中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

白百合学園中学校

2016年06月掲載

白百合学園中学校【理科】

2016年 白百合学園中学校入試問題より

海水の塩分を調べてみました。後の問いに答えなさい。
海から海水を200gとってきて、まず海水をろ過し、海水中のごみを取り除いてからビーカーに入れて加熱しました。10分の1くらいの量になったら、その海水を再びろ過して出てきた白い物質(硫酸(りゅうさん)カルシウムなど)を取り除き、再び加熱すると食塩が出てきました。最後まで煮詰(につ)めずに水分が少し残っているところでやめ、できた食塩はざるにあげて水分を切り、乾(かわ)かしました。食塩の重さをはかると5gでした。

(問1)この海水から取り出した食塩5gを水にとかして200gにして、もとの海水に似せた水溶液をつくりました。この水溶液を少量とり水分を蒸発させると、食塩の結晶が出てきました。この結晶を顕微鏡(けんびきょう)で見るとある形が見えてきました。それはどんな形ですか。次のア〜ウから選び、記号で答えなさい。

2016年06月 白百合学園中学校【理科】【結晶】

(問2)私達が食べる食塩は、さまざまな方法でいろいろな種類がつくられています。その中でもミネラルなど食塩そのもの以外の物質を含んでいるものがおいしく、健康にも良いという意見もあります。海水から、食塩以外の物質を含んだ状態のものをつくるにはどのようにすれば良いか、簡単に答えなさい。

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この白百合学園中学校の理科の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、出題意図についてのインタビューを見てみましょう。

解答と解説

日能研による解答と解説

解答

(問1)(イ)

(問2)(解答例)ごみを取り除いた海水を完全に煮詰めて残った固体を集める。

解説

(問1)水が蒸発することなどによって、液体にとけている物質が固体となって出てくるとき、物質どうしが規則正しく並んで結晶をつくります。結晶の形は物質によって決まっているので、物質の形を観察することで、どの物質なのかを特定することができます。食塩の結晶は立方体の形をしています。なお、(ア)の六角柱の結晶はほう酸の結晶、(ウ)の正八面体の結晶はミョウバンの結晶です。

(問2)問題文の冒頭より、海水を加熱してはじめに出てきた白い物質(硫酸カルシウムなど)をろ過によって取り除いていることが読み取れます。また、食塩が出てきた後、水分が少し残っているところでざるにあげて水分をきったことから、このとき水分にとけていた食塩以外の物質も取り除いたと考えられます。したがって、食塩以外の物質を含んだ状態のものをつくるには、ろ過や水分をきるなどの操作を行わずに海水を完全に煮詰め、残った固体を集める方法が考えられます。また、はじめに出てきた白い物質をろ過した後、残った液体を完全に煮詰め、残った固体を集める方法でも、水分にとけていた食塩以外の物質をふくむものを取り出すことができます。

なお、ごみを取り除いた後の海水を霧吹きなどを使って細かい粒状にして、温風で乾かすことによって、瞬時に水分を蒸発させ、食塩以外の物質を含んだ状態のものをつくる方法も考えられます。

日能研がこの問題を選んだ理由

海水から食塩以外の物質をふくむものをつくる方法を考え、説明する問題です。

問題からの刺激を受けて、子どもたちは、海水から塩をつくるという見慣れない状況と、食塩という見慣れていることがらに関する知識や考え方を結び付けていく過程を楽しみながら、新たな知識や考え方のつながりをつくっていきます。また、日常生活の中で、今まで学んだことを使うことによって自分自身でいろいろな発見ができることに気がつくことでしょう。

このような理由から、日能研では、この問題を□○シリーズに選ぶことにいたしました。