中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

カリタス女子中学校

2015年04月掲載

カリタス女子中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.6年間の知識テストで討論できる知識を蓄える

インタビュー3/3

全学年共通の『ソシアル マエストロ テスト』で知識を定着

大瀧先生 本校では、毎年9月に同じ日時に同じ問題を全学年が受ける知識テスト「ソシアル マエストロ テスト」を実施しています。これまでは夏休み前に出題範囲のプリントを配布していましたが、昨年冊子化しました。

例えばTPP(環太平洋経済連携協定)のようなアルファベットの略称は、「Trans-Pacific Partnership」という英語の正式名称も調べて覚えることを薦めており、冊子にはその記入欄を設けています。

出題形式は、冊子に載っている例題のとおりとして、勉強方法で迷わないようにしました。毎年同じ範囲で、100問100点満点のテストを6年間受けることになりますが、5回目となる高2の平均点は70点を超えます。受験を控えた高3はこのテストの勉強をする余裕はあまりないと思われますが、それでも平均点は65点くらいです。6年間で冊子の3分の2程度の知識は定着すると思われます。

カリタス女子中学校

カリタス女子中学校

知識テストは卒業生から『役に立っている』と手応え

大瀧先生 6年間で社会科の知識がどれだけ身につくのか定量的に把握できていませんでしたし、卒業生から「大学では知識がないとディベートできない」という悩みを聞いて、知識テストの実施に至りました。卒業生からは「かなり役に立っている」と聞いており、取り組みに間違いはないと手応えを感じています。

内容については改めて説明するようなものではありません。単純に知識が定着したかどうかを問うテストなので、自学自習の姿勢が問われます。最初のページに「巻頭言」として、なぜ知識が大切かを説明しています。近年、「今はインターネットですぐに調べられる環境なので、知識を頭に入れておかなくてもよい」と知識の習得を軽んじる風潮がありますが、「移り変わりが早いので、一度頭に入れた知識は将来もそのまま使えるとは限らない」と解釈すべきでしょう。

ある程度、幅広い知識を持っていなければ独創的な発想は浮かばないのではないでしょうか。多様な知識を自分なりに組み合わせることで、新しいアイデアも生み出されるのだと思います。知識は絶対的なものではありませんが、常に新しい知識を求め、また持っている知識を修正したり補足して更新する必要はあると思います。

社会科でも漢字テストを実施

大瀧先生 社会科では人名などを漢字で解答することが求められることが多いので、社会科独自に「漢字テスト」を定期的に実施しています。「ソシアル マエストロ テスト」にも、「間違えやすい漢字」として定期試験で生徒の間違いが多かった漢字を取り上げています。

書かせてみると、結構正しく書けないものです。例えば、荘園は「土」ではなく「士」が正しいのですが、そうした細かいところができていません。漢字の間違いは2パターンあって、1つは別の漢字を書いてしまうケースと、もう1つは漢字そのものが間違っているケースです。後者の場合、「制度」の「制」(小学5年生で習う漢字)の6画目が上に出ていない生徒が結構います。国語科では新しい漢字の習得に力を入れますので、こうした修正は社会科でやるしかないと思っています。

カリタス女子中学校

カリタス女子中学校

年間研究レポートで自分の意見を論述

大瀧先生 高1の「年間研究レポート」は、中学3年間で学んだ地理・歴史・公民の知識を活用して考え、論述する課題です。

生徒が選ぶテーマは時事問題を反映しており、近年は裁判員制度がよく取り上げられています。大きなテーマにも取り組んでもらいたいと思うのですが、「日本の財政問題」や「世界の貧困」となると高1の手に負えなくなるので、テーマ選定の指導も考えなければならないと思っています。国立市在住の生徒が、駅舎が歴史的建造物として価値があるとされていたJR国立駅の改築について、地元で取材をしてレポートをまとめました。こうした身近なテーマであれば、地理や歴史、公民に関連して調べることができます。

レポートを見ると、途中まではきちんとできているのに、調べたことが整理されておらず、課題解決の意見がうまくまとめられていないものがあります。すると、論述の深みに欠ける、つまり説得力の足りない論述になってしまいます。レポート作成が論述力の向上につながるように、レポートを提出して終わりではなく、教員の添削を元に再度生徒に修正させてよりよいものにすることを考えています。

