出題校にインタビュー!
鎌倉女学院中学校
2014年04月掲載
鎌倉女学院中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
2.カードゲーム、タングラム、絵を描くなど、女子の好奇心をくすぐる手法で数学の世界へ導く6年間。
インタビュー2/3
入学後は書くことを覚えさせる
授業で心がけていることを教えてください。
山崎先生 入学後はノートの書き方に始まり、途中式など、書くということを徹底的に指導します。中1では、縦に書いていく計算も、横にずらずらと書く子がいます。こことここを計算するという確認に→を書く子も多いのですが、この先、証明が出てくると、自分の考えをしっかり書くということが大切になるので、そこは注意して書かせいています。「なぜ、こんなふうに書かなければいけないのですか」と聞いてくる子もいます。「答えが合っていればいいのでは?」と言う子もいますが、「とにかく書かなければいけない」と言い聞かせ、時々ノートを集めて、チェックしながら進めています。
定期テストでは、どうしてこの式が出て来たのか。方程式を使うなら、何をxにするか。そういうことを書いてないと減点します。記述問題の場合、答えだけでは、ほとんど点数にならない形で行っています。
「マネをしてね」というところから始めて、ある程度、論理立てて書くことができるようになったら、自分なりの言葉できちんとしたものが書けるようになればいいと思っています。総合学習的なところでもレポートを書かせることが多いので、そういうところともつながっていくと思っています。
数学科/山崎 久美先生
最終的に、地道にものごとに取り組める子が伸びていく
敦賀谷先生 私は、どういう理由で出てきたのか、説明を書かせるようにしていますので、テストでは時間が足りず、かなり苦労していると思いますが、それは根拠がなければ減点の対象になるという形でやっています。
山崎先生 最初のうちは「書くことは面倒くさい」と言いますし、「わかっているからいいですよね」と言う生徒もいますが、式を見ていると飛んでしまうことがあります。頭の中ではわかっていても、いざ書くと、間が抜けてしまうのです。そこで生徒に聞くと「ああなってこうなって…」と、自分で説明しているうちにわからなくなってしまうことがよくあるので、最初は抵抗があっても、段々と「書かなければいけない」ということがわかって慣れていきます。中2になると、書くことにはそんなに抵抗はなくなります。
蓬田先生 そういう意味では、高校生になると、地道にものごとに取り組める子は伸びていきます。
式で絵を描く
蓬田先生 中学から高校にかけて、式で絵を描くという作業もしています。これは高校2年生が立てた式をパソコンに入力して描いた絵です。実際に本人が書いてきた式と絵が一致していますよね。
この生徒は、円をうまく組み合わせて波線を描いています。式をパソコンに入力するのはすごく大変な作業ですが、それをすると実際に自分の立てた式が正しかったかどうかということがわかります。
間違えていると、絵がきちんと描けないということですね。
蓬田先生 そうなんです。
増村先生 定義域を示して、ここからここまでは直線というようにやっていきます。
蓬田先生 これは、今年大学4年生になる生徒のものです。高2にならないと、曲線をうまく使えないんですよね。
増村先生 私は中1を担当していまして、一次関数と反比例だけなのですが、曲線部分はアレンジで描いていいよということで作りました。
これが中1の作品ですか。すごいですね。
増村先生 一昨年までは中2でやっていたのですが、昨年からテキストを「体系数学」に変えたので、今は中1で一次関数をやっています。
鎌倉女学院中学校 生徒作品
絵が上手。発想やアイデアもいろいろで楽しい
絵になるというのは、女子にとって楽しい作業ですよね。
増村先生 正直なところ、数学のテストの成績があまりよくなくても、すごくいい絵を描いて提出している生徒もいます。
蓬田先生 これは高3が描いた作品ですが、この生徒は早稲田大学の建築に入りました。まったく式にミスがなかったです。
増村先生 中2にやらせた時は、式を200くらい書いた生徒がいました。アナログ的な作業に好んで取り組む生徒がいますね。
楽譜も描けるんですね。
蓬田先生 ト音記号も円と直線を組み合わせて描いています。
中1、中2、高2と体験できるのですか。
増村先生 毎年やるわけではありません。今までは中2と高2の理系クラスでやっていました。
山崎先生 放物線の時にやったこともあるのですが、放物線だとうさぎなど、描けるものが限られてしまうんですよね。だから1回でやめてしまいました。
先生も、どんな作品が出てくるか、楽しみですよね。
蓬田先生 (全体的に)絵は上手ですよね。発想やアイデアも、その年によっていろいろあるので、それは楽しいですね。
敦賀谷先生 高校生はこれだけの量なので、冬休みの宿題にして、日数をかけてやらせています。あくまでも自分のアイデアでやるので、絵が人と重なることはあまりないですね。
山崎先生 性格が出ますね。熱心な生徒もいれば、あっさりしている生徒もいます。
増村先生 色を塗っていない子がいたので、「これで完成でいいの?」と聞いたら、「はい。Simple is best」と言っていました(笑)。
鎌倉女学院中学校 生徒作品
正の数、負の数の学びでトランプゲームも
生徒さんの興味を引き出す上で、工夫されていることを教えてください。
増村先生 中1は負の数が入ってきますよね。正の数、負の数の足し算が終わるか、途中あたりのところで、トランプを使って、グループでゲームをやっています。要するに、赤いカードはプラス、黒いカードはマイナスとして、ババ抜きの要領で人のカードを引いていくんですね。それで、自分が一番高い点数だなと思った時にストップをかけるとか。
そのゲームは先生のオリジナルですか。
増村先生 いえ、ネットで知って、多少アレンジを加えながらやっています。入学したばかりで、周りの子たちともあまり慣れていないような時期に、グループで楽しみながらやるので、アンケートを取ると、生徒の評判はよかったですね。
数学が得意という生徒は少ない
算数が好きな生徒さんが入ってきていますか。
増村先生 好き、嫌いは半々くらいです。どちらかというと得意という生徒は少ないですね。最初の授業で、授業の説明やノートのとり方を説明します。その時に得意な教科なども調査すると「数学には難しいイメージがあるから、授業に不安がある」「算数と数学の違いはなんですか」などという質問をしてくる生徒がいます。多かった質問については、次の授業で説明するようにしています。「不安がある」と言えば、「単純に名前が違うだけだよ」と言いますし、苦手だった子にも「これからきちんとやっていくから大丈夫だよ」と言いますが、正直なところ、本校の中では差がついてしまう教科ではあります。負の数、累乗…文字が出てくるとつまずいてしまう傾向があるので、できるだけフォローしています。この夏休みも補講をして、ある程度の文章題を解くことは、かなりの生徒たちができるようになってきました。
中1では、図形が終わるとタングラム(正方形の板を切り分け、さまざまな形を作って楽しむパズル)をやります。すると、すごく楽しそうに集中して取り組む生徒の中に、数学が得意とはいえない生徒もいるので、普段の授業もそのくらい集中してくれたらいいなと思いながら見ています。
鎌倉女学院中学校 先生
インタビュー2/3