白百合の園には何がある?

  • Vol. 114 : 2010/05/05

白百合学園中学校女子校

私学を訪問し、いろいろな先生方のお話をうかがうなかでよく思うのは「○○をやっています」「○○をさせます」という実行それ自体以上に、「<○○を考えて><○○という目指すところを意識して>子どもたちとともにあります」という、子どもたちと向き合う人たちの姿勢の大切さです。
多感な時期といわれる中1~高3という年ごろに、よき道に導こうとする気持ちを持った、配慮ある大人のなかに育つ機会を持つこと。それ自体が私学進学への魅力なのかもしれません。

まず、白百合学園の校長先生のお話のなかで「人を耕す」という言葉が印象に残りました。自己の確立を目指す過程でさまざまなことに触れながら成長し、同時に他者を尊重する心をはぐくみ、さらに他者の幸福に関われる人間になるような教育を目指していることを「人を耕す」と表されたこと。その行く先の「豊かさ」を祈る気持ちと自然につながり、心にしみました。

白百合学園の校訓は「従順」「勤勉」「愛徳」
その一つである「従順」などという言葉を聞くと、私などはちょっとぞくっとします(偏見です)。
しかし、白百合学園の「従順」には次のような説明があります。
「従順……真の自由を生きるよろこび……善に反することを断る勇気/よりよいものに向かっていく/自分の役割を責任を持って果たす(一部分)」
これらの言葉から、白百合学園で使われている「従順」は「順を追って従う → 通らぬ理を行なわない → 正しい道を歩む」といった意味で使われているのであろうかと思います。私自身がこれまで持っていた「従順」とは違ったイメージの言葉として出会えたのは新しい発見でありました。

白百合学園を少しでも知っていると、付属の小学校があることから、それによって子ども同士や保護者同士の関係の濃さに違いがあるのではないか(くだけていえば、「あとから入っていくことになるけど、うまくやっていけるのかしら?」)と感じる方もいると聞きます。その点を先生方にお聞きすると、「そもそも保護者の方が学校などに集う機会がそれほどないんですよ(授業参観・発表会などで年に数回)」とのこと。また、家庭間の付き合いについても「中学生ともなると保護者と子ども、それぞれが各自で行動するので、それもあまりないようですよ」とのこと。むしろ、小学校から進級してくる子どもたちにとって、新しくやってくる仲間たちは魅力的なようです。中学校から入学することへのこちら側の心配以上に、迎えてくれる人たち(子どもたち・先生たち)の期待は大きく膨らんでいるようです。

最後に一つ。
白百合学園のHPをのぞくと、制服のように見えないもの(体育着でなく)を着ている少女の写真がいくつか掲載されています。これは、制服の上に着用する「タブリエ」という割烹着のようなものです。私はこれを、とっても好きになりました。制服を汚さない配慮ということですが、年ごろの女の子にはダブっとした上着は、行動するにも都合がよく、おしとやかなイメージを持つ方が多い白百合に、じつは元気な子どもたちが花開かせていることを実感しました。

教室スタッフ/ぽにょ

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