文・武・芸をバランスよく

  • Vol. 113 : 2010/05/04

桐蔭学園中等教育学校男子校

桐蔭学園へのアクセスは、おもに小田急線柿生駅、田園都市線青葉台駅・市が尾駅・あざみ野駅などからバスで約15分。また、JR中山駅からバスでも通学することが可能です一学年600人以上が在籍する、国内有数のマンモス校ですが、40万㎡という広大な敷地と、白を基調とした明るい建物が、「マンモス校」という言葉のイメージからくる、どこかごみごみした感じを見事に払拭してくれました。校舎内は広い窓ガラスからあたたかな光が差し込み、とても気持ちがよかったです。また、各教室はすべて、生徒の背面に窓が設置され、生徒たちがぼんやり景色を眺めることなく、学業に集中できるための工夫が施されているそうです。

ところで、学業というと、桐蔭学園は非常に面倒見のよい学校であることでも有名です。朝は始業時間から授業開始までの約20分の間、毎日「学習カード」を記入させ、一人ひとりの学習状況を担任が把握すると同時に、コメントを通じて生徒たちとのコミュニケーションも図っています。授業は「上位は鍛え、中位は伸ばし、下位は育てる」という理念のもと、学校創立当時より能力別教育を行っています。高校生に上がるとさらにコースが細分化され、各人の希望進路に合わせたクラス編成となり、難関私立大学や国公立大学への合格に力を入れている様子がとてもよく伝わってきました。そして定期考査では毎回「到達目標」を設け、未到達者には理解するまで補習・追試・課題提出という徹底ぶり。下位の生徒も、決して見捨てたりはしません。この「能力別教育」と「到達度教育」こそが、きめ細かい個別対応の授業を可能にしていると、学園の先生。

もちろん、勉強ばかりやっている学校なのかというと、そういうわけではなく、全国大会で優勝経験のあるサッカー部をはじめとする運動部など、全国的に有名な部活がいくつもありますし、日産スタジアムを借り切っての体育祭や、1800人収容のメモリアルホールでの演劇・映画鑑賞などは、まさにマンモス校ならではのスケールの大きさといえます。このように文(学習)・武(クラブ活動)・芸(情操教育)をバランス良く取り入れることにより、ただ志望大学に合格して終わり、ではなく、社会に出てからも活躍できる人材の育成を目指しています。

この学校訪問会に行くまでは、「人数が多い学校」「面倒見がいい学校」という漠然としたイメージしかありませんでしたが、今回、私がとくに驚いたのは、中1と高1の夏に、担任の先生が、生徒全員の家庭訪問をするということです。全国の私立中学を見ても、家庭訪問を行う学校はかなり珍しいのですが、桐蔭学園ほどの規模を持ちながら、ここまで個々に関わろうとする学校は、ほかにないといっても過言ではありません。こういった個々への取り組みが「きめ細かい個別対応」という言葉に、より説得力を持たせているように感じました。

逆説のようですが、といい添えたうえで、先生は最後にこうおっしゃいました。
‘人数が多いからこそ、個々を大事にできる――。’
ぜひ、直接学校に足を運んで、そんな雰囲気を肌で感じ取っていただけたらと思います。
          

教室スタッフ/U

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