シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

カリタス女子中学校

2015年04月掲載

カリタス女子中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.入試問題は時事問題への興味・関心を重視

インタビュー2/3

用語の内容をストレートに問う問題も

2015年の貴校の入試問題を見て、知識との向き合い方が少し変わってきたような印象を持ちました。これまでは、どちらかというと知識を当てはめて使う、自分の言葉で表現させていましたが、公民の問題で、「『三権分立』とは何ですか」「『違憲立法審査権』とは何ですか」というストレートな問いが出されています。知識を確認する問題を出しているのは、日々の授業でその必要性を感じているのではないかと推察しました。

大瀧先生 これらの問題は受験生の半分以上はできていたと思いますが、そもそも用語の意味がわかっていないのではないかと感じることはよくあります。

本校の出題は、知識や理解、思考を問うオーソドックスな問題です。具体的には、(1)基本的な知識力、(2)初見のデータから傾向や現象を読み取る力、(3)初見のデータの情報と身につけている知識を結びつけて考える力、(4)(3)の自分の考えを表現する力、(5)時事問題への興味・関心、以上5点を意識して作問しており、中でも(5)はかなり重視しています。この問題のように、作問の着想を新聞やテレビのニュースから得ることも結構あります。

入試問題は入学者の選抜試験ですが、こちらが問いかけて、受験生に答えてもらう“対話”であり、「○○について知っておいてほしい」という学校からのメッセージでもあります。過去問を見ていただいて、どのように勉強すればよいか出題傾向をつかみましょう。ですからぜひ、出版社の問題集だけでなく、本校が配布している過去問も入手していただきたいと思います。

カリタス女子中学校

カリタス女子中学校

6年間で基本的な知識を身につけ、使いこなせるように

大瀧先生 6年間で重視していることは、まず、基本的な知識を身につけることです。そして、知識を使って考え、知識を使いこなせるようになることも大切にしています。進学校として、大学入試問題に対応できる授業や勉強方法の習得も意識しています。理想は、大学入試にも対応できて、社会に出てからも役立つ知識と技術を両立できるようにすることです。

基礎知識については定期試験でも測っていますが、知識を使って文章化する論述問題は知識の習得にも有効だと思っています。高校の定期試験では論述問題をかなり出しています。知識は使えてこそですから、論述で使えるように知識の内容をしっかり理解してもらいたいですね。

幅広い知識を得るにも新聞が有効

大瀧先生 今の世の中の動きに目を向けてほしいと思い、生徒には普段から新聞やテレビのニュースを見るようにと薦めています。以前高2に聞いたところ、クラスの2割弱が新聞を取っていなかったと記憶しています。中高6年間はすぐ手に取れる新聞を身近に置いていただきたいと思います。ネットのニュース検索では自分の興味のあるものだけになりがちですが、紙面の場合は興味の有無にかかわらずいろいろなニュースを目にすることができます。幅広い知識を得るにも、新聞は有効だと思います。

カリタス女子中学校

カリタス女子中学校

インタビュー2/3

カリタス女子中学校
カリタス女子中学校ラテン語で「愛」を意味するカリタス。カナダで、聖マルグリット・デュービルが創立したケベック・カリタス修道女会を母体に、1961(昭和36)年にカリタス女子中学・高校が創設された。62年に幼稚園、63年には小学校が創設されている。
多摩川沿いの閑静な住宅街にあり、緑にも恵まれた環境。2階建てアリーナ、人工芝の広いグラウンド、テニスコート、屋内プールなど、スポーツ施設も充実している。生徒に人気のある図書室は蔵書も豊富で明るくきれい。専用回線で常時インターネットに接続されているコンピュータ室も完備。聖堂や1200名収容の講堂もある。カフェテリアでは飲み物、パン・弁当を販売。06年4月に「教科センター方式」の校舎が完成した。
キリスト教の愛と真理の原理に基づく教育方針。祈る心、学ぶ心、交わりの心、奉仕の心の「4つの心」をもった人間を育成することを目指す。また、異なる文化を理解する力を育み、国際的なセンスを身につけるため、中1から英語とフランス語の2つの外国語を導入。
中1から古典学習や体系的な作文教育を行い、豊かな国語力を育成する。独自の教材も含めて進められる英・仏2つの外国語教育は密度の濃い内容。中1から2時間の授業が設けられた仏語は、高校で第一外国語として履修も可能で、大学入試にも対応する。英語は中学が週6時間のうちネイティブ教員によるオーラル1時間、さらに2016年度より始まった英語既習者クラスではネイティブ教員の時間が2時間ある。中1・中2の理科実験や、英・仏・数の授業は、1クラスを2つに分けたハーフクラスで行われる。補習は必要に応じて実施。高校2年から私立文系・国公立文系・理数の3コース制。大学受験に的を絞った意欲的なカリキュラムで、国公立大、難関私大に多数の合格者を輩出。現役進学率も着実に伸びている。
制服は「カリタスブルー」を基調としたスーツスタイル。放送を通じての「朝の祈り」で1日が始まり、全学年で聖書の心を学ぶ「カトリック倫理」の授業がある。奉仕活動を行うアンジェラスの会を中心に、教育里親の会、バザー、施設訪問など幅広いボランティア活動を展開。球技大会や体育祭、文化祭など学年を越えた交流があるほか、1月の外国語発表会は、学年ごとに劇、歌、スピーチなどで日ごろの語学学習の成果を発表する。中2で2泊3日のイングリッシュキャンプがあり、高1の希望者には、カナダ研修が実施されている。またターム留学やセブ島英語研修も参加者が増えている。高2の修学旅行は九州北部。クラブ活動は、運動部8、文化部14あり、中高合同で活動。