中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

昭和女子大学附属昭和中学校

2014年05月掲載

昭和女子大学附属昭和中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.「読む・聞く・話す・書く」4技能を中学はバランスよく、高校は集中して鍛える

インタビュー3/3

『読書ノート』に6年間の感想文を記録

渡辺先生 中学の3年間は、「読む・聞く・話す・書く」の4技能をバランスよく鍛えます。例えば「読む」については本に親しむ習慣をつけようと、毎週月曜日の授業前の15分間を読書の時間に充てています。また中学生、高校生のうちにそれぞれ読んでおきたい本を紹介した小冊子『昭和の100冊』を配布して、読書の質の向上につなげています。『昭和の100冊』にある本をすべて読み、「おすすめの本はないですか」と聞いてくる生徒は、現代文の授業でもこちらの投げかけによく反応します。読書量と国語力には相関性があります。

読んだ本は、A5サイズ程度の「読書ノート」に記録します。少なくとも年5冊の課題図書を読み、感想文を書いて指定日に提出、教員が添削しコメントを書いて返します。6年間1冊のノートに記録するので、定期的に見直すことで思考や表現力が磨かれていきます。基本的には3ページ(900字)ですが、中1のはじめは2ページで、高校生は必ず3ページ以上というように、学年に応じて求めるレベルも違います。

中1の授業の1時間は、司書教諭が辞書の使い方や資料の検索方法などを教えます。電子辞書を使わないわけにはいきませんが、紙の辞書が全く使えないというのでは困ります。図書室で授業するので実物をすぐに手に取ることができます。司書教諭には読書指導も徹底してもらっています。

昭和女子大学附属昭和中学校 先生

昭和女子大学附属昭和中学校 先生

短歌づくりを通じて物事をよく見るようになった

渡辺先生 授業以外でも書く機会が多いのが本校の特徴です。学校行事の折にふれて原稿用紙3枚以上の作文を年2~3回書いています。詩や短歌も創作します。ちょうど今、母の日の詩歌を募集中です。宿泊研修では短歌を1日2首作り、優秀作品を「今日の20首」として発表します。

小西先生 短歌のテクニックをアドバイスすると、その日の創作にすぐに活かそうと意欲的で感心します。

渡辺先生 短歌をつくるようになって、高3からは「物事をよく見るようになった」という声を聞きます。クラスメイトの作品を通じて、いろいろな切り口があることに気づき、常にアンテナを張って物事を見るようになったのは嬉しい成果です。

同年代で話し合える学校のよさを活かす

渡辺先生 高校では各技能に特化した授業を設けています。週3~4時間の現代文の授業のうち1時間を、高1は「読む」、高2は「聞く」「話す」、高3は「書く」技能を集中的に鍛え、国語力の段階的な強化を図ります。

高1では文の構造理解に力を入れ、文法を復習して日本語と英語の文章を比較します。高2はディベートに取り組みますが、その準備として高1の途中からプレゼンテーションを行います。高3ではディベートで培った思考法を小論文に応用します。自分の中でディベートするような感覚で小論文を書くと、論理的に説明できるようになります。

私は高3の小論文を指導しています。書くのは1人の作業なので、授業はグループでの話し合いに割きます。お互いが持っている情報やアイデアを出し合い、ワークシートにまとめます。それを元に小論文を書くのは授業外で行います。同年代で話し合える場は学校以外ではあまりないので、授業は話し合いができる学校のよさを最大限に活かすように心がけています。

昭和女子大学附属昭和中学校 校舎

昭和女子大学附属昭和中学校 校舎

高3は『2人で50分』のプレゼンに挑戦

渡辺先生 選択授業は少人数で興味関心の高い生徒が受けているので、通常の授業では難しいことも可能です。「現代文購読」では2人で50分のプレゼンを行います。大学のゼミのように、大学生が読むような作品を分析し、レジメンも作成します。発表して終わりにならないように、発表後のフォローも欠かせません。

また発表者以外は全員、作品についての質問を質問カードに記入して提出、発表に参加します。発表者は自分の興味関心だけでなく、その質問にも答えられるように調べます。ここまで自力でできるのは、時間をかけて国語の土台をつくってきた高3だからです。

本校は、週2回朝礼時にクラスで3分間スピーチする「感話」など発表の機会が多くありますが、1人に与えられる時間は10分程度です。50分という長い時間のプレゼンを経験して初めて気づく自分の強みや弱み、興味関心があります。高3の選択授業は、生徒の国語力や意欲をさらに伸ばせるように、教員も頑張らなければと思います。

