中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

鎌倉女学院中学校

2014年04月掲載

鎌倉女学院中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.理系志望の生徒が増えている。実生活の中で好奇心をもって手を動かし、数学的感覚を養おう。

インタビュー3/3

数学が得意ではない子がタングラムや数独で力を発揮

タングラムと数学は違うものなのでしょうか。

増村先生 違うものとしてとらえている子もいますし、両方得意な子もいます。数独なども、学期末、年度末などに息抜きを兼ねて行うと、同じような傾向が見られるので、わからないですね。

タングラムが得意な子は、文理に分かれる時にどちらを選ぶ傾向ですか。

増村先生 どちらかというと文系でしょうね。

蓬田先生 数学科の教員は、6年間持ち上がりというのが、あまりありません。だから、6年間で生徒にどういう変化があったかはつかみにくいのです。私は高2、高3をもつことが多いので、それまでの経緯をあまり知らないのですが、ある卒業生は、小学校の時、塾通いを始めた時に図形の基本的なところが終わっていて、それから図形に対する苦手意識が強くなったと言っていました。中学に入っても挽回できなくて、高校で頑張ると決めて、予備校へ行かずに頑張っていました。自学で東工大に入ったので、そういう話を聞くと、本校の授業をしっかりやってくれれば、素晴らしい結果を残せることを実感させてもらえますよね。その子は数学だけでなく、英語も得意とはいえなかったようで、中学時代は補講にも出ていたようですが、学力というのは意思があれば伸びるんですね。

数学科/増村 武将先生

数学科/増村 武将先生

徹底した追試・補講体制で中学生は全員が一定ラインをクリア

数学の授業で特長的なところを教えてください。

山崎先生 追試、補習は徹底的にやります。受験に数学は関係ないと言っても、そこはしっかりやらせます。中学生の場合は、定期テストやまとめテストのたびに何点以下は追試。それで点数が取れなければまた追試と、しつこくやっています。それでも点数が取れない場合は補習に呼んで、理解するまで説明します。中学生の場合は、全員が一定のところをクリアできるまでやりますね。

敦賀谷先生 私は、問題に対してどう考えるのか、自分の思考を授業で再現しています。「これはこう解く」という教え方ではなくて、自分がこの問題を解く時のプロセスをそのまま再現することを大事にしているので、生徒はそれを見て、「こういうふうに考えるのか」とわかってくれています。別解をたくさん用意して「こうも考えられるけど、こうも考えられるんだよ」というと、「先生、これはどうですか」という声が挙がることも。それも取り上げてやってみますが、先に進まなくなり、授業中に固まったこともあります(笑)。

限られた時間の中でさまざまな工夫

そういう授業は理想ですが、時間がかかりますよね。

増村先生 限られた時間でやっています。

蓬田先生 もともと数学はカリキュラム上、標準単位なので、その中でいろいろなことをやるのは難しいのです。ですから問題を見極めて行っています。アプローチの仕方を考えさせたほうがいいものあれば、そこまでしなくてもいいものもありますから、そこを見極めて、いろいろな部分につながっている問題には丁寧に取り組んでいます。

限られた時間の中で、先ほどおっしゃっていた女子が興味をもちそうなアプローチも盛り込んでいるのですから、すごいですよね。

山崎先生 やってみたら、女の子が好きなことだったという感じなんですけどね。

いろいろやってみて、よかったものが毎年、残っていくということですね。

蓬田先生 そういうことをやると、通常の授業では感じられない粘り強さなどがわかり、数学の能力ではない、受験に向かっていく姿勢も見ることができますよね。

そういうものも評価に含むのですか。

蓬田先生 細かい評価はできていません。

山崎先生 教科によっては提出物が多いので、出さなければ出さないという評価をつける教科もあると思いますが、数学科では出さないことを許しません。どんなに遅れても、残してでも、全員出すというところを目指しています。ですから、提出物を出したかどうかも、評価の対象にはしないようにしています。

鎌倉女学院中学校 先生

鎌倉女学院中学校 先生

アナログ的授業でイメージをふくらませる

蓬田先生 どの生徒にも「先生は図をきれいに描く」と言われますが、私が意識しているのはそのくらいです。だからよく生徒に「楕円を描いて」と言われます。サイクロイドという曲線があるのですが、これもアナログでやっています。自分で円を作り、紙ヤスリを貼り付けて、すべらないようにし、転がして、プロットして、こういう曲線になるだろうということを実際に見せています。アナログで授業を進めて、丁寧に図形やグラフを描くことにより、イメージがふくらむ。それが図形や関数の問題を前にした時にイメージを作って取り組む力になると信じて取り組んでいます。難しい問題を簡単に解くということを教えているつもりはないです。地道に取り組む姿勢を重視しています。

そういう力を身につけて、生徒さんは受験を突破していくのですね。

蓬田先生 そういう実感はありますね。予備校に行っている子がほとんどですが、予備校でやっていることと、学校で行っている地道に論理立てて解くこと、その両面を身につけて受験を突破していると思います。

理系志望が増えている

文理の割合はどのくらいですか。

蓬田先生 だいたい3対1です。今年の卒業生は、数IIIまで必要とする理系が47人(1学年は約160人)と少し多めでした。ただその下の代(新高3)も52人ですから、少しずつ増える傾向にあります。

