出題校にインタビュー!
駒場東邦中学校
2015年05月掲載
駒場東邦中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
2.仕組みを知れば丸暗記でなく知識を定着できる
インタビュー2/3
大問全体の問題の流れにうまく乗って考える
井上先生 本校の問題は、さほど難しいことは聞いていません。小学生が知らないような事柄を出題することはありますが、それを知識として要求しているわけではありません。リード文や問題文をきちんと読み取り、問題の流れに乗って考えれば答えられるような問題をだしているつもりです。この問題もダンゴムシがウイルスに感染したときの変化を知らなくても解き進められます。受験生には大問を解きながら考えを深めて学んでもらいたいと思っています。
堤先生 記述問題の解答で大切なことは、要点を押さえた「伝わる文章」であることです。頭の中の考えがうまく整理できていると、理路整然とした文章が書けると思います。そうした答案は採点していて「この受験生はきちんと理解しているな」とわかります。
井上先生 解答欄のスペースを見れば、どの程度深く、広く書けばよいかおおよそ推測できると思います。要は、「端的に、明快に表現しましょう」ということを、解答欄で示しているつもりです。
理科(化学)/松岡雅忠先生
記述問題の受験生の取り組みに手応え
松岡先生 小問集合問題の「正しいものをすべて選びなさい」という解答形式は、正しい答えの数を考えるのが受験生にとってストレスになるかもしれないという懸念から、ここ数年できるだけ少なくしています。そうすることで、この問題のように、考えて説明するタイプの問題に取り組む余裕が出てきたのではないかと思います。最近は記述問題の無解答はほとんどなく、最後までがんばって解いてくれている答案が多くなりました。採点をしていても手応えを感じます。受験生の顔が見えるような問題を出したいと思っています。
松岡先生 1つの現象をいろいろな角度から考えさせるのは、どの大問にも共通しています。理科に限りませんが、ご家庭で「今日学校(塾)でこんなことを習った」という会話ができるといいですね。そのときお子さんに「それって、どういうこと?」と説明を促す質問をしてあげるといいと思います。
実験過程のおもしろいところを素通りしない
松岡先生 入学後に入試問題の前提となっている実験を行うことがありますが、生徒の反応は上々です。
井上先生 ただ、実験材料を見て、生徒が「あ、それ知ってる!」と言うから、「それならできるよね?」と促すと、途端に尻込みします。
松岡先生 知っていればできるかというと、そうはならない。知っているのと手を動かすのは別物ですね。実験を題材にした問題を解くと“実験ができた”と思いますが、実際にやってみると操作や手順が抜け落ちていたりするものです。この操作にはどんな意味があるのか、そうすることでどうなるのか、実験の過程のおもしろいところを素通りしないように、こちらから絶えず生徒に働きかけるようにしています。
ものを溶かす実験はおもしろがってやっています。知識として、水100gに食塩がどれくらい溶けるか、「これくらい」というイメージがあると思いますが、実際は先入観を持たずにやります。耳かき程のごく少量ずつ入れたり、一度にたくさん入れたりアプローチは様々ですが、最初は自由にやらせています。
駒場東邦中学校
理科実験の分割授業で、実験の技能や観察力を身につける
井上先生 中1の最初の授業(一斉授業)ではガスバーナーの使い方を教えます。本校は操作の手順を教える前に、一人ひとりがガスバーナーを分解してその構造を把握させます。すると、ガスねじと空気ねじの位置は上下どちらか迷うことはなくなるし、丸暗記ではなく理由付けをして覚えられます。そこは中学理科の入口として大切にしています。
松岡先生 本校は実験を積極的に行っています。実験室だけで9室あります。実験はクラスを2つに分けて行うことがあります。2人1組の実験はただ見ているわけにはいかない、参加せざるを得ない状況になります。役割分担をして協力し合うので、友達づくりにも一役買っています。
堤先生 分割実験は教員や助手の目が届きやすい。顕微鏡の操作でピントが合わないなど、うまくできなければ生徒一人ひとりに指導できるので、最初に操作をしっかり習得できると思います。
インタビュー2/3