中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

共立女子中学校

2014年09月掲載

共立女子中学校【国語】

2014年 共立女子中学校入試問題より

共子さんが漢字辞典で「科」という字を引いてみたところ、下のように書かれていました。

【科】総画数9画
字のいみ
①ものを区切って分けたもの [例]科目
②生物の分けかたの区切り [例]バラ科
③すじみちをたてて調べること [例]科学
④つみ [例]前科

同じように、小学校一、二年生で学習する、ある漢字【1】~【4】を漢字辞典で引いたところ、次のように書かれていました。
それぞれ何という漢字を引いたか考え、その漢字を書きなさい。

【1】総画数4画
字のいみ
①かたよらない、正しい
②世の中、社会
③国や役所につながりがあること
④おもてむき
⑤どれにもあてはまること
⑥そんけいの意味を表すことば
⑦親しい呼び方
【2】総画数4画
字のいみ
①むかしの時刻のあらわし方でまひる
②むかしの方位のあらわし方でまみなみ
③むかしのこよみの五月
④十二支の七つ目
【3】総画数12画
字のいみ
①おおぜいでなにかをするときや、たくさんあるもののじゅんじょ
②みはりをすること
③試合や勝負をかぞえるときにつかう
④ふだんつかうもの、そまつな
【4】総画数4画
字のいみ
①あや、もよう、かざり
②じ、もじ、書体
③書いたことば
④てがみ
⑤本、記録
⑥学問
⑦むかしのお金の単位

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この共立女子中学校の国語の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、出題意図についてのインタビューを見てみましょう。

解答と解説

日能研による解答と解説

解答
  • 【1】公
  • 【2】午
  • 【3】番
  • 【4】文
解説

この問題には、さまざまなアプローチをすることができます。
ここでは、三つの方法を紹介します。

【一つめ】
複数示された「字のいみ」の説明のどれかに目を向けて、その意味がふくまれる言葉を考えるという方法はどうでしょう。たとえば、【1】を見てみましょう。①「かたよらない、正しい」という意味から「公平」という熟語を思いおこします。②の意味から「おおやけ」、⑥から「○○公」などという言い方を思いおこすと、①と共通するのは「公」という字です。そして「公」は「総画数4」ですから、「公」が答えだと判断できます。
【二つめ】
確実に知っていることだけをもとにしても答えにたどりつくことはできるかもしれません。たとえば、【2】を見てみましょう。「④十二支の七つ目」という説明から、「ね、うし、とら……」と数えていくと、七つめは「うま」です。この「うま」が「馬」ではなく「午」であるということを知識として持っていると、ほかを見なくても答えは決まります。もちろんほかの意味の説明を読んで、むかしの時間や方角についての知識と結びつけて答えることもできます。
【三つめ】
中には、意味から漢字がすぐうかぶものとそうでないものがあるかもしれません。たとえば、【3】を見てみましょう。①「じゅんじょ」からは「順序」しか思いつかないことが考えられます。また、③「試合や勝負をかぞえる」④「ふだんつかうもの、そまつな」という情報を「番」と結びつけるには、「結びの一番」「番茶」など、高度な知識が必要でしょう。知識として思いおこせなかった場合、②「みはりをすること」で「見張り番」を思いおこし、「それなら、①の『じゅんじょ』は○番目ということかも」と情報を修正し、「総画数12」でたしかめる、という方法もあります。

問題に取り組むことを通じて、「ああ、そういうことか!」といった新たな気づきや知識のつながりも生まれ、新たに学ぶこともできる魅力があります。

三つの方法を紹介しました。それ以外にもあるかもしれません。ここでとりあげなかった【4】について、あなたならどのようなアプローチをしますか。

日能研がこの問題を選んだ理由

漢字辞典を引くという設定で、総画数と「字のいみ」の説明をもとに、何という漢字を引いたのかを考えて書く問題です。

この問題では、漢字の意味を知っているかどうかという知識を確認するだけではなく、複数の意味の説明をもとにして自分の知識や体験をさまざまにつなぎ合わせ、なおかつ示された総画数である漢字を想起することができるかどうかというチカラが求められているといえます。また、小学一・二年で学んだ比較的易しめの字に関するさまざまな知識を、つなぎ直し深めていくことができているかどうかも見られているともいえます。

情報を統合し、自分の知っている知識と結びつけて想起していくチカラは、中学進学後もずっと使い続けることができます。また、この問題は、答えに至る方法が一つではなく、複数のアプローチが可能であるという点にも魅力を感じました。

以上の理由から、日能研ではこの問題を□○シリーズに選ぶことに致しました。