがたみを痛感できたので、このような結果で良かった、というか、ありがたい。合格をもらえた学校が、ご縁のある学校だし、入学を決めた学校が運命の学校だよ、と、昨年の先輩が教えてくれて、本人も『そういう事なんだね』と言ってうなづいた。
今後も寄せられたドラマを、各カテゴリーに随時アップしていきます。
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