パンフレットに載らない伝統の中にこそ、
本当の“私学らしさ”や“私学の文化”を見つけることができるのではないでしょうか。
その一例として、市川学園が高校3年生の生徒を対象に実施している「弟子入り制度」をご紹介します。
市川学園では受験学年になると、自分の受験校や受験科目、
また受験形態に基づき準備が必要となる科目・内容の先生のもとへ出向き、
「弟子入りさせてください!」と直接お願いをして師弟関係を結ぶ
「弟子入り制度」が伝統的に行われているそうです。
弟子入り制度を活用するのはもちろん生徒自身。
学校や先生からのお膳立ては一切なし。
自分が師匠を持つのか持たないのかはもちろん、
どの先生の弟子になるのか、師匠を何人持つのか、いつから弟子入りするのかなど、
全ては生徒ひとり一人の自主性と意思に委ねられています。
市川学園を卒業した教室のピアサポーターに、話を聞いてみました。
「英語(長文読解)の師匠をつくる時には、今までの授業の中で
“この先生の授業好きだな”と思えた先生を選んで弟子入りをした。
やり取りはその弟子に対しても全て個別対応であるし、
受験に必要なサポートは全て細かく師匠にしていただいた気がする。
だから職員室にはほぼ毎日通った。
その過程で師匠とは強い信頼関係が生まれたことが、自分の財産。
市川学園を卒業したいまでも、その関係が続いていることも嬉しいこと。」
と話をきかせてくれました。
特色である「第三教育」のなかで、自分で自分を育てることを6年間通して大事にする市川学園。
自分が考えて手段を選択したり、自分で新たに手段をつくりだす行動をとるチカラを磨く6年間。
その集大成でもあり、学園の理念を象徴するかのような「弟子入り制度」とも言えそうです。
決して公のパンフレットには掲載されないことがらですが、
間違いなく市川学園の文化として根付いている伝統です。
形やパッケージにならないことが、伝統として受け継がれることこそ、いかにも私学らしいと感じます。
表に見えにくい部分にこそ、本来の私学らしさがあるのかもしれませんね。
いくた