学校名に込められた思い

  • Vol. 1535 : 2017/09/23

光塩女子学院中等科女子校

よく耳にする「子どもたちの個性を大切にした教育」を行っている学校。
でも、子どもたちの個性を大切にするってどういうことなのでしょうか?どんなことをしたらそれぞれの個性を大切にできるのでしょうか?個性を大切にするって…
改めて考えてみると…すぐに答えるのは難しいかもしれません。

先日、杉並区にある光塩女子学院の卒業生にお話を聞く機会がありました。
光塩女子学院は、JR高円寺駅から閑静な住宅街を抜けたところにある、スペイン系カトリックの学校です。
「光塩」の校名は、聖書に登場する「あなた方は世の光、あなた方は地の塩」に由来しています。
「生徒一人一人のあるがままの姿が神様に愛されていて、他の誰にも変わることのできない価値ある存在である」というのが教育理念の根底にある学校です。


そのため、光塩では生徒一人一人が「わたし」がかけがえのない大切な存在であることに気がつき、理解をした上で「わたし」と同じように他の人もまたかけがえのない存在であることを自覚できるような環境を整えています。

例えば『共同担任制』。
光塩女子学院では、1クラスにごとに担任の先生がいるわけではありません。1学年約150人の生徒に対して5~6人の先生が学年を受け持つ、といった独自のスタイルをとっています。こうすることによって、多くの先生が生徒に関われるので「わたしの先生」が1名ではなくたくさんいる、その人たちから認められているという安心した中で、自分の価値に気付くことができる環境を創っているのです。
学校では「個人面談」の機会があります。
毎学期1回ずつ、生徒と担任の先生、保護者と担任の先生がそれぞれ個別に面談を実施するそうです。卒業生のお話しでは中学1年生の1学期の頃の面談が印象的だったそうです。

「中学1年生になって、初めての面談。学校生活の楽しいことや少し悩んだことなどについてお話ができる機会でもあったので、とても印象に残っています。初めての中学生活の中で、頼れる先生がいると改めて実感できることや、必要なら複数の先生方が同席して面談をすることもできる。ということができるのも光塩らしいと思います。」

子どもたちにとって、身近に頼れる「先生」がたくさんいる環境。その中で自分自身が大切な存在だと気が付けるというのは、とても素敵だなと思いました。

また校舎も魅力が満載です。
校舎には太陽の光が中学1年生の教室がある1階まで太陽の光が差し込むように仕掛けがしてあるそうです。木のぬくもりをかんじながら、ピンクやブルーのスモック(制服を大切に切るために着用するそうです!)を着た生徒たちが、授業中は真剣に、休み時間は楽しく過ごすことができる、暖かな環境が整っています。
校舎にはマリア像が置いてあり、そこに陽が当たっているのを見ると、心穏やかに過ごすことができるともお話ししてくれました。

授業にも光塩らしさがあふれています。
中学生の倫理の授業では、学校にいるシスターが学年ごとのテーマにそって「社会の中での自分の使命を自覚できるように促すための授業」を展開します。
これも学校に普段からシスターがいるからこそできる、光塩ならではの授業です。

このように光塩女子学院は自分自身を見つめ、認める機会がたくさんある学校です。
今回のお話の中で、

「自分のかけがえのない価値を知っているからこそ、自分と同じ価値のある他者を認められる。そして社会での自分の使命を知っているからこそ、それに向けて自分の力を伸ばし、奉仕ができるとシスターから言われたことがあります。そのための力を養える環境が光塩だと思います。」

この卒業生の言葉がとても印象に残りました。
それは、生徒自身だけでなく先生方も、保護者の方も、学校での行事や関わりを通してお互いの「ありのままの存在」を認め合っているからこそ養える力です。
「個性を大切にする」というのは、決して自分勝手に思いのままに過ごすことではなく、自分も他者も同じ価値ある存在であることを知ったからこそ、できることなのかなと感じました。

「そのままのあなたがすばらしい、かけがえのない存在」であるということを自覚できる。
それが光塩女子学院の「子どもたちの個性を大切にした教育」です。
ぜひ一度足を運んでみてください。

ST

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