今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!
国学院大学久我山中学校
2016年01月掲載
2015年 国学院大学久我山中学校入試問題より
- 問題文のテキストを表示する
次のK先生とAさんの会話を読み、設問に答えなさい。
K先生 消費者庁が乳幼児の保護者に対しておこなったアンケートによると、子どもがボタン電池を「飲んでしまった」、「なめていた」などの危ない経験があると答えた人は、全体の1割以上ありました。
Aさん その光景を思い浮かべると、ちょっと怖いですね。
K先生 消費者庁では、「子どもを事故から守るプロジェクト」を実施しています。シンボルキャラクター「アブナイカモ」と、テーマソング「おしえてね アブナイカモ」を作っていて、
♬~ ボタン電池 危ないかも 洗剤や酒 タバコ
家の中は 飲むとイケない ほらこんなに危険だらけでしょ ~♬
という歌詞がでてきます。子どもを誤飲の事故から守るためにも、大人が子どもの周囲にある危険に目を配る必要があるのです。
(問)
企業の側でも、乳幼児による、いろいろな製品の誤飲を防ぐためにさまざまな対策を考えるようになりました。あなたが製品開発者の立場であるとして、誤飲を防ぐための工夫を具体的に答えなさい。
中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この国学院大学久我山中学校の社会の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)
解答と解説
日能研による解答と解説
解答例
例1:小さいおもちゃには、口にふくむと苦みを感じる成分を塗っておく。
例2:リモコンや時計は、工具を使わないとボタン電池が取り出せない構造にする。
解説
この問題では、「製品開発者の立場で」誤飲を防ぐための工夫を具体的に考えることが求められています。一口に「製品開発者」といっても、誤飲のおそれがある製品(ボタン電池など)の開発者なのか、誤飲のおそれがあるものを内包する製品(リモコンなど)の開発者なのかによって、誤飲を防ぐためにできる工夫は変わってきます。どのような製品の誤飲を、どういった手段で防ぐのかを考えると、その対策に具体性が出てくるでしょう。
- 日能研がこの問題を選んだ理由
問題の中で課題が提示され、それに対して子ども自身の考えた対策や工夫を説明させる出題はそうめずらしいものではありません。このような出題は「あなただったらどうしますか」というように、子どもたちが自分の立場からその課題をとらえる設定のものが多いようです。
そうした中で、この問題は「あなたが製品開発者の立場であるとして」という設定にすることによって、子どもたちの視点を意図的に動かしています。普段子どもたちは、見た目や性能などを重視して製品を選んでいることが多いでしょう。これは「製品利用者」としての視点です。しかし「製品開発者」の立場になると、見た目や性能だけでなく、事故のない安全な製品をつくることが求められます。この「利用者」と「開発者」の2つの視点を合わせ持つと、たとえば“製品の小型化”には、持ち運びやすくなるという利点と、乳幼児の小さな口にも入ってしまうという欠点の両方があることに気づくことができます。
意図的に、普段とはちがう立場に立ってものごとを見ることは、そのものごとを多角的に見ることにもつながっていきます。
このような理由から、日能研ではこの問題を□○シリーズに選ぶことに致しました。