学校改革

  • Vol. 640 : 2011/10/24

海城中学校男子校

一期一会 海城 学校改革

1891(明治24)年の創立なので2011年で120年を迎えました。そしてさかのぼること20年前の創立100年を機に第2改革を進めてきました。20年前といえば、1985年のプラザ合意以降、たった1年で1ドル250円から150円と急激な円高になり、そのままバブル景気へ向かいいまのように80円割れを起こしました。そのバブルがはじけたころから改革元年として新しい海城の歩みが始まったわけです▼俗にいう、「失われた10年ならぬ20年」という時間は、そのまま海城の改革の歴史と付合するのです。成長期を終え、成熟した社会において、まったく新しい時代に人材として活躍して欲しい。基本的には衣食についてはほぼ一定の水準に到達し、そこから先は何を持って幸せとするかが人によって異なってきています。価値観が非常に多様化した社会となったわけです。もはや何を前提とするかが違ってきているのです。海外などはいうまでもありません▼そんななかで海城が改革を進めてきたほんの一端をうかがう機会に恵まれました。お話し下さったのは、今春、教頭に就任された中田大成先生です。たとえば、7年前より実施しているプロジェクトアドベンチャー(PA)。入学してすぐに実施するそれは、たとえばクラスの仲間が丸太のうえで一切話さずに生年月日順に並びかえるというプログラムがあります。足元を気をつけたりしながら、身振り手振りで一生懸命工夫するわけです。この体験を通して自分はもちろん、仲間も大切にすることを学びます。人には、背の高さ、体重等々さまざまな違いがあるが、そのこと自体は重要ではなく、むしろ場面場面によってさざまざな価値を生み出すんだということを学ぶわけです。そして体を動かした後は、ふり返りをしうまくいったこと、いかなかったことなどを話し合い、言葉にし文字にし、それを一般化して学校にもどったときのクラスのなかでいかすことにつなげています▼これまでの系統学習だけでなく、答えが一つとは限らない、協同することで1+1が2以上になることを体験することで、自分、相手、そして仲間を大切することの重要性を学ぶことができる。それが海城の教育の特徴の一つです。

教室スタッフ/吉村貫一郎

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