中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

フェリス女学院中学校

2015年07月掲載

フェリス女学院中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.作品を通して、国語や古典を学ぶ方法を身につけてほしい。

インタビュー2/3

美しい日本語を話すことも、国語科の目指すところ

A先生 国語の授業では、入試で問う「読む」「理解する」「考える」「表現する」などの力に加えて、「聴く」「話す」力も養います。「人の話をよく聴く」「美しい日本語を話す」ということを大事にしていますので、教員も丁寧な言葉で授業をするよう心がけています。

先生が丁寧な言葉で話すと、生徒さんの言葉づかいは変わりますか。

B先生 どうでしょうね。教員とは、ごく普通にきれいな日本語で話しますが、下級生が上級生と話す時は、何倍も丁寧な言葉を使うので驚かされます。正しい言葉が使われているかは別として、場面により、言葉を使い分けるということはできているように思います。

A先生 学校は社会生活の訓練の場でもありますから、TPOをわきまえた言葉づかいや立ち居振る舞いを身につけさせることも大切です。国語の授業には、当てられた時に起立して答えるという約束事があります。社会へ出て発言を求められた時に、座ったまま答えると失礼になる場面がありますよね。そういうことがないように、社会に出て恥をかかない程度のことは教えて送り出したいという思いで、生徒と接しています。

フェリス女学院中学校・高等学校 図書館

フェリス女学院中学校・高等学校 図書館

生徒自ら、大切なことを学校生活から学び取る日々

B先生 授業の始めと終わりには、号令をかけなくても、生徒が一斉に立って黙礼し、着席することが、約束事として受け継がれています。英語の授業では英語で簡単な挨拶をします。生徒が一斉に立ち上がるのは、気持ちのよいものです。日々の学習においても教え込むことはしません。自主性を尊重しています。教員がもっている知識を出すのは、あくまでも生徒の知的好奇心を刺激するためです。グループでディスカッションをしたり、個々に考えたりして、意見を述べることも、ごく自然に行われています。

言葉に敏感になる=自分を磨くこと

A先生 古文では、一つの助動詞にその人の気持ちがよく表れていることがあります。例えば、「けり」という助動詞は「気づきの“けり”」といわれるように、「けり」に注目することにより、この人は何に気がついたのか、どんな気持ちなのかがわかることがあります。

敬語のあるなしによっても、その人の気持ちがわかります。生徒も、先生に対して、ある時は敬語を使い、ある時は敬語を使わない。その背景には、その人の立ち位置や気持ちなどがあるのです。言葉というのは、一語にたくさんの情報が詰まっています。言葉に敏感になれば、自分が使う時に、不用意に使うということがなくなるのではないかと思います。「こういうことをここで言ったらどうなるか」を、考えるからです。中高生の間に、なかなかそこまでは到達しませんが、言葉に敏感になるということは自分を磨くことであり、人に対する気づかいにもつながると思います。

フェリス女学院中学校・高等学校 LL教室

フェリス女学院中学校・高等学校 LL教室

すべての教科で幅広い学びを追究

A先生 各教科からのメッセージが掲載されている「フェリスの学び」という冊子を改めて読むと、打ち合わせもなく書いているにもかかわらず、各教科で目指しているところは同じであることがわかります。例えば社会科の「自分の頭で考えることは大事だけれど、一人よがりの考えに陥らないためには、客観的な知識を幅広く身につけておくことが必要」というメッセージは、国語科にも言えます。数学科の「具体的な事柄に潜む本質的な内容を学ぶ」というメッセージは、国語科が大切にしている「言葉をもとにして言葉の向こう側にあることをきちんと読んでいく」ということと一致します。

B先生 そうですね。国語でいえば、教科書に載っている作品は全文ではありません。ごく一部です。ですから、そこだけを読んで授業を進めるのではなく、作者の生涯や、作品が生まれてきた経緯などを補いながら作品を見ていきます。背景を大切にする授業の進め方は、各教科に共通しているところだと思います。授業中に教科書を使わないこともありますから、試験前に教科書を読むと「授業で学んだ一部しか書いていない」と気づくことがたくさんあると思います。教科書に書いてある内容を無視しているわけでもありませんし、すべてを教えなければいけないとも思っていません。非常に自由にとらえています。

日々の学習を通して方法論を学んでほしい

A先生 学問に対する方法論というのでしょうか。学習内容にとどまらず、真理を得るためのプロセスをきちんと身につける学び方をして欲しいと思っています。

古典で言えば、授業で扱う文章は、訳も含めてよく理解できるけれども、文章が変わり、初見の文章になると手も足も出ないということがよくあります。それではいけません。例えば「源氏物語」を題材に学ぶ時、作品そのものを味わうことも大切ですが、「源氏物語」を読むことにより、古典を学ぶ方法を身につけてほしいのです。それは恐らくどの教科でも同じだと思います。

数学でも、同じことを問われているのに、Aの問題は解けたけど、Bの問題は解けないというのでは困るでしょう。古文以上に数学は、真理を得るためのプロセスを教えていると思うので、迫り方を習得してほしいのです。

フェリス女学院中学校・高等学校 校舎

フェリス女学院中学校・高等学校 校舎

辞書を引く力はつけてきてほしい

A先生 言葉に対する感覚を磨くには、基礎的な作業を怠らないことも大事です。身近では、辞書に親しむことです。なんとなくその言葉を受け取るのではなくて、常に自分の右に辞書を置き、少しでも気になったら辞書を引く習慣をつけてほしいのです。これは多分英語でもそうだと思います。

