中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

フェリス女学院中学校

2015年07月掲載

フェリス女学院中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1.教科の枠にとどまらず、広い視野に立って多角的に学ぶことを意識しよう。

インタビュー1/3

総合力を問う問題

出題意図からお話いただけますか。

A先生 加藤秀俊の文章の一部を出題していますから、まずはこの文章を正しく読めているか。そこに書かれている内容を理解しているか。そして文章に書かれている内容をもとに、自分の頭で主体的に考えることができているか。さらに、自分が考えたことを自分の言葉できちんと表現できるか。それらの力を総合的に見たいと思って出題しました。

B先生 入試では文字を読むことで力をはかります。つまり目からの情報になりますが、授業では目からの情報に加えて、耳からの情報、実験などではさらにさまざまな媒介から得た情報を、自分で正しく理解する。そして考え、ある時は質問、ある時はレポート、ある時は口頭と、さまざまな方法で、自分の言葉を使い自分の考えを正しく表現していく。その繰り返しが、学力や教養の基礎になると考えています。

まさに入学後の学びが反映された問題ということですね。

B先生 どの教科においても、まずは正しく聴き(読み)、自分で考え、関心をもって、それを深める取り組みを行っていますので、受け身では済まされません。

フェリス女学院 全校礼拝風景

フェリス女学院 全校礼拝風景

多角的に学ぶことを大事にしている

受験生に数多く選ばれた教科、印象に残っている組み合わせなどがあれば教えてください。

A先生 本当にいろいろでした。

「2つ以上」ということは、「すべて」でもよかったのですか。

B先生 極端なことを言えばそうですね。

A先生 国語科に限らず、どの教科でも「自分で考える力」「解決していく力」の育成を目指しているので、生徒が自分から学ぶ姿勢はもちろん、教科の枠にとどまらず、できるかぎり広い視野で多角的に学ぶことを意識しています。もちろん、そのためには基礎的な力をつけておくことが必要なことは言うまでもありません。

B先生 実際の授業では、教科の枠を外すことはできませんが、高校生になると、国語が国語だけではない。理科が理科だけではない。いろいろな教科で学んだことが、いろいろなところで関連しているということを実感するようになります。高1では研修旅行で広島に行きます。原爆というと、その日本史や世界史で投下当時の背景を学ぶことが多いですが、本校ではより詳しく、物理の授業で原子爆弾の成り立ちを学びます。また、英語の授業で読んだ英語という言語の成立過程についての理解が、後の世界史の授業の中で深まり、英語の成り立ちが世界史そのものであることを実感するのです。

小論文は書き方よりも中身が大事

A先生 私は国語の教師なので、生徒から「小論文の書き方を教えてください」と言われることが多いのですが、書き方だけを身につけてもどうしようもありません。小論文を「こういう形でこう書きなさい」と教えても、論ずる対象に対して深い理解がなければ、内容のある小論文は書けないからです。

B先生 本校には、どの教科にも独自性のある選択科目がたくさんあり、高2、高3で書く力をつけたい生徒は、「国語表現」という授業を選択します。そこで、おもしろい文章を書く生徒、いきいきとその授業に取り組む生徒の成績がいいかというと、必ずしもそうではありません。それまであまり目立たずにいた生徒が豊かな表現力を発揮することもあります。入学後に学んだことをきちんと理解し、自分なりに咀嚼して、吸収することができていれば、それが文章を書く中で発揮されるのではないかと思います。

A先生 「国語表現」の狙いは、文章の書き方を習得することではなく、表現するために必要な力を総合的に養うことです。

B先生 入学してから、国語科ではもちろん、さまざまな教科で書く機会が設けられ、基本的な力は備わっているはずなので、「国語表現」ではくり返し書くことで、表現するために必要な力を磨きます。

フェリス女学院中学校・高等学校 中庭

フェリス女学院中学校・高等学校 中庭

レポート作成は様々な科目で

具体的にどのような取り組みをされているのですか。

A先生 国語科では、自ら主体的に学ぶ姿勢を身につけることを目的に、学年ごとに研究課題を出しています。中1、中2では、読書感想を書いた「読書ノート」、中3からは一人の作家や一つの作品を掘り下げる「作家ノート」を作成します。本の感想をメモすることから始めて、徐々に文章を書けるようにしていくので、書くことが苦手な生徒も取り組みやすいと思います。もちろん調べたことを、そのまま書いていいというわけではありません。必要な情報を集めて、考えて、自分なりの処理の仕方を習得していきます。

