中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

明星中学校

2014年10月掲載

明星中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.勉強に前向きに取り組める生徒を増やしたい

インタビュー3/3

知的好奇心を呼び覚ます『わくわく理科実験』

本田先生 「理科教育」は本校の重点教育の1つです。理科へのさらなる興味を引き出そうと、6年前から、「わくわく理科実験」を実施しています。中1~高1を対象に、月1回、土曜日などの放課後に行っています。

中学では多くの実験に取り組んでいますが、教科書の範囲内の内容で結果がわかっています。「わくわく理科実験」は教科書に載っていない実験にチャレンジするので、どんな結果が出るか探求する楽しさがあります。「インクの成分分析」のように身近な現象を掘り下げたり、「超伝導」や「プログラミングでラジコンカーを動かす」といった最先端の科学を感じられるテーマなど、担当教員がいろいろ工夫をしています。毎回のように参加する生徒もいますから、生徒の興味を引き出すことができているのではないかと思います。

「わくわく理科実験」で芽生えた疑問を、夏休みの自由研究などで探求し、発表するところまでできるようになるといいなと思っています。最近はいろいろな科学コンテストがありますから、そうした外部の発表の場にどんどん参加してもらいたいと思います。

明星学苑では、幼・小・中・高・大の連携に力を入れていますから、実現はしていませんが、自由研究の際に明星大学の研究施設を借りるなど大学との連携は可能だと思います。いろいろな大学が実施している高校生向けの実験教室への参加も呼びかけています。本格的な研究施設に触れる経験は、「将来こんなことをやってみたい」という生徒のモチベーションにもなると思います。

教頭/本田 康男先生

教頭/本田 康男先生

投げかけや話し合いを通して『考える』

本田先生 卒業までに身につけさせたい理科の力として、論理的思考力はもちろんですが、生きていくためには、先を見通す「洞察力」も必要ではないかと思います。目の前にフィルターがかかっているけれど、フィルターの向こうにあるものが見えるかどうか、これも考える力の一種でしょう。いろいろな情報を結びつけて考え、物事の本質を見抜く力は、文系に進んだとしても人間関係において必要だと思います。

そこで中学の授業では「なぜだと思う?」と投げかけをして生徒と対話するように心がけています。自分で推測するだけでなく、隣の生徒と話し合うことも勧めています。するとコミュニケーション力の養成にもつながります。

好きなことをとことん探求した卒業生

本田先生 好きなことを職業にできるのは幸せなことです。教え子の中に、「恐竜くん」と称して恐竜展の企画や監修など恐竜のおもしろさを伝えている卒業生がいます。

彼は、恐竜好きが高じて明星高校を中退して恐竜の研究が盛んなカナダに留学したほどの“恐竜オタク”です。中3の進化の授業で、彼に講義を1時間任せたことがあります。授業プランも自由に考えてもらいましたが1時間しゃべりっぱなしで、彼の熱意が伝わってきました。恐竜のイラストもとても上手で、「ステゴザウルスを描いて」などとリクエストするとスラスラ描いてくれました。

恐竜と聞くと目の色が変わるほど「好き」という思いを強く持っており、とても印象深い生徒でした。幼い頃の好きなことをずっと好きであり続ける熱意が、彼を成長させたのだと思います。ときどき本校で講義をしてくれるのですが、楽しそうに話す様子は当時のままですね。

明星中学校

明星中学校

前向きな進路選択だからがんばれる

本田先生 文理のクラス比は、現在、高2が文系5に対して理系4、高3が6対4です。理系がやや少ないのですが、これを半々にしたいところです。

これは一概には言えないと思いますが、学習面では理系の生徒が引っ張っているように思います。高1の英数国の模擬試験の結果を見ると、成績上位の生徒は理系を選択する傾向があります。「理系に進学する」こと自体が勉強に対してポジティブなのだろうと思います。そもそも、疑問をたくさん持っている生徒は学ぶことに前向きです。「なぜ?」を放っておけない、知識欲が一層貪欲になっていくのが本来の勉強の姿だと思います。そうした生徒は理数科目に限らずまんべんなく学ぼうとします。

理系の生徒を増やしたいというのは、「勉強に前向きな姿勢で取り組める生徒を増やしたい」ということでもあります。そういう生徒が徐々に増えれば、信念を持って進路選択をできる生徒も増えるのではないかと思います。

インタビュー3/3

明星中学校
明星中学校大正12年に明星実務学校として開校。昭和12年に明星中学校として改組しました。昭和29年には女子部が開設し、平成15年には中学校が、平成18年には高等学校が共学校となりました。現在91周年を迎えています。
教育方針は、以下の三つです。
  1. 人格接触による手塩にかける教育
    和の精神を礎にした「指導者が誠の心をもって生徒・学生の自然の心を誠の心に育て上げる」教育、「人格接触」の教育、「手塩にかける」教育を実践しています。
  2. 凝念を通じて心の力を鍛える教育
    凝念は、心の働きを一点に集めること、精神統一が目的です。姿勢正しく腰を掛け、両手は下腹部に合わせて瞑目して、臍下丹田(せいかたんでん)に力を入れるとともに、心を丹田に集中するよう努力するものです。このようにして、心の力が当面する物事に集中する習慣付けをすることを目的とした修養法です。
  3. 実践躬行の体験教育
    王陽明の「知行合一」、二宮尊徳の「実践躬行」およびジョン・デューイの「ラーニング・バイ・ドゥーイング」の思想の流れを汲む体験教育は、「思索と体験の一致の教育」で、単なる頭の教育に終わらず、判断力と実行力に優れた人の育成をめざしています。
明星学苑創立85周年記念事業の一環として計画された「総合体育館」は、府中キャンパスの体育施設を統合・集約する空間です。地下1階には屋内プール、1階にはサブアリーナ、3階にはメインアリーナが積層しており、それぞれの空間が授業や競技に活用される多目的な施設となっています。また、北側には部活動の拠点となる部室も併設しています。また、「児玉九十記念講堂」は、明星学苑創立85周年、児玉九十先生生誕120周年を記念し計画されました。学苑の主要行事や各種式典が開催される約1200名収容できる空間です。2階には児玉九十記念史料コーナーを併設しており学苑の歩みと児玉九十先生の功績を顕彰しています。
職員室前の広場では、中学と高校の職員室前にそれぞれある談話コーナーがあり、休み時間や放課後に質問にきた生徒と先生がよくいっしょに勉強しています。カフェテリアは、約300名が同時に利用できる明るく開放的なスペースです。晴れた日には、中庭にあるテーブルやベンチで食事をしたり、おしゃべりをしたりします。南側の1階にあるため、木漏れ日が中にまで差し込んで、その中での食事は最高です。
明星で特に力を入れて指導を行っているのが「国際教育」の実践と「多読多聴」、「理科教育」の充実です。この3つの重点教育により、生徒の自主性を引き出し、深い知力と学力を伸ばしていきます。中高の六年間を三つのステージとしてとらえ、最初のステージである中学校1・2年生は基礎学力の定着をはかるように、第二ステージの中学校3年・高等学校1年では自分にあった学習方法の追求をはかります。そして、第三ステージでは自己実現をテーマに希望する進路の実現を目指します。中高六カ年一貫教育システムに基づき、教科によっては教科書の項目の順序を入れ替えて学ぶなど、学習の効率と能率のよいカリキュラムを編成しています。また、新指導要領に基づき、考える力を育成する授業形態を実践しています。