中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

海城中学校

2014年12月掲載

海城中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.大学受験は通過点。先々にまで通用する知識や考え方を伝えたい!

インタビュー3/3

文理の比率は1対2

理科が目指しているところを教えてください。

岩井先生 具体的な目標を設けているわけではありませんが、大学受験を突破出来ればいいという考えの教員は一人もいないと思います。大学入試は通過点。大学に合格するために必要な知識を身につけさせるのは当然のこととして、その後に活かせるよう、深みを意識して取り組んでいると思います。分野によっては大学の範囲をかじるところまで足を踏み入れているかもしれません。そういう意味では先々にまで通用するような知識や考え方みたいなものを出来る限り伝えようとしていると思います。

理系に進む生徒はどのくらいですか。

岩井先生 高校2年生で文系、理系に分かれますが、比率はだいたい文系1に対して理系が2です。理系に進む生徒は多いですが、その方向は医学、工学、理学など千差万別なので、どんな方面に進んでも対応出来るスタンスを持てるよう、いかに汎用性を持たせるかを意識しています。

海城中学校

海城中学校

受験に左右されない教育を行うことが大事

大学入試が変わると言われていますが、対策を考えていますか。

岩井先生 報道で言われていることもかなり漠然としていて、まだ現実味が感じられていないのですが、私は受験に左右されない教育をすることが大切だと思っています。「大学受験のスタイルが変わる。それに合わせなければ」というのではなく、「変わったけれど今やっている内容で十分対応出来るでしょう」と言えるカリキュラムで、しっかり教育することが理想ですよね。本当に大きく変わるということがない限り、入試のスタイルがどうなろうが対応出来る教育をしていきたいと思っています。

地学、生物などフィールド系はクラブも盛ん

理科系で活躍されている生徒や卒業生がいれば教えてください。

岩井先生 HPの「海城プレス」にたびたび記事を掲載している地学部に目立つ生徒がいます。一人は在学中に気象予報士に合格した生徒(現在、大学3年生)です。この子は物理部と地学部に所属し、地学部をメインに活動していました。高校在学中に、日本地球惑星科学連合の大会で奨励賞を受賞。研究内容は、地学部が7年近く継続して行っている新宿区立おとめ山公園の湧水調査で、その内容をベースにして、大学で論文を書こうとしているようです。それから今、在学している生徒には、化石の採取に行き、いるかの化石を発掘した子がいます。

地学は授業だけでなく、部活動も積極的なんですね。

岩井先生 地学や生物など、フィールドに出て行って活動するクラブは、すごく活発に動いているほうだと思います。

海城中学校

海城中学校

生徒主体で研究活動

岩井先生 地学部の教員が活動を活性化させるためにきっかけを作ったのは間違いないですが、次第に生徒自ら動くようになり、今は生徒主体になってきています。教員は一歩引いて、生徒がやろうとしていることをサポートしている状況です。今、ご紹介した生徒などは、教員をはるかにしのぐキャラクターと知識を持った生徒、というふうに思っていただいたほうがいいと思います。生徒たちから教員が教えてもらっているような感じもありますね。事柄によっては我々教員よりも生徒のほうが知識に長けているケースがあり、驚かされます。

西森先生 生物部も日本生態学会で発表しています。理科系クラブの活動は、私が本校に着任した時とまったく異なり、活発化しています。

応用力を持った受験生を期待

最後に、受験生や保護者に向けて、理科を学ぶ上でのアドバイスをお願いします。

岩井先生 いわゆる知識を詰め込んできて、それをはき出すことにより点数を稼ぐだけでなく、考えて、整理して、表現する(答える)。そういう応用力を持った受験生を期待しています。そういう力をつけるためには、ただ問題集の問題を解くという無味乾燥な勉強ではなく、ささいなことでかまわないので日常生活の中のものを見て、触れて、感じてほしいですね。葉っぱの勉強をしたら、道ばたの葉っぱを見てみるでもいいですし、空の勉強をしたら雲を眺めてみるでもいいですし。生活と絡めて、実際のものにも興味を持つ姿勢。受け身ではなく、積極的にいろいろなものを見る、触る、学ぶ姿勢を身につけてほしいと思います。言われたことはやるけれど、それ以上のことはしない、出来ないようではすぐに頭打ちになり伸びなくなります。

子どもに答えを教えないことが考える習慣をつける秘訣

親はどう関わればいいのでしょうか。

岩井先生 外へ連れ出す、博物館のようなところへ連れていくなど、いろいろなことに目を向けるきっかけは保護者の方の働きかけが大きいと思います。それとなくきっかけを作ってあげてほしいのですが、なぜ?どうして?と疑問を抱いている子どもに対して、答えを言わないことを心がけてほしいですね。知らないふりをして一緒に楽しんでいただきたいのです。答えを言ってしまうと、それ以上のことに目が向かないということになりかねません。考える機会も失われてしまいますので、寄り添うくらいのスタンスがちょうどいいかと思います。

一つ付け加えますと、それは「体験教室に行ってください」というメッセージではないんですね。普段の生活の中でいろいろなものに触れて、考える。それが当たり前になるようにクセづけをしてほしいということです。

海城中学校

海城中学校

読解力や計算力など、理科以外の学習も大事にしよう

岩井先生 入試対策で言えば、理科の問題とはいえ、文章を読まなければいけません。読んで理解するという国語的な力がおろそかだと、理科の問題は解けません。問題を解くためのヒントは、グラフや図など、いろいろなところに散りばめられていますから、きちんと読んで考えてほしいのです。各設問も同様です。問題文の中に手がかりになるようなことが入っています。こちらが聞いていることに気づいてほしいからこそ丁寧に問題文を書いていますので、読む力、理解する力、つまり理科ではない学習もしっかりやってきてほしいです。設問の中にはある程度計算するところもありますので、算数的な力も当然必要になります。得意なところばかりでなく、広く勉強するということを心がけることが重要だと思います。

インタビュー3/3

海城中学校
海城中学校もともとは海軍予備校だった海城中学校。創立されたのは1891(明治24)年と、一世紀以上の歴史がある伝統校です。建学の精神は、「国家・社会に有為な人材を育成する」こと。そのために、「フェア-な精神」「思いやりの心」「民主主義を守る意思」「明確に意思を伝える能力」を身につけた、高い知性と豊かな情操を持つ人物を「新しい紳士」と名付け、その育成を目指しています。
生徒の学習意欲をかきたて、個性豊かに育てるためには、ふさわしい学習環境が必要と考え、全館の空調設備をはじめ各種の特別教室、ユニークな体育館(アリーナ)、カフェテリア(食堂)など、一人ひとりが、より良く、より深く学べるよう必要な施設や教育環境が整備されています。
個々の生徒の進路選択のために、豊富な情報、資料のそろった進路指導室が準備され、担当の先生による面談が随時行われ、学習や進学の悩みや迷いなどには、専門のカウンセラーも適切な助言を与えています。大学進学の状況は、それ自体を目的としたものではなく、生徒の希望と適性を伸ばす努力の結果なのです。