出題校にインタビュー!
共立女子中学校
2015年11月掲載
共立女子中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
3.来年から考える力・解く力・関わる力を問う新たな入試をスタート!
インタビュー3/3
理系志望者が増加傾向
進路にはどのような傾向が見られますか。
児島校長 理系が増えています。生徒数が多い学校ですが、理系に進む生徒は私立の女子校の中では多いほうだと思います。2015年春の卒業生は、定員360名を320名に減らした最初の年(卒業生は289名でした)。そういう状況の中で東京理科大学の合格者が60名を超えているので、結果を出していると言えると思います。
8クラスのうち、理系は3クラスです。理系は国公立も私立も一緒で、最終的に理科を1科目、または2科目という選択をして受験します。文系は、国公立大学を受けるとなると理科や数学が必要になるので、そういうものを学ぶクラスが1クラス、私立文系が4クラス、というのが例年のベースです。美術の授業がおもしろいので、その影響で美大へ進学する生徒もいます。「授業に特色があるから入学した」という生徒もいます。
校長/児島博之先生
共立女子独自の4+2システム
児島校長 本校では「4+2システム」を採用しています。「4+2システム」とは、6年間を「基礎力を育てる4年間」(中1~高1)と「実践力を育てる2年間」(高2・高3)に分けて、それぞれの目標をもって指導していくものです。はじめの「基礎力を育てる4年間」は教科の偏りなく幅広く学び、人間としての土台をしっかりと築くことを目標にしています。「実践力を育てる2年間」では、将来の可能性を広げるためにコース制を採用。大学進学を視野に入れて、より専門性の高い学力の形成をめざしています。
先ほど「多様性」「柔軟性」と申しましたが、音楽、美術、家庭科などの実技系科目も、質の高い授業が行われています。礼法は2週間に1度、中学生の正規の授業として取り組んでいます。「基礎力を育てる4年間」は、受験に関係なく幅広く学び、興味関心の幅を広げることができます。いろいろな友達と仲良くなれます。そういう環境の中で生徒は成長していき、「実践力を育てる2年間」につないでいます。
来年からC日程の入試が変わる
児島校長 本校では「関わる力」「動く力」「考える力」「解く力」という4つの力を育みたいと考えています。これまで入試では、「考える力」(情報活用力)を中心に出題してきましたが、来年からC日程の入試を根本的に変えることにしました。2020年に大学入試が大きく変わる中で、生徒にどのような力が求められるのかを考えると、「解く力」(問題解決力)や「関わる力」(人間関係力)を測る面接も必要となります。そこでC日程では記述型入試(合科型論述+算数)+面接とし、思考力や表現力に優れた受験生を迎えたいと考えています。
具体的には、どのような入試になるのでしょうか。
児島校長 記述型と言っていますが、合科型の論述試験で、理科や社会の資料などを読み取って答える問題や、指定の課題について自分の意見を書く問題を出題します。「算数」は基本問題のほか、途中式やグラフなど思考の過程を記述する問題も出題します。また、ユニークなところでは「問題を作りなさい」という問題も取り入れています。
広報部/金井圭太郎先生
10年前から合科型の講座を行っている
児島校長 記述型の入試というと、公立学校の適性検査をイメージされる方が多いのですが、本校独自の「合科型論述の入試」です。10年ほど前から行っている合科型の「特別教養講座」がベースになっています。
金井先生 「合科型の講座」は長期休暇を活用して、年に1、2回行っています。例えば「水」など一つのテーマをもとに、複数の教科の切り口から講義をしたり実験をしたり、見学に行ったりする講座です。主に理科、社会、国語ではどんなことが考えられるかなという視点で作っています。一つのテーマで、講座は2日間。生徒を募り、各教科1時間〜1時間半程度の講義や実験を行い、外にも出かけていきます。
準備の段階で先生方はどの程度、話し合うのですか。
