中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

大妻中野中学校

2015年09月掲載

大妻中野中学校【算数】

2015年 大妻中野中学校入試問題より

同じ大きさの4つの長方形が並んでいます。ある規則にしたがってこれに斜線を引き、整数を表すことにします。次の図はこの規則にしたがって、0から8までの整数を表したものです。このとき、後の問いに答えなさい。

大妻中野中学校 図1

(問)このしくみを利用したのがバーコードです。オリジナルのバーコードを作ってみることにしました。学年、クラス、出席番号の順に間をあけずに表すとします。
例えば、学年を表すのに2個の長方形、クラスを表すのに2個の長方形、出席番号を表すのに4個の長方形を使うと、2年3組9番の生徒のバーコードは、合計8個の長方形を使って下の図のようになります。
しかし、この方法では、4年を表すことや、出席番号16番を表すことなどができません。では、1年から6年まで、クラスが1組から6組まで、出席番号が1番から40番までの学校でこのバーコードを使うとき、長方形の数は何個必要ですか。この問題は、考え方も書きなさい。

大妻中野中学校 図2

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この大妻中野中学校の算数の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、出題意図についてのインタビューを見てみましょう。

解答と解説

日能研による解答と解説

解答

12個

(注)この問題は、問題文の解釈の仕方によっては「11個」も正解となります。
詳しくはインタビュー記事をご覧ください。

解説

問題の冒頭にある、0~8を表している4つの長方形は、右から順にそれぞれ、1、2、4、8を表していると考えます。
何かの数を表すときは、これら1、2、4、8の数の中からいくつかを選び、その和が表したい数になるような組み合わせを作ります。そして、組み合わせる数の長方形に斜線をつけて数を表します。

大妻中野中学校 解説 図1

例えば、6を表す図を考えます。1、2、4、8の中から2と4を選ぶと2+4=6を作ることができます。ですから、6を表す図は、右のように「2の長方形」と「4の長方形」に斜線をつけた図となります。

大妻中野中学校 解説 図2

問題の冒頭にある9つの図を、この仕組みをふまえて読み取ると、次のように図と数が正しく対応していることがわかります。

大妻中野中学校 解説 図3

「学年」と「クラス」のバーコードは、どちらも1から6までの整数が表せれば事足ります。よって、上の図より、長方形がそれぞれ3個あれば、全ての「学年」、「クラス」を表すことができます。…①

長方形を4個使う場合、表すことができる最大の数は8+4+2+1=15です。
よって、15よりも大きい数を表す場合は、新たに「16の長方形」を追加して5個の長方形を使います。
追加することによって16+8+4+2+1=31までの数を表すことができます。

大妻中野中学校 解説 図4

また、31よりも大きい数を表す場合は、同様に新たに「32の長方形」を追加して6個の長方形を使います。
追加することによって32+16+8+4+2+1=63までの数を表すことができます。

大妻中野中学校 解説 図5

「出席番号」のバーコードは、1から40までの整数が表せれば事足ります。よって、長方形が6個あれば、全ての「出席番号」を表すことができます。…②

①②より、長方形は全部で3+3+6=12(個)あればよいことがわかります。

(参考)長方形が表す数は、右から順に1、2、4、8、16、32、…と続きます。この数列は、右に行くにしたがって、数が2倍ずつになっていることがわかります。

日能研がこの問題を選んだ理由

私たちの身の回りには、算数で学ぶ事柄と密接に結びついているものが数多くあります。バーコードのしくみも、その中の1つです。

バーコードは、数学で学ぶ「2進法」の原理を利用して作られたシステムです。「2進法」とは、0と1の2種類の数字の組み合わせで数を表す方法です。この原理を利用すると、問題で紹介されているように、白(OFF)と斜線(ON)の2種類の情報の組み合わせだけで、たくさんの数値情報を作り出せます。

この問題は、ただ単に図と数の対応を問うだけではありません。実際にバーコードを利用して、「学年・クラス・出席番号」という個々の情報を作り出そうとする場面が設定されています。このことによって、子ども達は「バーコードという“図”によって、身の回りの数値情報が作られている」という実感を持ちながら、活きた知識を得ることができます。また、「実際に自分がバーコードを作ってみる」という行動を通して、能動的に学ぶことの大切さを問題を通して伝えていると読み取ることもできます。

このような理由から、日能研ではこの問題を□○シリーズに選ぶことに致しました。