他者を理解して世の光となろう

貴校の入試の素材文を読むと他者理解を解いているものが多いように思います。そうしたところにも自然と、創立者の思いが反映されているのではないでしょうか。

渡辺先生 素材文は他者を理解する、尊重する内容を意識して選んでいます。まず自分のことがわかった上で、相手のことをどう考えるかを問えるような文章を選ぶようにしています。

建学の精神「世の光となろう」は、他者のために自分の力を尽くすことです。ろうそくが自分の身を削りながら周りを照らすように、小さなあかりでもいいから他者にあかりを灯せる人間を育てることが本校の目標です。ディベートなどで他者への理解を深めるスキルを身につけ、それを学校行事や日常生活に活かしてくれればと思っています。

昭和女子大学附属昭和中学校 先生

昭和女子大学附属昭和中学校 先生

SGHの指定やユネスコスクールへの加盟が決まる

小西先生 他者理解は本校が特に力を入れたいところです。本校は「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」に指定されました。他者理解やコミュニケーション能力といった本校の強みを活かしたグローバルリーダーを育成したいと考えています。

また、2012年10月にはユネスコスクールへの加盟が承認されました。この3月に本校の生徒が高校生日本代表として「ESD国際交流プログラム」に参加し、パリのユネスコ本部で本校のESD活動などを英語でプレゼンしました。これからは海外の学校との交流も楽しみです。

渡辺先生 加盟にあたり国語科では環境や平和を扱った教材を導入しましたが、テーマを通して批判的な考え方を養ったり討論したりすることが、持続可能な社会の担い手を育てることになると思います。国語科がこれまで取り組んできた論理的思考力を伸ばしていくことは、ユネスコスクールのプログラムに重なっていくのではないかと思います。

昭和女子大学附属昭和中学校

昭和女子大学附属昭和中学校

日本にいながら国際交流できる恵まれた環境

小西先生 大学内に2006年に開校した「ブリティッシュ・スクール・イン・トウキョウ・昭和」との交流も、新たな段階に入っています。春休みには本校の生徒がブリティッシュ・スクールに“留学”しました。海外に行かなくても国内で国際交流できる恵まれた環境を活かさない手はありません。生徒同士が日常的に交流できるようにすれば、いろいろなことができるでしょう。ブリティッシュ・スクールとの関係を太くして、グローバル人材の育成に弾みをつけたいところです。

インタビュー3/3

昭和女子大学附属昭和中学校
昭和女子大学附属昭和中学校1920(大正9)年に人見圓吉が創設した、日本女子高等学院が前身。建学の精神である「世の光となろう」のもと、「清き気品、篤き至誠、高き識見」の言葉を掲げ、人格と能力を兼ね備えた、社会に貢献する人材の育成をめざしています。
都心に位置しながら、豊かな緑に恵まれた広々とした構内には、式典・講演会のみならず、外部の利用からも高い評価を得ている人見記念講堂、人工芝グラウンド、可動式スタンドを備えた新体育館、年間を通して利用できる温水プール、46万冊もの蔵書を有する大学図書館、日本文化の授業や音楽・国語の授業で使用される茶室があります。
昭和女子独自の中高一貫積み上げ教育を実践し、高2年で高校課程を修了。その後は、高校に籍を置いて併設大学で学ぶ「五修生制度」や、併設大学への被推薦権を得たまま他大学受験も可。併設大学への内部進学率は低下していて、2016年は30%でした。
週6日制で授業時間を確保し、多様な進路に対応できるカリキュラムを展開。朝読書、3~4分間のスピーチを行う「感話」、中学1年・中学3・高校1年・高校2年の「私の研究」、「昭和祭研究」があります。また、中学校の生徒全員が3年間にわたって行う「ザ・ボストンミッション」は、中学1年~2年で準備研究、中学2年の終わりにアメリカキャンパス「昭和ボストン」で12日間の海外研修を経験。帰国後、その成果を英語で発表します。アメリカの歴史や文化を学びながら、現地の生徒とも交流し、国際感覚や英語運用能力を養っていきます。さらに、キャンパス内にあるブリティッシュ・スクールとの交流もあり、文化の違いを体験しながら、コミュニケーション力や協調性を養っていきます。
「ユネスコスクールプログラム」では、思考力・応用力・表現力を磨く取り組みが行われています。高校3年では、第2外国語(6カ国語)を選択することができます。
上級生と下級生が一緒に清掃や作業を行うことで、思いやりや協調性を育てる「朋友班活動」、企画から運営まですべて生徒たち自身で行う「感謝音楽祭」、中学1年~高校2年生が学年ごとに学校所有の宿泊施設で4泊5日の共同生活を送る「学寮研修」など、昭和ならではの独自の取り組みがあります。
木曜日の必修クラブのほかに、課外クラブ活動もあり、放送部が全国大会、水泳、書道、陸上部なども大活躍。珍しいドッジボールもあります。