「みんなでやるから、みんなで考えるから続けられるんだよ。受験なんて、一人でできっこないんだよ」
ある4年生の男の子が5年生になるにあたって、塾を続けるのか悩んでいました。
大好きなサッカーで、セレクションの受験を勧められたのです。
光栄なことです。
でも通れば、今よりもっと忙しい一週間が始まるのでしょう。
これまでの1年間、サッカーと通室はなんとか両立できてきました。
でもテストの類はいつも後日。
一週間のスケジュールだって楽ではありませんでした。
「さらにサッカーの日が増えるのか…」
「すると、後日テストも受けられないし…」
何度も何度も逡巡したことでしょう。
家族でも話し合ったのでしょう。
それでも答えが出せない。
彼はサッカーが大好きなのです。
そんなことは、家族も我々スタッフも全員知っています。
だから、一つだけみんなで決めたことがあります。
考える材料を渡して、決断は本人に預ける。
ある日、母が日能研にやってきました。
「感動的なことがあったんです」
「なんですか?聞かせてくださいよ!!」
「うちの兄が…」
で、冒頭の科白。
彼の兄は芝中の2年生。
学校には一目ぼれ。
一途に入学を熱望していました。
日能研のR4には遠く10以上及ばない偏差値。
憧れのままで終わってしまうかもしれない、中学受験。
兄は、そういう境遇の経験者だったのです。
「合格しました!!」という報告を受けたとき。
「うそっっっ!!!!!!」というあるまじき反応を繰り出したことを、いまだに鮮明に思い出します。
2月1日が不合格だったおり、表情一つ変えずに兄はこう言いました。
「2次があるから」
芝の校是に「共生(ともいき)」があります。
兄が、その本質を心の底から理解し得ているのかは定かではありません。
いや、おそらく「理解」とは程遠いのかもしれません。
しかし芝生全体に通底するこの概念は、既に心に浸潤しはじめているのでしょう。
学校生活のあらゆる場面で、先生方の放たれるあらゆる言葉に、その魂が宿っているのです。
学校を選択する際、進学実績などのデータに目を奪われてしまうことがあります。
しかし一方で、学校を選択するということは「生き方を選択すること」なのだ
ということも忘れてはならないのです。
改めて、大切なことを教わった瞬間でした。
男子校をお考えのみなさん。
是非芝をご一考あれ。
さて、4年生の彼の決断や如何に…だって、サッカーにだって兄の科白は当てはまるしなぁ…
蛇足ですが「芝生」は「しばふ」ではなく「しばせい」ですので…
ペラペーラ