なぜコピペがいけないのか

大瀧先生 最近はインターネット上の情報をコピー&ペーストする問題があります。他者にきちんと説明する材料として使う情報はその信頼性を吟味しなければなりません。情報を取捨選択する判断力を身につけるには、まず、なぜコピペがいけないのか生徒自身が納得しないと同じことを繰り返すだけではないかと思います。

今の生徒はインターネットがあるのが当たり前の環境で育っていますから、ネット上の情報の信頼性を判断するのが難しいのかもしれません。玉石混交の情報の中から、信頼性のある情報を取り出す判断力を6年間で磨けるようにすることも、今後の課題の1つだと思っています。

カリタス女子中学校 世界地図

カリタス女子中学校 世界地図

教科・科目の壁を壊したい

大瀧先生 生徒を見ていると教科・科目を縦割りでとらえていて、学問領域を超えて知識を柔軟に集めて考えることが意外にできません。私は高校で日本史を教えていますが、世界史や地理に限らず、教科を超えて関わりのある事柄を積極的に取り上げるようにしています。例えば、考古学の放射性炭素による年代測定法の原理をあえて説明し、定期試験でも出しています。

知識を教科横断的に習得すると言えば大げさかもしれませんが、教科・科目を超えて知識を関連づけて習得すると、より広く、深く思考できると思います。ニュースも、地理や歴史、公民の学習とつながっていることを意識してほしいと思います。

インタビュー3/3

カリタス女子中学校
カリタス女子中学校ラテン語で「愛」を意味するカリタス。カナダで、聖マルグリット・デュービルが創立したケベック・カリタス修道女会を母体に、1961(昭和36)年にカリタス女子中学・高校が創設された。62年に幼稚園、63年には小学校が創設されている。
多摩川沿いの閑静な住宅街にあり、緑にも恵まれた環境。2階建てアリーナ、人工芝の広いグラウンド、テニスコート、屋内プールなど、スポーツ施設も充実している。生徒に人気のある図書室は蔵書も豊富で明るくきれい。専用回線で常時インターネットに接続されているコンピュータ室も完備。聖堂や1200名収容の講堂もある。カフェテリアでは飲み物、パン・弁当を販売。06年4月に「教科センター方式」の新校舎が完成した。
キリスト教の愛と真理の原理に基づく教育方針。祈る心、学ぶ心、交わりの心、奉仕の心の「4つの心」をもった人間を育成することを目指す。また、異なる文化を理解する力を育み、国際的なセンスを身につけるため、中1から英語とフランス語の2つの外国語を導入。
中1から古典学習や体系的な作文教育を行い、豊かな国語力を育成する。独自の教材で進められる英・仏2つの外国語教育は密度の濃い内容。中1から2時間の授業が設けられた仏語は大学入試に十分対応できる。英語は中学が週6時間のうち外国人講師によるオーラル1時間、中1・中2の理科実験ではチームティーチングを行う。英・仏・数で1クラスを2つに分けたハーフクラスで授業を実施。補習は必要に応じて実施。高校2年から私立文系・国公立文系・理数の3コース制。大学受験に的を絞った意欲的なカリキュラムで、国公立大、難関私大に多数の合格者を輩出。現役進学率も着実に伸びている。
制服は「カリタスブルー」を基調としたスーツスタイル。放送を通じての「朝の祈り」で1日が始まり、全学年で聖書の心を学ぶ「カトリック倫理」の授業がある。奉仕活動を行うアンジェラスの会を中心に、教育里親の会、バザー、施設訪問など幅広いボランティア活動を展開。球技大会や体育祭、文化祭など学年を越えた交流があるほか、1月の外国語発表会は、学年ごとに劇、歌、スピーチなどで日ごろの語学学習の成果を発表する。中2で2泊3日のイングリッシュキャンプがあり、高1の希望者には、カナダ研修が実施されている。高2の修学旅行は北九州。クラブ活動は、運動部8、文化部14あり、中高合同で活動。