中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

明星中学校

2014年10月掲載

明星中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1.遊びの中から「不思議」をたくさん見つけよう

インタビュー1/3

通りがかった畑の様子が作問のヒントに

本田先生 本校が4科入試を始めたのが今から15年ほど前になります。将来、自然科学の領域で活躍できるような生徒を育てようと考え、入試では知識の詰め込みタイプではなく、物事を柔軟に考えられるお子さんを求めています。

幼い頃に自然の中で遊ぶことを通じて、遊びの中から自然科学的な要素をくみ取ってきた子どもは後々必ず伸びます。入試問題の1〜2問は、自然遊びをたくさん経験した子どもなら考えることができる、その場で考えれば解ける、そのような問題を作るように心がけています。

この問題は、実は4〜5年前から温めていた素材です。あるとき近所の畑を見て、トウモロコシの背丈が違うことに気づきました。これを入試問題にできないかと思い続け、ようやく株の高低差がわかる写真が撮れたので今年の入試に出すことができました。子どもたちもこの問題のような畑を目にしたことがあると思います。そのとき素通りしてしまうのではなく、「なぜだろう?」と不思議がってほしいですね。

教頭/本田 康男先生

教頭/本田 康男先生

『植物の成長』という条件を加えて理科の視点で考えさせる

種をまく時期をずらす目的は、成長の違いで光合成を十分にさせるほかにもあります。農家としては作業量の分散や収入の安定といった理由が大きいと思われます。

当初、(問2)は設問に「植物の成長に」とは書いていませんでした。この条件がないと、出荷のことを書く受験生もいるのではないかと考え、「植物の成長に」という条件を加えて理科の視点で考えてもらうようにしました。社会科的な視点を書いた答案はなかったので、受験生にこちらの意図が伝わったと思いました。

もしトウモロコシの高さが同じだったら

本田先生 この問題は、問題自体は難しくないと思いますし、出来具合もよかったです。問1は、トウモロコシの「高さが違う」ということは「成長が違う」ということですから、「種をまいた時期が違う」ことに行き着けると思います。

(問2)は、光合成のことを考えられるかどうかですが、もしトウモロコシの高さが同じだったらどうなるか、与えられた状況と逆の場合を考えます。「同じ高さだと下の方の葉に光が当たりにくくなる」というところに考えが及べば、正解にたどり着けるでしょう。通常の状況と、通常とは違う状況を比較する対照実験の要領で、条件が違うとどんな影響があるのか比較して考えられるとよいでしょう。

(問2)の正解のポイントは、「どこにも光が当たりやすくなる」ということです。受験生は、「どの葉っぱも」であったり、「(写真の)右も左も」と方向を示したり、「高い方も低い方も」と表現していました。

(問1)と(問2)は記述問題ですが、しっかり書けていたと思います。点数が取れなかった答案は誤答と言うより空欄の解答がほとんどでした。

明星中学校

明星中学校

誤答は地図の方角に引きずられた

(問3)の選択問題の正答率は70%くらいでした。誤答で一番多かったのは「西」、次が「東」です。この結果から、「右側が東、左側が西」という地図の方角に引きずられたのだろうと推測できます。あえて「南」が正解になる聞き方をしたのは、間違った考え方で偶然正解するのを避けるためですが、地図の方角に引きずられた誤答は予想以上に多かったですね。

間違えた受験生は、(問2)と連動させていなかったのでしょう。設問に「(問2)の効果を考えると」と示したにもかかわらず、問3を単独で考えて地図の方角で答えてしまったと思われます。 一方、「北」と答えた受験生は、成長がよい方角(写真右側)を「南」と考えたことになりますから、問1と連動させていないということになります。

(問1)〜(問3)は一連の流れでとらえて解いてほしいところですが、バラバラにとらえてしまった理由の1つは、入試に取り組む視点不足があると思います。問題を連動させて解けるようになると、問題を解く糸口も見つけやすくなります。

