伝統を守ることと新しいことへの挑戦が調和~共立女子

  • Vol. 810 : 2012/10/06

共立女子中学校女子校

本の街、神保町にある共立女子を訪問しました。

共立女子は今年で127年の歴史を持つ伝統校ですが、行っている教育は時代の動きを敏感に察知して、新旧のよいところ取り、柔軟に組み立てられていると感じました。

まず、美術のプログラム。自我の確立期で多感な中学1年生から3年生までの間に、デッサンや油絵、ブロンズといった古典的手法での作品制作と、コンピューターグラフィックスを駆使したコラージュやCDジャケットデザイン(数年前までは、コラージュは切り貼り、CDのジャケットはポスターカラー等を使って作成していたそうです)という近代的手法の作品制作を経験します。美術という科目を通してリアルとバーチャルの間を行き来しながら、生徒たちは、自分自身と向き合い、自分とは何かという自分発見の機会になっているそうです。

次に、卒業生たちが口をそろえて役に立っているというという礼法の授業。校長先生のお話では、畳の上で正座して学ぶので在学中は必ずしもうれしい時間ではないようだとのことでしたが、実際の授業の様子を見たかぎりでは、けじめを持ちながらも楽しんで学んでいるように感じました。正しく身につける機会が減ってしまっているからこそ、学校から巣立ったときに改めて有難味が身にじみるのではないかと思います。

最後に、理科教育。理論から学ばせようとしてもイメージができずに苦しいので、まずは経験を通して理論は分からずとも体感してもらいたいという考えから、実験の機会を豊富に設けることをしているそうです。そしてその実験をきっかけにして興味が広がり、理系も視野に入れてもらえたら嬉しいということでした。実際、理系を目指す生徒の割合は年々増えており、今年の卒業生は25%の理系進学者がいます。

共立女子は生徒数の多い学校です。大人数で学び育つという環境は、一人の興味や趣味がこの指止まれのように広がり、一般的に少数派な興味や趣味を持っていたとしても、必ず仲間を作ることができます。そして先生も多いので、生徒の興味を広げ深める助けになりやすい環境であるともいえます。一方で、大人数ではありますが、英語や数学といったきめこまやかな関わりが必要な学びの場面では、少人数に分けて授業が行われています。人数が多いことのよさを生かし、人数を少なくすることの必要性をきちんと考えているところが素晴らしいと思いました。

10月20日・21日に共立祭がありますので、ぜひ、伝統を守ることと新しいことへ挑戦していくことが調和している様子、そして生徒の数が多いことで生み出されるダイナミックさを肌で感じに行ってみてください。

教室スタッフ/M.T

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