出題校にインタビュー!
大妻中野中学校
2015年09月掲載
大妻中野中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
3.正解のない課題に立ち向かえる人材を育てる「グローバルリーダーズコース」開設
インタビュー3/3
電子黒板の導入で生じた余裕で生徒に目を配れるようになった
石塚先生 電子黒板を導入して今年で4年目になります。私の場合は基本的に教科書をそのまま映すようにしています。以前は重要ポイントは教科書を読んでいましたが、今は電子黒板に教科書のその箇所を映してアンダーラインを引いています。耳だけでなく目でも確認できるようになり、生徒がポイントをとりこぼすことが少なくなりました。
手元にある教科書と同じものを大きく映すので、2次関数のグラフなどは説明しやすいですし、生徒もわかりやすいと思います。グラフはかく順番も大切です。電子黒板で解説したあと、さらに横の普通黒板を活用してかく順番を説明するなど2種類の黒板を組み合わせて使っています。
電子黒板になってから板書の手間が大きく省けました。生徒がどのように問題を解いているか見に行くなど、生徒に目を配れる時間の余裕が生まれたことは、教員にとって大きな利点だと思います。幾何の授業では教員が図をかいている間の生徒の待ち時間がなくなった分、コアクラスは繰り返し問題を解けるようになりましたし、アドクラスは早く進めて演習問題に多く取り組めるようになりました。
数学科/石塚美由紀先生
論理的思考力の養成は証明の「型」を徹底的に覚えることから始める
石塚先生 中学の数学で論理的思考力が鍛えられるのは、中2の幾何の証明問題です。女子は図形問題があまり得意ではないので、まず問題を解く「型」を覚えることから始めます。図形を見て証明がひらめくような生徒はそう多くはありません。それでも型が身につけば、型に当てはめて解き進められるようになり、徐々に自分で論理を組み立てられるようになります。
野村先生 中2の数学は週5時間のうち幾何は2時間ですが、そのほとんどは証明問題に取り組みます。証明の手順や、「なぜならば」「ゆえに(∴)」といった証明特有の言葉の使い方などを徹底して身につけさせます。
石塚先生 私はコースによって教え方を変えています。コアクラスでは、同じ証明問題を3回繰り返します。1回目は穴埋め形式で解く、2回目は自力で解く、3回目は確認として解くことで、証明の型を身につけます。問題集を2周、3周と繰り返し解くことで、初めて見る問題でも「これは前に解いた問題に近いかな」と積極的に取り組んでくれています。
一方アドクラスでは、「明日の授業で、○○さんと●●さんに、この問題について解説してもらいます」と指名で宿題を出して、自分でわかるのと相手に説明するのとでは違うことを身をもって経験させています。最初はうまく説明できませんが、他の生徒の発表から学び、回を重ねるごとにうまくなっていきます。
今の中3は「数学がおもしろい」と言ってくれる生徒が多いのでうれしいですね。うまく発表できたり、問題が解けてわかることを実感したりしているのでしょう。電子黒板になって時間に余裕ができたことで、演習問題に多く取り組めるようになったことがより「わかる」ことにつながっているのだと思います。
2016年度から「グローバルリーダーズコース」を開設
野村先生 来年度から、グローバル教育に特化した「グローバルリーダーズコース」を開設します。外国語運用力を伸ばすために、週6時間の英語の授業のうち4時間をネイティブ教員が担当(他のコースは週6時間のうちネイティブ担当は1時間)し、高1から週2時間のフランス語が必修となります。
数学など他の教科でもできるだけ英語を使う「イマージョン」の形式で授業を行います。数学科では英語のテキストを使い、日本語で解説を行う予定です。数学のテキストは数式が主体ですから、国語科や社会科に比べて英語を取り入れやすいと思います。数学もまさに「英語で学ぶ」カリキュラムとなるでしょう。
新設となるグローバル選抜の入試は、コア選抜と同じ日程となります。算数はコア選抜と全く同じ問題を用いるので、コア選抜の過去問にしっかり取り組んでもらえればと思います。
大妻中野中学校
帰国生の長所をより伸ばせる環境に
野村先生 グローバルリーダーズコースの学びは、自分の意見を主張し、グループでディスカッションしながら正解のない課題に取り組むアクティブラーニングが主体となります。
アクティブラーニングは、正解のない課題についてみんなで侃々諤々(かんかんがくがく)と意見を戦わせながら、合意を得ることを目指します。その際、数学での経験が役に立つと思います。数学は正解が必ずあります。「正解に到達した」経験から、ある条件が整えば合意に向かうはずだと論理的思考ができるのではないでしょうか。自分の手を動かして試行錯誤しながら答えを導き出すプロセスを経験してほしいですし、答えを導き出すプロセスを「楽しい」と思ってほしいですね。
石塚先生 帰国生には積極的で活動的な生徒が多いのです。アクティブラーニングを取り入れることによって、これまで以上にのびのびと自分の意見を発表したり、あれこれと試行錯誤しながら正解を導き出す過程を楽しんだりできるので、みんなが良い影響を受けるのではないかと楽しみにしています。
タブレット導入で授業が大きく変わる
野村先生 また、来年度の高1・高2から全員タブレットの利用が始まります。数学科では自宅のパソコンで受講できる「ビデオ講座」を提供していて、それが1000本程度あります。ビデオ講座は授業のプラスα的な内容で成績上位者向けですが、タブレット対応の教材として、生徒が自分のレベルに合った問題にそれぞれ取り組み、それを教員が補佐するような形式でできないかと思案しています。まずは数Ⅲの微積分で、15分程度の内容をいくつか用意したいと考えています。
タブレットの導入で授業のあり方が大きく変わると思われます。今まではクラス全員が同じようなことを教わっていましたが、これからは生徒一人ひとりの進度やレベルに教員が補助して最低到達度を確認するようになるのではないでしょうか。これも新たなチャレンジですが、変化を恐れず、生徒の可能性を引き出して伸ばせるように、生徒をしっかりサポートしていきたいと思います。
大妻中野中学校 電子黒板
インタビュー3/3