B先生 理科では実験・観察をたくさん行いますので、レポートもたくさん書きます。社会科では夏休みに、調べてレポートにまとめる課題を出しています。しかし図書館で資料調べを行い、レポートを書くのは保健の授業が最初です。国語科でも図書館の使い方を指導しますが、授業中全員で図書館へ行き、図書館の資料から自分で取捨選択をして、調べた内容をもとにレポートを書きます。保健は生活に密着していますし、他教科とも重なる内容がたくさんありますので生徒が自分の関心や、問題だと思っている事柄を掘り下げてレポートを書くには、取りかかりやすい分野だと思います。

書くことが苦手な生徒さんには、どのような指導をされるのですか。

A先生 例えば「読書ノート」のコメントにアドバイスを加えるなど、一人ひとりの力を見極めて、個別にやりとりをしています。国語だけでなく、他の教科でもそのようにしていると思います。

自分らしさを出せる問題になった

この問題は、いろいろな書き方ができます。そのため、入試が終わった後に「こう書けばよかった」と悔やんだ受験生がいたかもしれません。入学した今、もう一度書く、というのもおもしろい試みかもしれません。

B先生 たしかに、今の中1が中学を卒業する時、あるいは高2の終わりあたりに、「フェリスに入っていろいろな科目を学びました。その科目を2つ以上融合させて、どんなことを学んできたか。これからどんなことを学びたいかを自由に書きなさい」と、書く機会を与えたらおもしろいかもしれないですね。小学校よりも科目数が増えて、いろいろなことを学んでいますから、入試の時よりも深い文章が書けるかもしれません。

これは私見ですが、入試は、問題に取り組む中で、新たな気づきや学びにつながるよい機会です。単に回答出来たかどうかではなく、入試問題自体からなにかを学べたら良いと思います。この問題は受験生が自分らしさを非常に出せる問題になったと思います。

フェリス女学院中学校・高等学校 校舎

フェリス女学院中学校・高等学校 校舎

インタビュー1/3

フェリス女学院中学校
フェリス女学院中学校フェリス女学院の教育理念“For Others”は、誰か特定の人によって提案されたものではなく、関東大震災後に、誰が言い出すともなくキャンパスに自ずとかもし出され、フェリス女学院のモットーとして自然に定着したものだということです。フェリス女学院では、“For Others”という聖書の教えのもと、「キリスト教信仰」・「学問の尊重」・「まことの自由の追求」を大切にされています。そして、生徒一人ひとりが、6年間の一貫教育を通して、しなやかな心を育み、つねに与えることができる、“For Others”の精神を持った者へと成長することをめざしています。教育方針は、「キリスト教信仰」「学問の尊重」「まことの自由の追求」です。校章には、盾に創設時の校名Ferris SeminaryのFとSの二文字がデザインされています。盾は外部の嵐から守る信仰の力を表し(「エフェソの信徒への手紙」6章16節)、白・黄・赤の三色は信仰、希望、愛(「コリントの信徒への手紙一」13章13節)を表しています。
外国人墓地や歴史的な建造物の多い異国情緒あふれる地域にある、落ち着いた雰囲気の学校です。創立者メアリー・E・ギターがこの地に開学して以来の歴史が、校舎を包む木々などから感じられます2000年の創立130周年において新校舎建築となり、2014年には新体育館、2015年夏には新2号館が完成しました。中高の図書館には、88,000点を超える蔵書、視聴覚資料や雑誌、新聞などがあります。授業の課題制作や調べものや自習のほか、昼休みや放課後にも多くの生徒が利用しています。書庫は開架式で、図書を手に取って自由に選ぶことができます。
クラブ活動がたいへん盛んで、同好会、有志も合わせると約60の団体が活動しています。中学生では、ほぼ100%の生徒がクラブに参加しています。ほとんどのクラブが中1から高2まで一緒になって活動し、同学年だけでなく、先輩・後輩という他学年との人間関係が築かれています。中3からは、クラブ以外でも、気のあった仲間同士で同好会や有志を結成して文化祭に参加するなどの活動もあります。