コラム・読み物

コラム・読み物トップへ

親と子の栄冠ドラマ -中学入試体験記-

関連キーワードへ

この記事の関連キーワード
入試直前、今できる事
家族の支え・フォロー

検算できなかった息子

  • 年度:2024
  • 性別:男子
  • 執筆者:
「明日に備えて19:15からの問題解説Zoomの準備しとけ!」
必死の形相で翌日の攻玉社中学校2回目の試験に向けて檄を飛ばす父親の横で、息子が突然スマホを手に素っ頓狂な声を上げた。
「受かったー!」
まさかの2/1午前での第一志望校、攻玉社中学合格。
にわかに信じがたい状況だった。

--時は数日前に遡る。
息子には毎日のように攻玉社の過去問を解かせていたが、何年分の問題をやっても合格最低ラインにはどうしても達しない。
算数の小問のケアレスミスが毎度足を引っ張っていた。
検算も様々な方法を試させたが、いざ問題に向き合うと、つい夢中になって後半の捨て問を深追いしてしまう息子。
せめてその深追いの時間のうち5分でも検算に充ててくれれば・・・。
そんな親の願いは虚しく、何度やっても冒頭の計算問題や小問で同じようなケアレスミスを繰り返してしまう。
このままでは、せっかくの2/1AMを無駄撃ちで終わらせてしまう・・・。
かくなる上はいっそ、土壇場での第一志望校変更もやむを得ないのではないか?
一応提案はしてみたが、息子は頑として聞き入れない。
もやもやを抱えたまま、ついに決戦の2/1を迎えたのだった。

いつも取れない難読漢字がせめて数問だけでも取れればと、入試本番数日前から始めた漢検3級の問題集を時間ギリギリまで読み耽る息子。
試験会場に到着したときには既に遅刻寸前のタイミングだった。
「頑張って!検算忘れるなよ!」
親の最後の声掛けを聞こえてなかったのか、聞こえないフリなのか、息子は振り向きもせずスタスタと教室へと向かってしまう。

試験時間中は息子が計算をケアレスミスする場面が、何度も脳裏をよぎり、試験終了までの数時間が永遠のように感じられた。
そして出迎え。息子いわく、「全力は尽くした。でも予想問題のヤマが外れまくった」という。
毎年大問4で出るため徹底的に対策してきた立体図形の問題が出ず。
理科も重点的に対策していた分野がほぼ出題されず終いだったとのこと。

絶望しかなかった。
かくなる上は午後の学校を確実に取って、明日の2回目に賭けるしかないーー。

そうして翌日に向けて気持ちを切り替え、必死で準備していた矢先に舞い込んだまさかの攻玉社1回合格の報せ。
しばらくの間、何かの間違いではないかと信じられなかった。

後で息子から聞いたところによれば、朝に遅刻ギリギリまでやっていた漢検問題集と全く同じ問題が、漢字の読みで複数出たらしい。
そのおかげで普段は半分程度しか取れていなかった漢字が、9割方取れたとのこと。

そして算数では、ヤマが外れたこともあって、後半の問題を深追いせず、計算問題で1問でもリカバーしようと全問検算しなおしたという。
その結果、1問の計算ミスを発見し、直せたというのだ。
更には小問で、解けずに飛ばしていた問題を試験終了1分前に解けたという。
息子によれば、とにかく必死で解いてたら最後の最後に何かが降りてきたらしい。

それが事実なら、普段よりも合計18点ほどの上乗せ。
過去問で一度たりと合格最低ラインに届かなかった息子でも、合格できたのも十分納得がいく。

それにしても、まさかヤマが外れたことが功を奏するとはーー。
試験本番では、何が起きるかわからないものである。
今後も寄せられたドラマを、各カテゴリーに随時アップしていきます。
  • 前のドラマ
  • 次のドラマ

PageTop