中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

成城学園中学校

2014年08月掲載

成城学園中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.中学では、とくに「証明」で数学的かつ論理的思考力を身につける

インタビュー2/3

中学に入ってからの授業は、幾何と代数に分けているのですか。

冨田先生 1年の2学期から分かれます。1学期までは週に5時間、立て続けに計算をやり、正負の数とか文字式などを定着させます。また、2年生の幾何では、40人を能力別ではなく単純に2分割してやっています。1年の3学期から合同の証明を始めるのですが、そこから2年の分割につなげ、幾何の証明は3年の1学期までやります。

性質や定理を述べて、それを証明させて、さらにその定理を使った問題を解く。2年になってからは、中間に向けて1冊、期末に向けて1冊と、我々教員が作った冊子を『証明問題集』として配ってやらせています。

いろいろなスタイルがあると思うのですが、僕は、その冊子を使って授業を進めていっています。“証明”限定の冊子なのですが、それ以外の角度や長さに関するものについては、各教員がプリントを作成して補っています。

幾何に限らず、教材については中学校の段階では各教員が独自のプリントを作ってやっています。もちろん教科書と併用しながらという場合もありますが、併用しない教員もいます。最近ではこういった教員の裁量で指導できる「自由」が、外部からは「不公平」と捉えられてしまう向きもあるようですが、僕としては大事にしたいところです。

成城学園中学校

成城学園中学校

小学生のときはやってこなかったので、証明の世界になかなか入れない生徒さんもいると思うのですが、幾何の授業は、どういうふうになさっているのですか。代数だと方程式という武器を身につければ、ある程度機械的にできるイメージをもつ生徒さんもいますが、証明はそれとは逆のものですから。2つの授業の流れとか、生徒さんたちの様子はいかがですか。

冨田先生 証明を指導していく中で、仰る通り、なかなか乗ってこない生徒も事実います。でも、週2時間の多くの時間を証明に充てていく、それを1年間積み重ねていくと、みんななんとなくわかってくるんですよ。仮定からやみくもに成り立つことを考えるのではなく、結論を意識して考えることや常に何行か先のことを考えながら証明という記号列を作っていくことがなんとなくわかってくる。ある式から次のステップとして許される次の式は何かを考えるようになる。例えば、三角形の合同の式に振られた番号を引っ張ってきて書ける式は「対応する角」あるいは「対応する辺」という理由付けの式だけで、それ以外は許されない、といったようなことが意識されていくようになる。その表現方法、書き方については、例えば「底角は等しい」という定理を使いたければ、こう書くといったように、僕と生徒の間で書き方のルールを設けて1年間やります。だから証明もある意味、機械的な作業かもしれません。最初は意思の疎通がなかなかできなくてもやっているうちに書き方がわかってくる。次にどの式を書けばいいのか、いくつか候補があるなかで結論を見据えて取捨選択ができるようになる。そういった変化には、スゴいなと感じる時があります。

学ぶことには、調べるという作業が必ずついてきますので、小学生も最初は面倒がるんですね。ですから、きっとそういうことに慣れていないと、証明も面倒だと思うかもしれませんが、でも、先生がおっしゃるように調べることを面倒に思っていた生徒さんたちも、1年間続けていくと、調べるのは当たり前のことで、調べないといられなくなるのかもしれませんね。最初は、やっていなかったから入っていけなかっただけで。

冨田先生 そうですね。3年になると円を扱っていきます。分割はしませんが1学期まで証明問題集は続けていきます。これが、割と出来がいい。証明だからといって、頭から受け付けないという生徒はほとんどいないですね。それだけ書く力はついてきているということでしょうか。言葉は悪いですが、証明についてはバカ正直にやっています(笑)。

証明に力を入れるというのは、数学科の先生方で意識してやられていることですね。

冨田先生 そうですね。そうでなければ、分割して、ここまでていねいにやっていくことはないでしょうね。

証明以外の分野についても、ついでにお伝えすると、中1で学習する比例・反比例という分野で「比例・反比例」という考えにとどめず、xからyへの関数ということを強調して扱っているところも、うちのカリキュラムの特徴ではと考えます。とくに中3の二次関数では高1の内容の平行移動したものにすぐ入っていきますので。

また、数学学習の特色としては、高3でも数学をやらせているというのがあります。ただし、他大学の文系受験者は除きますが、成城大学の文系に進学する生徒は履修しなければなりません。

数学は大事だといわれる反面、嫌いな人も多いですから、厳しいですね(笑)。

冨田先生 今年から始めたことなので、今の高3がどれほど苦しんでいるかまたは楽しんでいるかわからないですが(笑)、行列とか二次曲線などを学ばせています。

これは極めて個人的な意見になりますが、僕は別に生徒たちに数学を好きになってもらいたいなんていう気持ちはあまりありません。好きとか嫌いという個人の好みの問題に他人が立ち入ろうというつもりはありません。それをどうこうしたいとは思いません。ただ、6年間、生徒が数学をやってきて、うまく表現ができませんが、何か常に気になるような存在だったなと、そんな風に感じてくれればそれで十分なんじゃないかなと思っています。

成城学園中学校

成城学園中学校

インタビュー2/3

成城学園中学校
成城学園中学校1917(大正6)年、日本教育界の重鎮である澤柳政太郎が開設した成城小学校を原点とし、7年制の旧制高等学校の伝統を継承しています。創立当初から「自学自習」「自治自律」精神を大切にする自由な校風。
中学1年は30名の8クラス編成。英語を重視し、少人数制授業や習熟度別授業を導入。全ての生徒が大学に進学することを前提とし、中学では基礎学力をしっかりと身につけます。補習も充実。中学3年の3学期に行われる「選択授業」では、芸術・実技系教科の多彩な講座から1つ選び、週4時間を使って作品製作、発表などに取り組みます。高校2年、3年で「主に成城大学への進路希望」(Aコース)、「主に他大学文系への進路希望」(Bコース)、「主に他大学理系への進路希望」(理数コース)の3コースに分かれます。生徒一人ひとりの幅広い進路へ対応できるサポート体制も充実。また、選択授業として行われる「自由研究」では、多様なコースの中から個性や興味、適正に基づいて好きな授業を受け、教科を超えた分野の研究や体験、作品制作を行います。併設大学進学率は50~60%。難関大学へのチャレンジする生徒が増え、併設大学にない理系(医歯薬系)を中心に他大学進学者もいます。
中学2年で行われる「山の学校」では、北アルプス登山に挑戦。中学1年で行われる「海の学校」では、遠泳に挑戦したり、ライフセービング実習を体験するなど行事も多彩。
クラブは、中学ラグビー部が全国大会、テニス(男女)、陸上(男女)は、関東大会レベル。高校では陸上(男女)、女子グランドホッケーが関東大会レベルで、一貫性も活躍。今年度男子テニス部が全国大会出場を決めました。創立100周年を迎えるにあたり、2016年に中高一貫校舎が完成予定。新しい学習システムも導入します。