シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

国学院大学久我山中学校

2016年01月掲載

国学院大学久我山中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.関心のあることから興味を広げていこう

インタビュー2/3

中学3年間は作文の授業が必修

貴校の社会科では、受験生にどの程度の記述力を求めていらっしゃいますか。

山根先生 文章記述は、A4の解答用紙に1〜2行(50字前後)程度を設定しています。拙い表現でも構わないので、知識の箇条書きではなく、とにかく文章にして自分の考えを伝えるようにしましょう。

高橋先生 記述力の養成として学校全体で力を入れているのが作文教育です。中学は作文の授業が必修で、3年間で約20本のテーマについて作文しますし、道徳や特別授業の後にも感想文を書きます。生徒の作文に担任の教員がコメントを付けて返すやり取りを中学3年間行いますから、生徒は書くことに対する抵抗感は少ないと思います。作文の力は社会科の記述力にも活かされていると思います。

社会科/山根茂之先生

社会科/山根茂之先生

漢字表記の用語は漢字で書こう

山根先生 数年前なら確実に得点できていた問題で間違う受験生が増えているように思います。本校の入試では漢字指定はしていませんが、「菅原道真」「源頼朝」のように以前は当たり前に書けていた漢字が書けなくなっています。ひらがなで書くくせがつくと、ゆくゆくは大学受験で苦労することになります。人名や戦の名称など教科書に書かれている用語は漢字で書く習慣をつけましょう。

物事を俯瞰できる男子、生活者目線でとらえる女子

男子と女子で教え方を変えているということはありますか。

高橋先生 男女で関心を示すところがまるで違うので、単元の導入は男子が、あるいは女子が「何に」興味があるかを意識しています。例えばフランス革命は、女子の関心はルイ16世よりマリー・アントワネットにあります。女子は文化や芸術への関心が高いので、その点を取っかかりにすることがあります。

現在、中3に公民を教えているのですが、男子は政治、女子は経済への関心が高いと感じます。政治の単元で積極的に発言するのは男子ですが、経済の単元になると女子の発言が活発になります。特に身近な経済の話題で物価の例として卵1パックの値段を聞くと、男子は「?」ですが、女子は「100円かな」などと返してきます。中学生の段階では、身近なところから世の中を見ているのが女子、俯瞰的に物事をとらえるのが男子と言えます。

男子も女子も、関心のあることをきっかけにして、そこから学びが広げてもらいたいと思います。

国学院大学久我山中学校

国学院大学久我山中学校

教科書には載っていないエピソードを紹介

坪原先生 社会科の教員の役割は「教科書の行間を埋める」作業ではないかと思います。歴史で言えば、その時代に生きた人物の人となりや行動、人間関係などについて、教科書に書かれていないことを紹介することで、教科書に書かれている事柄の説得力が増すのではないかと思います。

蒙古襲来の文永の役のとき大奮闘したのが、対馬の守護代・宗助国です。彼の名前は教科書には載っていませんが、彼の大奮闘がその後のモンゴル軍の攻撃に少なからず影響を及ぼしたとも考えられます。「実は…」というエピソードを紹介することで、歴史を多角的に見る力が養われます。中には興味を持って自分で調べる生徒もいます。

インタビュー2/3

国学院大学久我山中学校
国学院大学久我山中学校1944(昭和19)年、時の岩崎通信機社長・岩崎清一が岩崎学園久我山中学校として設立。52年に國學院大學と合併、校名を國學院大學久我山中・高等学校と改称。85年より中学校(男子部)を再開、また高校女子部を新設。91(平成3)年に中学校女子部を新設。2000年に校名表記を現在の形へ変更。2004年に創立60周年記念式典を挙行した。
勉学を軸足として、行事にクラブ活動に主体的に参加する「明るくさわやかな」学園生活を目標にしている。そのために規律を守ることを重視し、日頃から「あいさつの励行」をモットーとしているほか、月1度の「環境美化の日」には、校内外の大掃除をして心の浄化につとめている。クラスは男女別、課外活動では交流する「共学的別学」が大きな特色。
玉川上水の流れる久我山台の広大な敷地に、男子部と女子部それぞれの校舎のほか、天体ドームを備えた理科会館、文科会館、図書館、錬成館、カフェテリア(食堂)、体育館2棟、ラグビー練習場、テニスコートなどがそろっている。
50分×6時間授業6日制。私立大学付属校型から「国公立大学型」カリキュラムに変更し、ハイレベルな進学校として実力を伸ばしている。先取り学習を行い、中2で中学課程を修了。中3で英・数の習熟度別授業が始まる。英検や計算力診断テスト、漢字検定など、継続的な学習も素地を固めるうえで役立っている。高1で国公立大、私立大の2コース、高2で外進生と混合し、文系・理系の4コースに。2008年からは国公立難関大学を目指す中高一貫のSTクラス(特進クラス)を設置。入試にも「STクラス選抜」入試を導入している。早朝・放課後講習、夏・冬休みの勉強合宿とバックアップ体制も充実している。例年、東大などのほか、早慶上智大などには合計100名以上の現役合格者を出すという見事な実績で、ますます大きな期待がもたれている。併設大へは例年10%前後が進学。
朝の10分間読書から一日が始まり、放課後は思い思いのクラブ活動を行っている。何度も全国制覇を果たした高校ラグビー部、甲子園出場回数の多い野球部をはじめ、サッカー、バスケットボール、剣道、陸上競技などが全国レベル。クラブ数は中学は27、高校は45ある。自然体験教室が多く、中1は信州高遠、中2は尾瀬・奥白根、中3では北海道ファームステイを実施。文化祭は学園最大のイベントで、中学男女、高校男女が合同で実施。夏には高1希望者対象にイギリス語学研修制度がある。ほかに写生会、芸術鑑賞会、武道大会と行事は多彩。