シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

共立女子中学校

2014年09月掲載

共立女子中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1.漢字学習でも「考える」ことを大事にしよう

インタビュー1/3

漢字は書くだけでなく意味も覚える

米津先生 最近、漢和辞典を引いたことがないと思われる生徒が増えていると感じます。漢字学習についても、一問一答式のドリル的な覚え方が目立つようになっています。そうした学習では、書き取りをしたことがある漢字は書けても、意味を正確にとらえることは難しいでしょう。本校では、漢字そのものの意味をとらえて学習しているお子さんに入学していただきたいと思っています。

漢字の意味をきちんととらえていれば、新しい熟語に出会ったときに意味を類推することができます。類推する力があれば、評論文の読解でやや硬い表現の漢語が出てきても読み進めることができると思います。

国語科/米津先生

国語科/米津先生

同じ部首の漢字を並べると共通点が見えてくる

米津先生 漢字を機械的に覚えているせいか、部首の意味を知らない生徒が多いですね。同じ部首の漢字を並べると共通点が見えてきます。すると、部首が漢字の意味の大きな骨格を形成していることがわかると思います。漢字学習においても「考える」ことを大事にしましょう。

たとえば、「除」と「徐」のように、つくりが同じで部首が異なる漢字の意味の違いを理解できていれば、自学自習の準備ができています。現状はそうした漢字の基礎が十分でないことを前提に教えていますが、小学校の段階から漢字の意味を理解する習慣ができていると、中学の学習をスムーズに始められます。

本校は校内での電子辞書の使用は禁止です。漢和辞典は、目的の漢字だけが表示される電子辞書と違い、辞書を開いたときに目的以外の漢字を目にすることができます。同じ部首の漢字が並んでいるので、漢字に共通する意味から部首の意味が見えてきたり、いろいろな発見があります。

総画数で正解かどうかを確認

米津先生 この問題は、提示された漢字の意味から用例(熟語)を類推する力が試されます。正解の漢字はどれも小学校1、2年生で習うものばかりです。小学校で漢字の意味を一つひとつ掘り下げることはしないかもしれませんが、漢字をより丁寧に習うと思われる小学校低学年で、書き取りに終始するのはもったいないと思います。

【1】は意味がたくさんありますが、一番目の「偏らない、正しい」という意味から、「公正」「公平」という熟語が浮かべば正解が「公」だとわかるでしょう。

また、意味だけではわかりにくかったり、漢字の知識が多いほど候補が増えて、かえって難しい漢字を選んでしまう受験生がいるのではないかと思い、ヒントとして総画数を示すことにしました。総画数がわかっているので、確信をもって解答できたのではないでしょうか。偶然、四問中三問が総画数4の漢字になりましたが、いろいろな意味、違う意味を持つ漢字を選んだつもりです。

共立女子中学校 教室

共立女子中学校 教室

日常生活の中の漢字に目を向けよう

米津先生 問題の中では【3】が難しかったようです。「じゅんじょ」という意味から「順」の誤答が多く見られました。「順」も十二画なので一番目の意味だけで判断すると合っていると思うでしょうが、二番目以降の意味が当てはまりません。そのことに気づいて考え直すことができたかどうかで正誤が分かれました。

【2】の「午」は、今年がうま年(十二支の七つ目)なので、年賀状で「午」の漢字を書いたり、目にしていれば答えられたでしょう。あるいは、「昔の暦の五月」から「端午の節句」を思い浮かべることができれば、答えにたどりつけたでしょう。

このように、私たちの生活は漢字と密接に関わっています。類推力を働かせるには日常生活も大切にしていただきたいですね。漢字が日常の中でどのように使われているのかということにも目を向けてほしいと思います。テレビや新聞で見聞きした言葉について、「なぜこの言葉を使うのか?」「どんな意味なのか?」という気づきを大事にしましょう。疑問に思った言葉を一つひとつ丁寧に当たる、その積み重ねが最終的には中学受験を突破する学力につながっていきます。

つなげる力があれば知識量がどんどん増えていく

米津先生 漢字の意味のとらえ方は漢文の学習にも関係します。漢文では「北グ」と書いて「にぐ」と読みます。「敗北」という熟語から「北=逃げる」という意味を連想できると「北グ」につながります。しかし、今まで習得した知識を活用することなく新たに覚えようとすると、単なる知識の積み重ねになり、やがて限界に達します。

本来、知識があるほど知識と知識がつながって、知識量も指数関数的に増えていくものです。知識と知識を結びつけることを意識して学習しましょう。それには周りの大人の協力も必要です。知識が単発ではなく、つながっていることに早い段階から気づかせることで、子どものつなげる力も養われていくと思います。

共立女子中学校

共立女子中学校

インタビュー1/3

共立女子中学校
共立女子中学校1886(明治19)年、当時の先覚者たちが創立した共立女子職業学校が前身。2006(平成18)年に高等学校からの生徒募集を停止、中高の校舎も一体化した新校舎となり、完全中高一貫校に。「女性の自立」という建学の精神と「誠実・勤勉・友愛」の校訓に基づき、どのような場所・場面においても輝き、翔ばたくことができる女性を育成。比較的生徒数が多いこともあり、学校生活は活気に満ちていて、行事もとても盛ん。
2期制・週6日制により、主要教科に対する十分な授業時間を確保。早期から将来のビジョンを描かせる啓発を行い、高校2年生から3つのコースを設定し、進路に応じて指導。完全一貫体制後の卒業生が2012年から出ていますが、その成果も特筆もの。併設大学の合格を得たまま他大学受験も可能で、併設大学・短期大学へは例年10~15%が進学。補習や補講などのバックアップ体制も整備。英語は『ニュー・トレジャー』STAGE1~5を使用し、実践的な英語力を養成します。
心の教育も重視し、「礼法」の授業は中学3年間必修。小笠原流の形を基本に、落ち着きのある美しい振る舞いとともに、思いやりや気配りを身につけます。主要教科以外も手を抜くことなく、本格的な授業内容となっており、美大・音大に進学する生徒も少なくありません。クラブではバトン、吹奏楽、音楽、ソフトテニスなどが強く、太極拳、能楽、弦楽合奏など珍しい部も。