風呂場は遊びの宝庫

本田先生 入試問題を考えるとき、一番アイデアが思いつきやすい場所が風呂場です。風呂場は、浮力や水圧、対流など小学生でもわかるような自然科学が満載です。以前の入試にも出しましたが、浴槽の水をホースで抜く場合、ホースの口の高さをどれくらいにすると水が出てこなくなるかといったことは、理屈はよくわからないけれど、どうなるか結果はわかります。

シャボン玉を作ったとき、「シャボン玉はなぜ虹色?」と思ったことがあるでしょう。思っただけで終わりではなく、「なぜ?」を突き詰めていくことでその原理にたどり着き、「そういうことか!」と納得できる。すると、身の回りのいろいろな現象の「なぜ」を知りたくなり、探求心が育まれると思います。

明星中学校

明星中学校

インタビュー1/3

明星中学校
明星中学校大正12年に明星実務学校として開校。昭和12年に明星中学校として改組しました。昭和29年には女子部が開設し、平成15年には中学校が、平成18年には高等学校が共学校となりました。現在91周年を迎えています。
教育方針は、以下の三つです。
  1. 人格接触による手塩にかける教育
    和の精神を礎にした「指導者が誠の心をもって生徒・学生の自然の心を誠の心に育て上げる」教育、「人格接触」の教育、「手塩にかける」教育を実践しています。
  2. 凝念を通じて心の力を鍛える教育
    凝念は、心の働きを一点に集めること、精神統一が目的です。姿勢正しく腰を掛け、両手は下腹部に合わせて瞑目して、臍下丹田(せいかたんでん)に力を入れるとともに、心を丹田に集中するよう努力するものです。このようにして、心の力が当面する物事に集中する習慣付けをすることを目的とした修養法です。
  3. 実践躬行の体験教育
    王陽明の「知行合一」、二宮尊徳の「実践躬行」およびジョン・デューイの「ラーニング・バイ・ドゥーイング」の思想の流れを汲む体験教育は、「思索と体験の一致の教育」で、単なる頭の教育に終わらず、判断力と実行力に優れた人の育成をめざしています。
明星学苑創立85周年記念事業の一環として計画された「総合体育館」は、府中キャンパスの体育施設を統合・集約する空間です。地下1階には屋内プール、1階にはサブアリーナ、3階にはメインアリーナが積層しており、それぞれの空間が授業や競技に活用される多目的な施設となっています。また、北側には部活動の拠点となる部室も併設しています。また、「児玉九十記念講堂」は、明星学苑創立85周年、児玉九十先生生誕120周年を記念し計画されました。学苑の主要行事や各種式典が開催される約1200名収容できる空間です。2階には児玉九十記念史料コーナーを併設しており学苑の歩みと児玉九十先生の功績を顕彰しています。
職員室前の広場では、中学と高校の職員室前にそれぞれある談話コーナーがあり、休み時間や放課後に質問にきた生徒と先生がよくいっしょに勉強しています。カフェテリアは、約300名が同時に利用できる明るく開放的なスペースです。晴れた日には、中庭にあるテーブルやベンチで食事をしたり、おしゃべりをしたりします。南側の1階にあるため、木漏れ日が中にまで差し込んで、その中での食事は最高です。
明星で特に力を入れて指導を行っているのが「国際教育」の実践と「多読多聴」、「理科教育」の充実です。この3つの重点教育により、生徒の自主性を引き出し、深い知力と学力を伸ばしていきます。中高の六年間を三つのステージとしてとらえ、最初のステージである中学校1・2年生は基礎学力の定着をはかるように、第二ステージの中学校3年・高等学校1年では自分にあった学習方法の追求をはかります。そして、第三ステージでは自己実現をテーマに希望する進路の実現を目指します。中高六カ年一貫教育システムに基づき、教科によっては教科書の項目の順序を入れ替えて学ぶなど、学習の効率と能率のよいカリキュラムを編成しています。また、新指導要領に基づき、考える力を育成する授業形態を実践しています。