中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

東京都市大学付属中学校

2016年02月掲載

東京都市大学付属中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.文章を読んで、考える、まとめる、発表する力を育む6年間が待っている!

インタビュー2/3

内部進学する生徒は10名以下

田中先生 武蔵工大付属の時代は、8割以上が武蔵工大に入学していましたが、現在、内部進学する生徒は5名程度です。文系で、東大や一橋を目指す生徒も増えてきていますので、付属校というより、進学校という意識に変わってきていると思います。それこそ20年ほど前は、文系の生徒は非常に少なかったですが、今は半数近くいます。ただ、伝統として理系の実験設備やカリキュラムはしっかり整っていますので、理系が得意な生徒が集まる一方で、国語が嫌いな生徒もいて、どう克服させるかが課題になっています。

広報部主幹/桜井利昭先生

広報部主幹/桜井利昭先生

読んでまとめて発表する力を強化

課題克服への取り組みがあれば教えてください。

田中先生 中学では、2年前から、新聞の記事や一面のコラムを読んで、まとめて、関心のあることをホームルームで発表する、ということをしています。高2、高3でも「天声人語を50字でまとめなさい」というと、要旨をとらえきれず、読むことがまだまだ足りていないと感じますので、早い時期からそのような取り組みをすることで、良い方向へ変わることを期待しています。

また、理科では、実験の後に必ずレポートを書かせています。実験は理論を確かめるという位置づけですので、理論と合っているかどうかをまとめることが課題になります。

考える力と書く力を養う中期修了論文

田中先生 学校の取り組みとしては、高1の締めくくりとして、論文(中期修了論文)を書かせています。進んでいる学校と比べれば、まだまだだと思いますが、好きなテーマを選んで、フィールドワークや文献調査などを行い、4000字以上の文章にまとめます。それは大きいと思います。

指導はどなたが行うのですか。

田中先生 高1の担任と、担任を持っていない教員が行います。この中期修論は、ゼミ形式にしました。7、8名のグループに教員が1名付きますので、書いて提出するだけでなく、相互発表も行っています。質問してもらうので、調査が不十分なところや、きちんと表現できていないところは突っ込まれます。

生徒さんは、評価に対して積極的ですか。

田中先生 そうですね。自分のことはさておき、突っ込んで聞いていますね(笑)。

それは、発表をよく聞いているということですよね。

田中先生 そうですね。どういうふうに結論にもっていくのか、興味をもって聞いていると思います。

東京都市大学付属中学校

東京都市大学付属中学校

クエストカップにもチャレンジ

田中先生 情報の授業では、クエストエデュケーションプログラムを導入。1年間通して、ミッションに取り組み、その成果を発表するクエストカップにも出場しています。実社会とつながる教材なので、興味をもって取り組み、全国大会にも8年連続で出場しています。

プログラムを導入したのはいつ頃ですか。

田中先生 この校舎ができたのが2006年。その後、すぐですから、導入して10年近くになります。

その成果が論文を書く力につながるのでは?

田中先生 そうだといいのですが、なかなか現れませんね。ただ、推薦やAOなどで大学入試を行う生徒に対して論文指導をしている時に、クエストカップの取り組みを交えて、「あの時のように、結論へのもって行き方を工夫できないか」などと言うと、飲み込みはいいです。そういう意味では役立っているかもしれません。

言葉を介さなければ何もできない

男子校ですが、文章を書いたり、発表したりする機会が多いですよね。

田中先生 我々は、進路を文系か理系かで考えてしまい、文系といえば理系ではない、理系といえば文系ではない、という発想をしがちですが、本来、そうではないですよね。理系でも、文章を読んで、理論を理解し、自分で研究をして、新しい理論を立てていくというように、言葉でしかできないことがたくさんあります。理系に進んでも、言葉を介していかなければいけないので、「国語が苦手だから」という理由で理系を選ぶと、その先が心配になります。

文系でも、我々が大学受験をした頃とは、がらりと傾向が変わっていて、大学入試では近現代の哲学が出ます。誰かが、どこかで考えていることを言葉にしただけなので、「ああそうか」と思ってくれればいいのですが、苦手意識があると、難しく感じてしまうので、小学生のうちから本を読むことに親しんできてほしいと思っています。

東京都市大学付属中学校

東京都市大学付属中学校

道を拓くには興味と言葉が基礎になる

田中先生 東大、一橋大、東工大などの難関大学に行ってほしいという思いがありますので、キャンパスツアーなども行っています。東工大へ行ったら、対応してくださった方が本校の卒業生で、DNAから進化を研究されている、第一人者だそうです。目指したきっかけは本校の授業(生物)で、学校にある進化の本は、すべて読んだそう。その話を聞いて、やはり興味と、言葉を介して成果を広げていくことが、文系、理系を問わず、基礎になるのだと思いました。

映画監督の周防正行さんも本校の出身です。担任やクラブの顧問をした先生によると、中学時代に肘を壊して野球ができなくなり、本を読むことに時間を費やしたそうです。それが、その後の人生に役立っていることは、容易に想像できます。

インタビュー2/3

東京都市大学付属中学校
東京都市大学付属中学校平成19年に新校舎が完成し、平成21年に武蔵工業大学付属中学校・高等学校から東京都市大学付属中学校・高等学校へ改称された。本校で掲げる「誠実・遵法・自主・協調」という4つの校訓には、豊かな知性を身につけるとともに人格を磨き、高い次元で社会に貢献できる人間に育ってほしいとの願いが込められている。東京都市大学への進学を希望する場合は、「付属進学制度」により進学ができるが、進学の資格を有したまま国公立大(前期)を受験することも可能である。さらに、慶應義塾大、早稲田大、上智大、東京理科大、明治大、青山学院大、中央大、学習院大、東京薬科大、昭和薬科大、等の他大学推薦入学もある。
大学進学を通過点と位置付け、将来を見据えた進路指導が行われている。中2の9月にキャリア教育の一環として行われる東北地方での農業体験。稲や野菜の収穫から牛の世話まで、農家の人々と触れ合うことにより、職業観と食に対する理解を深める。中3の8月に行われる企業研修では企業別の事前学習を経て、生徒自らアポイントを取り生徒だけで企業を訪問する。
カリキュラムの特徴としては、前期、中期の高校1年生までは主要3科目を中心にバランスが考えられており、理科の実験では、中学1~3年生の科学実験の授業で、各学年で年間20項目近くの実験を行っている。また、1クラスを2分割し、20人前後の少人数で実験を行うので、よりきめ細かく具体的に指導がされる。高校2年生で行う実験は、大学入試に出題される頻度の高い項目も含めて行っている。多くの実験授業を通して、理科への興味と理解が深まっていく。
クラブ活動も盛んで、中学での硬式野球部やゴルフ部・アイスホッケー部・アメリカンフットボール部・自動車部などなど、特徴的な部活動もあり、自主性や協調性を養っている。