『こんな生徒を育てたい』…変わらぬ理念と入試問題

  • Vol. 1554 : 2017/10/31

茗溪学園中学校共学校

茗溪学園は、1979(昭和54)年、筑波大の同窓会「茗溪会」によって、つくば研究学園都市の開発とともに創設されました。
同校の「建学の理念」「教育理念」は、

「人類ならびに国家に貢献しうる、『世界的日本人』を育成すべく、知・徳・体の調和した人格の形成を図り、特に創造的思考力に富む人間をつくる」


ということ。この理念を学園創立以来一貫して実践している、自信あふれる中高一貫校です。
開校当初こそ、陸の孤島であったつくば研究学園都市も、12年前につくばエクスプレスが開通したのを機に沿線の住宅開発が進み、人口の増加と共に入学希望者も増え、学園に対するニーズも多様化してきました。
しかしながら、時代は変わってもこの学校の教育理念は不変です。
この茗溪学園にいったん足を運べば、誰でも学校の教育理念と、雰囲気・授業・行事とが、明確に一致していることを実感するでしょう。

「知」=学力育成はもちろんのこと、「徳」・「体」の育成・調和のために、様々な取り組みがされています。

例えば、男子はラグビー、女子は剣道が「校技」として位置づけられ、毎週1時間体育の授業で取り組みます。

また同校には自宅が遠方の生徒のための寮がありますが、通学生も毎年一定期間「入寮体験」をします。
この短期入寮期間には、先生を囲んでの読書会で人生や未来の夢を語り合ったり、学園都市の様々な関係機関の方々の講演会で知的好奇心を広げたり。はたまた「坐禅会」など…
通常の授業時間内ではなかなかできない総合的・体験的学びの場をつくっています。

高校2年生は、“17歳の卒論”と呼ばれる 「個人課題研究」 に取り組みます。
各自でテーマを考え、課題指導者(教科教諭)の指導のもと、1年かけて研究を行います。
その過程では、大学や研究機関・企業などを訪問し、調査研究の援助・助言を求めることもあるそうです。

こうした様々な取り組みに表れている、「知・徳・体の調和した人格の形成/創造的思考力に富む人間をつくる」という茗渓学園の「教育理念」。
この理念は、毎年の入試問題にも色濃く反映しており、問題傾向が長年ほとんど変わっていないことも驚きです。
例えば、国語は説明や理由を求める記述問題が多くを占め、自分の言葉でいかに伝えるかが試されます。算数は計算や一行題だけで20題近く出題され基礎力重視ですが、途中の考え方を記述する問題もあり、パターンで解ける問題ではなくその場で調べて考える問題も特徴的です。社会では地形図の読み取り、時事問題での意見記述など、日常生活に結びつく事柄が多く出題されます。理科も社会と同じように、グラフや図や写真などの資料が多く載っており、その資料を読み取り分析することで考えさせる問題が多く出題されています。もちろん4教科の配点も時間配分も同じでバランスが重視されています。

各学校が持っている「建学の精神」「教育理念」。つまり、『この学校でこういう生徒を育てたい』という想いは、その学校への入り口である入試問題に色濃く反映している場合が多くあります。
今回は茗溪学園をご紹介しましたが、入試問題を見てみると、その学校が「何を大事に教育を行っているか」「どのようなチカラを育ててくれる学校か」…その学校に対する理解が深まるかもしれません。ぜひ、そんな視点で入試問題を見てみませんか?

-NATO-

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