出題校にインタビュー!
昭和女子大学附属昭和中学校
2014年05月掲載
昭和女子大学附属昭和中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
2.入試では基本的な「読む力」と「書く力」を試す
インタビュー2/3
国語科以外の教員も素材文を検討
小西先生 本校では問題を作る前に、国語科以外の教員も素材文を検討します。テーマが小学生に難しすぎないか、本校の教育方針に沿っているかなど、入試問題として適切かどうかを専門外の目を通して吟味します。
渡辺先生 素材文は他校と極力重ならないことも大事です。A日程の説明文は、2013年に話題となった「式年遷宮」についてでした。関連書籍が多数ありましたから、重複しないように書店で式年遷宮のコーナーに置かれていないものをあえて選びました(小関智弘著『町工場・スーパーなものづくり』)。
この本は2009年出版で、前回の、20年前の式年遷宮について書かれたものです。ブームで出版されたものではない“掘り出しもの”だと思いました。
渡辺先生 A~C日程の6つの素材文のうち、タイムリーな人物や出来事、注目された言葉など時事的な事柄を少なくとも1つは入れるようにしています。過去には、ノーベル平和賞を受賞して本校でご講演いただいたワンガリ・マータイさんを取り上げました。
入試部長/小西 泰先生
時事的な用語は漢字で書けるようにしよう
渡辺先生 漢字・慣用表現の問題は、8~9割は取ってもらいたいのですが、漢字の書き取りは年々書けなくなっています。今回、A日程で初めて三字熟語を出しましたが、日常的な言葉の「冷蔵庫」や、よく出る漢字として参考書や問題集に載っている「週刊誌」など、予想以上に書けませんでした。「非課税」は難しいかもしれませんが、税の話題はこの1年、ニュースでかなり取り上げられていたので、時事的な用語は漢字でも書けるようであってほしいと思います。
コツコツ勉強する生徒が少なくなった
渡辺先生 漢字問題の答案をみると、コツコツ取り組めるかどうか受験生の学習習慣がわかります。本校では学校独自の漢字検定を年10回実施しています。全20問、85点以上が合格で、不合格なら再試です。入学前の課題が範囲の1回目は100%近い合格率ですが、2回目以降は50%程度に大きく低下してしまいます。出題範囲がわかって合格率が低いということは、コツコツ勉強する生徒が少なくなっているということだと思います。
小西先生 漢字検定が近づくと、昔の生徒は通学の電車内で必死に覚えていましたが、今の生徒は取り組みが甘い。“不合格は自分だけではないから”という雰囲気があります。
渡辺先生 ここ数年そのような状態で、国語科でも頭を悩ませています。
昭和女子大学附属昭和中学校 校舎
文章を丁寧に読めば答えにたどりつけるはず
渡辺先生 本校の読み取り問題の中では、文中の問いの下線部と正解が離れている問題を意識的に出しています。こうした問題は文章を丁寧に読んでいけば答えたどりつけますが、出来具合はあまりよくありません。下線部の近くから答えを探した誤答が目立ち、文章をあまり読んでいないことがわかります。
小西先生 A日程の漢字・慣用表現は、問一が「カタカナを漢字で書きなさい」、問二が「読み方をひらがなで答えなさい」という問題です。問一につられて問二の答えをカタカナで書いてしまうと不正解です。意地悪に思うかもしれませんが、きちんと読んでいれば防げるミスです。こうした短い文にも注意して読んでほしいですね。
渡辺先生 本校は文章を読む・書くことをかなり徹底しますから、根気強く取り組めるお子さんに入学してほしいですね。勉強の基本は地道に頑張ることです。当たり前のことですが、当たり前のことをきちんとできる継続力を大切にしたいと思っています。
インタビュー2/3