数学科に進む生徒さんもいますか。

蓬田先生 そんなに多くはありませんが、数年前に続けて教育実習に戻ってきた生徒がいて、今は別の学校で教員をやっています。5年前に出したクラスには数学志望の生徒が3人くらいいて、一人はお茶の水女子大学で、そのまま研究をしたいと言っていました。教員だけでなく、最近は数学の道を極めていく、物理の道を極めていく、という生徒が増えています。先ほどの東工大へ進学した卒業生も、物理の研究者になりたいと言って入学しました。

鎌倉女学院中学校

鎌倉女学院中学校

子どもの頃のブロックやパズル遊びが数学に役立っている

最後に、算数が楽しくなる学習方法があれば教えてください。

山崎先生 基礎がしっかりしていれば、そこから応用力はついていきますから、基本的なことをしっかり理解することが大切だと思います。ただ覚えるだけでなく、考える習慣をつけるといいと思います。

敦賀谷先生 この問題は何を聞いているのか、ということを理解して解くことが大事だと思います。多面的な物事の見方というのは、机に向かって問題を解いていてもなかなか身につきません。違う方向から見ないと見えない部分があるので、そういう体験をしてほしいと思います。

先生は好奇心旺盛なお子さんでしたか。

敦賀谷先生 そうですね。小さい頃からブロックやパズルが好きで、レゴブロックなどもずっとやっていました。そういう体験が役立っていると思います。

ネジ回しでモノを分解するなど、いたずらに見えることも少し見守ろう

山崎先生 実体験というのは小さい時にしかできないことなので、小さいうちにいろいろ経験してほしいですね。私はネジ回しを持って、いろいろなものを分解するのが大好きでした。「どうなっているのだろう」という好奇心が勉強の中でも役立って、問題を解く時も「なぜ?」という疑問をもって深く考えると楽しくなると思います。楽しくないと勉強も進まないと思うので、そういうことを大事にしてほしいと思います。

親も、すぐに止めてはいけないということですね。

山崎先生 そうですね。どうしても、いたずらのように見えて「ダメ」と言ってしまうのですが。少し見守ることができると、変わってくるのではないかと思います。

蓬田先生 アナログ的なものを大事にしてほしいですよね。実際に手を動かしてみるということですね。

鎌倉女学院中学校 先生

鎌倉女学院中学校 先生

解き始める前に一拍置く習慣をつけよう

増村先生 本校の理科の主任も言っていますが、紙面ではなく、実際にあるものを見ることが大事。たとえば普段使っている自転車の構造を考えるなど、遊びながらいろいろな体験をするといいと思います。

蓬田先生 生徒を見ていると、非常に訓練されているところが見受けられて、ちょっと気になっています。計算は特に、問題を見た瞬間に手が動く子がいますが、解き始める時に一拍置いて考える姿勢を身につけると、いろいろな意味でミスを冒さなくなると思います。また多面的にものを見る習慣も身につくと思います。

インタビュー3/3

鎌倉女学院中学校
鎌倉女学院中学校1904(明治37)年に漢詩人の田辺新之助が開成中学校校長在任中に、逗子開成とともに湘南地区の女子教育のためにと設立した私立鎌倉女学校が始まり。1948(昭和23)年に鎌倉女学院となり、中学・高校を併設。1993(平成5)年に高校募集を停止。2004年に、創立100周年を迎えた。
古都鎌倉のなかでも由緒ある閑静な環境にある。2005年に新校舎が完成。地上4階・地下1階建て、普通教室のある「サウスウィング」にはアトリウムがあり、明るく開放的。陸奥ホール、図書室、コンピュータ教室、和室、大教室、ビオトープなどの施設がある。校外施設の天城山荘では、自然観察や歴史探訪が行われる。
「鎌女(かまじょ)」の愛称で親しまれている同校は、古くは「鎌倉夫人」と呼ばれた名流婦人を輩出し、根強いファンが多い。創立以来「真摯沈着」をモットーに、ベテラン教師と若手教師陣が連携し、心身ともに健康で、国際性豊かな人間の育成に努めている。創立100周年を機に、国際理解教育・日本伝統文化理解教育・情報教育・環境教育の4分野を軸とした新しい教育を開始した。
「完全中高一貫校」で、大学進学に向けての学習指導を行い、先取り授業や主要教科重視のカリキュラム構成。特に「語学の鎌女」といわれるほど、英語と国語の教育には定評がある。英語は『プログレス』をBOOK6まで使い、中1~中3まで週6時間あり、うち1時間は1クラスを2分割した外国人教師による英会話を実施。定期テストのあと成績不振者を対象に補習がある。高2から文系・理系コースに分かれ、選択科目を充実させるほか、生徒の実状に応じて少人数制授業や習熟度別学習を導入。国公立大をはじめ、早慶上智大などの難関大学に、現役で多くの合格者を出している。多くの難関大学に指定校推薦枠を持っている点も魅力。
学習面と同じく学校行事も盛りだくさん。5月の体育祭は特に盛り上がる。中学1年・中学2年の夏休みに行われる天城山荘合宿研修は、貴重な青春時代の思い出づくりの場となっている。11月には中学1年・中学2年で鎌倉散策が行われる。クラブは文化系14、運動系9があり、中高合同で活動している。マンドリンギター、バトン部などが活躍している。ほかに授業の一環として「特修科」があり、茶道、華道、書道、フルート、バイオリンの5講座が設置され、希望の講座を選択できる。
高1を対象にしたカナダ英語研修制度やアメリカの姉妹校との短期交換留学もある。授業は2期制で、週5日制。土曜日には日本の伝統文化や国際・情報分野などについて学ぶ「土曜講座」を受講できる。