B先生 授業に辞書を持って来ないのは、裸で外を歩くことと同じ。「無防備で危ないからやめなさい」と言っています。忘れてしまってもいいのです。何回か調べているうちに、必要なものは身についていきますから。

A先生 たしかに、「この助動詞の意味はなんですか」と聞いた時に、もちろん覚えていれば素晴らしいけれど、たとえ覚えていなくとも、そのつど正確な意味を調べて理解すればいいのです。その積み重ねにより、自分の中に溜まっていくと思います。

B先生 入学までに、辞書を引く力はつけてきてほしいですね。ただ、電子辞書を買うのは待ってほしいです。電子辞書は便利ですが、中学生のうちは紙の辞書で「寄り道」を楽しんでほしいのです。一つの語を引いている時に、挿絵に目が留まったり、思いもよらない単語と出会うという経験が、語学的な感覚を育てます。学問には遊びの部分も必要なのです。

勉強は、教科書をこなせばいい。問題が解ければいいということではありません。広い視野でいろいろなものを見たり、聴いたり、受け止めたりしていくことを大事に学んでほしいですし、そういう学びができる学校がフェリスだと思います。

卒業後の進路も多様多彩

進路指導はどのように行っているのですか。

B先生 数年前に進路指導部ができましたが、中心は生徒と担任です。生徒一人ひとりの興味・関心、あるいは適性などもありますが、まず人間として、どう生きていきたいか。自分らしく生きることを前提に、フェリスを卒業後、どういうことを学びたいのか。深めたいのか。そのあたりを担任と話しながら決めていきます。

国公立理系・文系、私大理系・文系というようなコース分けはしていません。カリキュラムも緩やかです。高2から選択科目は理系、文系に分かれますが、高3の理系志望でも文系の必修科目があります。選択科目の選択においても、必要に応じて、教科や担任が相談にのりますが、生徒の自主性を尊重しています。

進路における特徴はありますか。

A先生 多様な進路です。パンフレットには大学名しか記載していませんが、本当に多彩な学部にわたっています。毎年、すべての学部が並び、よくまあこれだけ多岐に亘るものだと感心します。「みんなが医学部に行くから、私も目指す」ではなくて、自分がなにをしたいかを、自分で考え、明確にすることができていると思います。そこがフェリスのいいところだと思います。

フェリス女学院中学校・高等学校 クリスマス礼拝(点灯式)

フェリス女学院中学校・高等学校 クリスマス礼拝(点灯式)

大学入試は通過点

A先生 高3の選択科目は大学入試を前提にしていますが、だからといって、先ほどお話しした小論文と同じように、テクニックを教えるわけではありません。入試問題を通して、どう教科の内容にアプローチしていけるかを常に考えています。

B先生 フェリスが、それぞれの教科で身につけてほしいと思っていることは、ある意味、大学入試を突き抜けています。大学入試を突破するための力を身につけることは当然求められますし、制度が変われば、それに対応していかなければなりませんが、ベースとなるフェリスでの学びは変わりません。大学入試制度が変わるからといって、カリキュラムを大幅に変えなければいけないということはないと思います。

インタビュー2/3

フェリス女学院中学校
フェリス女学院中学校フェリス女学院の教育理念“For Others”は、誰か特定の人によって提案されたものではなく、関東大震災後に、誰が言い出すともなくキャンパスに自ずとかもし出され、フェリス女学院のモットーとして自然に定着したものだということです。フェリス女学院では、“For Others”という聖書の教えのもと、「キリスト教信仰」・「学問の尊重」・「まことの自由の追求」を大切にされています。そして、生徒一人ひとりが、6年間の一貫教育を通して、しなやかな心を育み、つねに与えることができる、“For Others”の精神を持った者へと成長することをめざしています。教育方針は、「キリスト教信仰」「学問の尊重」「まことの自由の追求」です。校章には、盾に創設時の校名Ferris SeminaryのFとSの二文字がデザインされています。盾は外部の嵐から守る信仰の力を表し(「エフェソの信徒への手紙」6章16節)、白・黄・赤の三色は信仰、希望、愛(「コリントの信徒への手紙一」13章13節)を表しています。
外国人墓地や歴史的な建造物の多い異国情緒あふれる地域にある、落ち着いた雰囲気の学校です。創立者メアリー・E・ギターがこの地に開学して以来の歴史が、校舎を包む木々などから感じられます2000年の創立130周年において新校舎建築となり、2014年には新体育館、2015年夏には新2号館が完成しました。中高の図書館には、88,000点を超える蔵書、視聴覚資料や雑誌、新聞などがあります。授業の課題制作や調べものや自習のほか、昼休みや放課後にも多くの生徒が利用しています。書庫は開架式で、図書を手に取って自由に選ぶことができます。
クラブ活動がたいへん盛んで、同好会、有志も合わせると約60の団体が活動しています。中学生では、ほぼ100%の生徒がクラブに参加しています。ほとんどのクラブが中1から高2まで一緒になって活動し、同学年だけでなく、先輩・後輩という他学年との人間関係が築かれています。中3からは、クラブ以外でも、気のあった仲間同士で同好会や有志を結成して文化祭に参加するなどの活動もあります。