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親と子の栄冠ドラマ -中学入試体験記-

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大きくなったダルマの目

  • 年度:2024
  • 性別:男子
  • 執筆者:
生き物が好きだったため、生物部の盛んな学校を志望したいと思うようになり、日特ではK中学校の講座を受講することにした。12月には受験校を決め、初詣では合格祈願のダルマも購入し、あとは右目を入れるのみだった。

はじめての本番となる1月上旬の埼玉併願校は合格。全敗がなくなったことが素直に嬉しかった。1月下旬の2校目の埼玉併願校も結果は合格。順調に1月を終えた。

2月1日は第一志望のK中学校、午後は併願校を受験。1月受験を経験したとはいえ、本人も親もこれまでとは異なる緊張を感じた。しかし、試験を終えた後の本人は意外とあっけらかんとした感じだった。本人は翌日に備え早く寝たが、親は結果を確認するまで眠れなかった。併願校の結果は合格。これまで3戦3勝。明日のK中学校の合格発表で中学受験を終えられるのではないかという楽観的な考えが頭をもたげた。

2月2日はK大学附属を受験。子どもが受験している間、第一志望のK中学校の結果を見るのは手が震えた。結果は不合格。不合格の可能性も十分想定していたが、やはりそこを目指してきただけにショックも大きかった。すぐに本人に結果を伝えるか迷ったが、結果がわからずもやもやしたままで3日を受験するのもよくないと思い、帰りがけに妻から結果を伝えてもらった。第一志望、初めての不合格、ショックでないわけがなかった。夜は日能研の振り返りのZoomに参加した。不合格のショックや明日以降の受験で不安の中、そこが拠り所になっているように見えた。

2月3日はA中学校を受験。K大学附属は過去問の状況から甘くはないのはわかっていたが、結果は不合格。既に1日午後の併願校の合格はもらっていたため、4日の併願校の受験は迷ったが、当初の予定通り受験することに。帰りがけにK大学附属の不合格を妻から伝えた。昨日に続く不合格。K中学校、K大学附属、A中学校と熱望校の受験が終わった今となっては、もはや気持ちを切り替える先はなかった。その日の夜も振り返りZoomに参加したが、ほとんど何かにすがるような心持だったのだと思う。

2月4日は最後の併願校を受験。親は前日からA中学校の結果が気になり、ろくに眠れなかった。終盤の模試では、K中学校・K大学附属・A中学校といずれも50%以上の結果が出ていたこともあり、3つ受験すれば確率的にどこかには受かるのではという期待があった。K中学校・K大学附属は不合格となり、A中学校が最後の砦だった。本人も手ごたえはあったようだが、結果を見るのはK中学校以上に緊張した。祈るような気持ちでクリックした先に表示されたのは・・・不合格。合格させてやれなかった悔しさ、子どもを思った時の不憫さに、崩れ落ちるほかなかった。もっとこうしていれば・・・と様々な後悔が頭をよぎったが今更どうにもならない。

本人が帰宅すると、A中学校の結果を自分の手で見せることになった。不合格の文字がつきつけられた無慈悲な瞬間、「マジか・・・」ときまりが悪そうにつぶやくと同時に、必死でそのつらさに耐えようとしていた。いてもたってもいられず家を飛び出し走りにいった後、一人で部屋で泣いていた。親もかける言葉などなく、子どもの頭を抱きながら一緒に泣くことしかできなかった。前日は塾に合格の報告ができると思うと話していたが、電話で不合格を伝えた。

受験も終わった5日は小学校に登校。3連敗だったため本人もだいぶ弱気になっていたが、4日の併願校は合格。自信を無くしていた中で、最後に合格をもらえたのは本当に救いになった。思い描いていた結果ではなかったが、これで中学受験は全て終わった。気持ちではまだ終わっていないのに、終わってほしくないのに、時間は冷徹に先に進んでいった。

あれだけ頑張った日特、何年分も解いた過去問。結局、そこで目指した熱望校には合格できなかった。しかし子どもも親も今はそれを受け入れ前に進むしかない。区切りをつけるために塾のテキストやプリント類を片づけた。それらを積み上げると、子どもの背丈以上の高さがあった。小学生がこれだけの勉強をよくやった、結果がどうこうではなく、これに意味がなかったわけがない。やはり受験を通じて大きく成長したのだと実感した。

週末には進学を決めた併願校の説明会があり、制服も採寸した。本人はまだ繰り上げ合格への淡い期待も抱いていたが、親はもう可能性はないと割り切っていた。併願校は生物部も充実している素晴らしい学校で、本人も親も前向きな気持ちになっていた。そして中学受験の悔しさをばねに今後を頑張るという意味も込めて、合格祈願のダルマの右目には小さく目を入れることにした。

翌週の週末、法要があり実家のある遠方の海辺で子どもと生き物探しに夢中になっていた。ふと携帯が震えていることに気づき手に取ると、そこにはA中学校の表示。繰り上げ合格の連絡だった。

後日、子どもの部屋を見ると、ダルマの右目は大きくなっていた。
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