中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

麗澤中学校

2016年05月掲載

麗澤中学校【社会】

2016年 麗澤中学校入試問題より

次の文章は、麗太君が夏休みの宿題として言葉の由来を調べたメモである。
後の問いに答えなさい。

「かけがえのない」……「かわりになるものがない」「この上なく大切な」という意味で、一説では【弓】を引くときに用いる弽(ゆがけ)という革製の手袋のような道具が、その人の手に合わせて作られ、他のものと替えのきかないものであることに由来する言葉であると言われている。

(問)メモの中の【弓】について。日本では、旧石器時代には見られなかったが、縄文時代に入ると弓矢が使用されるようになった。これは氷河期が終わったことにより、気温が上昇したことが大きくかかわっている。この気候の変化を踏まえて、弓矢が使用されるようになった理由を簡潔に答えなさい。(40字以内で)

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この麗澤中学校の社会の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、出題意図についてのインタビューを見てみましょう。

解答と解説

日能研による解答と解説

解答例

大型動物にかわって動きの速い小型動物が増え、弓矢での狩りがさかんになったから。(39文字)

解説

旧石器時代の終わりから縄文時代の初めごろは、氷河期から温暖な気候へと変わっていった時期でもあります。気温が上昇し、降水量が増えると、落葉広葉樹の森が生まれ、木の実が実るようになりました。

旧石器時代の人びとは、ナウマン象などの大型動物を集団でつかまえて食べていましたが、それらの大型動物も気候の変化にともなって滅んでいきました。人間が乱獲したことももちろん理由のひとつでしょうが、新しい環境に大型動物が適応できなかったことも大きな理由だと考えられています。

かわりに、木の実を主食とする小型で動きの素早いイノシシやシカなどが増えるようになりました。それにともなって、狩猟も、それらの小型動物を捕らえるために、それまでのやりを使ったものから、弓矢をつかったものに変わっていったのです。

日能研がこの問題を選んだ理由

「氷河期が終わって気温が上昇した」ことと、「弓矢が使用されるようになったこと」の因果関係を考えて40字以内で説明する問題です。

貝塚をはじめとする縄文時代の遺跡からは、弓矢の矢じりとみられる石器が数多く見つかっており、当時の人びとが弓矢を使って狩りをしていたことは、多くの受験生が知っているところでしょう。この問題では、そのことと「気温の変化」との因果関係をとらえる力が問われています。教科書や参考書では省略されていることも多い、理由や背景の部分に改めて目を向け、自分で説明してみると、歴史上のできごとどうしのつながりがはっきりしてきます。こうしたものの見方は、これからの歴史学習にも欠かせませんし、歴史分野はもちろんのこと、社会科学系のあらゆる学問に関わる上でも大きなポイントとなります。また、40字以内にまとめるというプロセスの中では、「説明にあたって何が中心となる要素か」を判断する力も問われます。

このような理由から、日能研ではこの問題を□○シリーズに選ぶことに致しました。