出題校にインタビュー!
昭和女子大学附属昭和中学校
2014年05月掲載
昭和女子大学附属昭和中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
1.100字の記述問題で受験生の日常に踏み込む
インタビュー1/3
面接の代わりに、受験生の人柄が見える問題を出題
渡辺先生 本校は毎年、100字以内で自分の考えや感じたことを書く問題を出題しています。100字記述の問題は面接の代わりとして、受験生の人柄が見えるような問いにしています。入学してくる子供たちの考え方の傾向をつかんで、国語科の教員で共有して授業の方向づけに役立てています。その情報は中1の担当教員にも伝えられます。
本校は入学してから文章を書く機会が非常に多いので、書くことを厭わないお子さんに入学してほしいと思っています。それも100字記述のねらいの1つです。問題に誠実に向き合って書いたものについてはきちんと評価します。

国語科/渡辺 琴絵先生
選んだ動詞は習い事や好きなことにちなんだものが多かった
渡辺先生 受験生が選んだ動詞は様々でした。傾向としては、習い事にちなんだ動詞、ピアノを習っていれば音楽に関係のある「弾く」や「歌う」などを挙げていました。好きなこと、得意なことに関連した解答もありました。例えば「走る」を選んだ理由として、「走ることで自分の気持ちがリセットできる」と書かれていました。受験生が選んだ動詞から、子供たちの暮らしぶりを垣間見ることができました。
自己分析できると踏み込んだ理由が書ける
渡辺先生 解答として必要な要素は、動詞とその理由です。動詞は自分自身を表現していることが条件なので、理由は具体性も求めます。答案を見ると、文章の内容を概ね自分に取り入れることができていました。満点は難しくても、合格者は6~8点は取れていたと思います。
目標を持っているとわかる受験生の解答は、小6なりに自己分析できていました。「自分の足りないところは○○だから、それを克服するために『××』という動詞をいつも心にとめている」というようなことが書けていれば、この文章の趣旨を自分の中に落とし込むことができたとわかります。ただ、そうした文章は少数です。
100字記述はこちらが感心するような答案が年々減っています。この問題の場合、その動詞を選んだ理由にあまり踏み込めていません。誰にでもあてはまるような理由では物足りなさを感じます。

昭和女子大学附属昭和中学校 校舎
文章のテーマが読み取れず、動詞以外の解答も
渡辺先生 本校の入試問題は、長文読解2題と漢字・慣用表現1題の構成です。長文は説明文と物語または随筆文ですが、この問題の素材文(齋藤孝著『人生は「動詞」で変わる』)は、やや説明的な言い回しがあるものの、主観的な要素が非常に強いことからエッセイと位置づけました。子供たちに言葉に敏感になってもらいたいと思い、1つ1つの言葉を意識できているか、言葉を自分のものにできているかどうかを問いました。
文章を読んで、どのような言葉が動詞なのかを読み取ってもらいたかったのですが、中には内容をよく理解できなかったのか、動詞ではなく、四字熟語の座右の銘や、「愛」や「笑顔」といった名詞の解答もありました。この場合は「愛する」や「笑う」というように動詞に変換して答えてほしいところです。文中や問題の選択肢に動詞の例が多数あるので、これをヒントに考えてもらいたかったですね。
長文読解は、順番に問題を解いていくと文章の意図を読み取れる構成になっています。読み取りが難しいところは選択問題にしています。問題の流れにうまく乗ってくれれば、最後の100字記述の出題意図もつかめると思います。
インタビュー1/3