シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

市川中学校

2015年03月掲載

市川中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.生物に興味をもつことが学びを深める近道。自然体験をたくさんしよう。

インタビュー3/3

生物の道に進んだのは中1の生物で好成績を取ったのがきっかけ

先生ご自身が理科なり、生物に目覚められたのはいつですか。

日浦先生 子どもの頃から好きでした。野原を駆け回り、バッタを追いかけたり、セミを追いかけたりしていました。カブトムシも飼っていましたね。
勉強として生物を好きだと思ったのは中1の時です。高校の内容だったので、わかりづらい授業でした。そのため平均点が低かった定期試験でたまたまできた。それで調子に乗ったのです。中2は生物がなかったので、中3でもう一度生物をやって、その頃に大学で学ぶなら生物かなと思うようになりました。丁度ヒトゲノムが全盛で、DNAの実験などがおもしろくて、中3くらいで進路が固まりました。

理科/日浦要先生

理科/日浦要先生

自然に触れて興味をもてば生物が好きになる

生物を楽しく学ぶ方法があれば教えてください。

日浦先生 本校では「自然から学べ」をコンセプトにしています。散歩に行ったり、近所の自然公園に行ったり。礒辺などでの自然体験もできるだけ増やして、実際に見たり触れたりする機会を持たせたいと考えています。知識はもちろん必要で、知識がないと考えられないのですが、その知識はもともと自然から来ているものなので、実際に自然に触れることが大事なのです。その中で少しでも興味が涌いてくれれば、一歩前進です。

知らないと見えるものも見えない

日浦先生 よく「生物は暗記科目でしょ」と言われます。「違うよ」とは言うものの、やはり知識は必要なんですよね。これは私の体験ですが、大学の時に組織切片の観察をしました。「小腸の柔突起をスケッチしなさい」と言われ、完璧に描けたと思って教授に見せたら、「見ないで描いたでしょ。やり直し」と言われました。悔しくて、いろいろと本を読んで調べてみたら、上皮細胞の中にいくつかへこんだ細胞があり、これが肺細胞という特殊な細胞でした。こういうものがあると思って見てみると実際、あるのです。その時に「知らないと見えないのだな」と思いました。だから知識というのは非常に大事だと思います。暗記した知識を使っていくのは、その上の段階。いやいや生物を学んでいる状態でそこまで行くのは難しいと思いますので、生物科の中でよく話すのも、いかに生物好きを作るかということです。興味がないと、なかなか取り組めないのではないかと思います。

市川中学校

市川中学校

教科を横断的に運用できる力を養いたい

日浦先生 授業ではいろいろなことに関連づけて話すことを心がけています。知識が孤立するのではなく、つながるように構築するということですね。
中学校では教科ごとに教える教員が異なるので、生徒の中の知識も縦割になってしまいがちです。理科が終われば理科の知識は置いておいて、次は数学というように、教科ごとに知識をしまい込んでしまうので、「この方程式は数学でやったでしょ」と言っても、最初はクエスチョンマークなのです。そこで復習すると、ようやく「そうだったな」と思い出すことがよくあるので、教科横断的なことを運用していく訓練というか、それが当たり前になるようにしていかなければいけないなと思っています。そういうことからも、他教科とのコラボレーションを増やしていきたいと思っています。

小学生のうちに自然体験を重ねよう

中学受験に向けてはどのように勉強したらいいのでしょうか。

日浦先生 勉強も大事ですが、やはり山に行ったり、海に行ったりして、自然と戯れてほしいですね。キャンプも学習意欲につながります。実際に魚を釣ったり、調理をしたりすれば、さまざまな驚きや発見があると思いますので、できるかぎり自然体験を重ねることをお勧めします。

適した時期はありますか。

日浦先生 虫や生きた魚に嫌悪感をもつ前から始めるといいと思います。

市川中学校

市川中学校

インタビュー3/3

市川中学校
市川中学校1937(昭和12)年、市川中学校として開校。47年、学制改革により新制市川中学校となる。翌年には市川高等学校を設置。2003(平成15)年には中学で女子の募集を開始し、共学校として新たにスタート。同時に新校舎も完成させた。女子の1期生が高校へ進学する06年には高校でも女子の募集を開始。昨年4月には校舎の隣に新グラウンドが完成。2017年には創立80周年を迎えます。
創立以来、本来、人間とはかけがえのないものだという価値観「独自無双の人間観」、一人ひとりの個性を発掘し、それを存分に伸ばす「よく見れば精神」、親・学校以外に自分自身による教育を重視する「第三教育」を3本柱とする教育方針のもとで、真の学力・教養力・人間力・サイエンス力・グローバル力の向上に努めている。
効率よく、密度の濃い独自のカリキュラムで、先取り学習を行っていく。朝の10分間読書や朝7時から開館し、12万蔵書がある第三教育センター(図書館)の利用などの取り組みが連携し、総合して高い学力が身につくよう指導している。中学の総合学習はネイティブ教師の英会話授業。2009年度より、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)指定校となる。授業は6日制で、中1、中2の英語7時間、中3数学7時間など主要科目の時間数を増やす。ほかに夏期講習もあり、中1・中2は英・数・国総合型講習を実施。高校では、高2で理文分けし、高3ではさらに細かく選択科目等でコースに分かれて学ぶ。授業の特徴としては、インプット型の学習で基礎力を育成するともに、SSHの取り組みとして、研究発表、英語プレゼンなどを行う「市川サイエンス」、対話型のセミナーである「市川アカデメイア」、文系選択ゼミの「リベラルアーツゼミ」といった発表重視のアウトプット型の授業展開を実施している。自らの考えを相手に伝える表現力を、論理的に考え、それを伝わりやすい文章で表現するスキルとしてアカデミック・ライティングといい、「読めて、書ける」を目指し「課題を設定する力」、「情報を正確に受け取る力」、「それを解釈・分析する力」、「自分の考えをまとめ・伝える力」を育てる。
高1の各クラスごとに3泊するクラス入寮は創立当時から続く伝統行事。クラブは中高合同で活動する。行事は体育祭、文化祭のほか、自然観察会、合唱祭、ボキャブラリーコンテストなどもある。夏休みには中1、中2で夏期学校も実施。中3でシンガポールへの修学旅行を実施。また、希望者を対象にカナダ海外研修(中3)、イギリス海外研修(ケンブリッジ大学、オックスフォード大学中3・高1)、ニュージーランド海外研修(中3・高1)、アメリカ海外研修(ボストン・ダートマス高1・高2)が実施されている。生徒のふれあいを大切にしているが、カウンセラー制度も設けて生徒を支えている。