中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

市川中学校

2015年03月掲載

市川中学校【理科】

2015年 市川中学校入試問題より

日本の森林では、シカが増加したことで樹木への食害がおこっています。そこで、人間はシカをとらえて個体数を減らそうとしていますが、人手不足などによって十分な対策がとられていません。

(問)自然のしくみを利用して、シカの増加を防ぐために考えられる方法は何ですか。

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この市川中学校の理科の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、出題意図についてのインタビューを見てみましょう。

解答と解説

日能研による解答と解説

解答例
  • オオカミなど、シカを捕まえて食べる肉食動物を放つ。
  • シカが食べる樹木の幹に網をかけ、シカがえさを食べられないようにする。
解説

シカが増加したために起きた樹木の食害に対して、シカの増加を防ぐ対策を考えます。問題文でふれている「自然のしくみを利用して」という条件から、生物どうしの「食べる食べられる」の関係に着目した対策の方法を推測していきます。

例えば、シカをえさとして食べる生物に着目すると、オオカミなどの肉食動物を増やすことによって、シカの個体数を減らすなどの方法が考えられます。また、シカがえさとして食べる生物に着目すると、シカが食べている植物を網でおおったり、囲いをつくったりすることによって、シカがえさを食べられないような環境をつくるなどの方法が考えられます。

日能研がこの問題を選んだ理由

シカの増加による樹木の食害という問題に対し、シカの個体数を減らす対策を自然のしくみを利用して考えます。

この問題では、シカの食害を素材とし、問題文に示された情報(今おこっている問題)を読み取り、関連する知識(生物どうしのつながり)と照らし合わせながら、問題への対策を筋道立てて考え、論理的に伝わるように表現していきます。また、答えが多様で、自分の見つけ出した答えと他の人が見つけ出した答えをもとにして、意見を交換しあったり、協力して新しい別の答えを作り出したりすることができます。他者の論理をとらえ、自分の中の論理と比べることで気づきが生まれ、子ども達自身が多角的な視点を養うことにもつながっていきます。

この問題を通して、初めて出あうことがら(読み取った情報)と既知のことがら(関連する知識)を試行錯誤しながら結び付けていく過程を楽しみ、結び付けていくプロセスにおいて新たなネットワークが構築されることにつながると考え、日能研ではこの問題を□○シリーズに選ぶことにいたしました。