金井先生 一つのテーマに対して意見を出し合い、「私はこれについて話すね」というように打合せをします。そこまで決めておいて、ある程度中身が固まったら、どの順番で話そうかという打合せをします。そこから先はお互い講義の内容を知らずに講義を聴くようにしています。そのほうが、驚きがあるからです。他教科の先生も同様です。ですから他教科の先生がどんな授業をするのかも楽しみの一つです。
オープンスクールでの小学生の反応は良好
何人くらいで行うのですか。
金井先生 毎回異なりますが、高1、高2を中心に15〜20名で行うことが多いです。「やりたい人?」と声をかけて、集まった教員で実施しています。
児島校長 「合科型の講座」を行ってきた実績があるので、今回の入試変更で躊躇することはありませんでした。
金井先生 今年のオープンスクールで受験生向けに「合科型の講座」を行いました。テーマは「とうふのヒミツ」です。にがりや大豆を使って、実験や「おからケーキ」も作りました。小学生はおもしろがってくれましたし、一つのテーマでそういう問いかけができるのかと思ってくれたようです。
この講座を受け続けていた生徒の中にも、いろいろな教科を教えることができるのはおもしろいといって小学校教諭になった子がいます。
共立女子中学校
開講のきっかけは、教科の枠を超えた講義がしたいという気持ち
そもそものアイデアは先生方から出たのですか。
金井先生 そうです。社会科の教員から「これは国語ではどうやって教えているの?」と聞かれて、「こうだよ」と話しているうちに、「一緒にやれたらおもしろいね」と意気投合したことがきっかけです。本校にはいろいろな専門性を持つ教員がいます。「自分なら、こういうテーマでこんな講座ができると思う」とアイデアを出してくれる教員もいるので、全教科の先生の協力のもとで継続してきている講座だと思っています。「スケートの科学」がテーマの時は、どうしてもスケートリンクで講座を開きたかったので、校長にお願いして費用を捻出してもらいました。そういうアカデミックな自由さを認めてもらえる学校なので、より生徒に興味をもってもらえる講義がしたいと熱が入ります。
受験生の長所を見たい
C日程の入試には、多角的な視点をもっている子に入ってきてもらいたいというメッセージが込められているのですね。
児島校長 そうですね。本校の生徒には、いろいろなことに興味関心をもってほしい。そこにつながる入試になると期待しています。
今井教頭 私たちは可能性を秘めた子に入ってきてほしいと思っています。入試では、受験生の長所を見たいと思っていますで、ぜひ多くの小学生に受けてほしいですね。
金井先生 サンプル問題を中1に解いてもらい、細かいところを検討しました。時間的には60分間で見直しまで十分だと思います。
共立女子中学校
合科型論述では読み解く力と表現力が鍵を握る
問題文はどのように作っているのですか。
金井先生 一読で小学生にわかるように作ることを心がけ、どうすべきかと頭を悩ませながら、担当の先生方と話し合って、少しずつ作っていきました。
生徒さんの反応はいかがでしたか。
金井先生 最初はとまどっていましたが、問題文が会話形式なので、読んでいけば「これは社会科のこういうことを聞いているのだな」とわかったようです。
児島校長 そんなに難しいことを聞いているわけではないので、読み解く力があれば十分対応できます。もう一つ必要な力は表現力です。記述式なので、書くことに馴れている子であれば、抵抗なく取り組んでもらえると思います。
社会科は理解する科目という心構えをもとう
最後に、受験生に向けて、学習のアドバイスをお願いします。
田村先生 社会科は暗記科目ではありません。知識を身につけることは大切ですが、単なる暗記科目ではなく、理解する科目であるという心構えで取り組みましょう。問題に向かう時に「なぜ、そうなるのか」と、自問自答しながら取り組むと、深い学びにつながると思います。
今井教頭 毎日の暮らしの中で、少しの時間でもかまわないのでニュース番組をつけましょう。そしてお父さん、お母さんが一声かけてあげれば関心が涌くと思います。ニュースを話題に家族で話し合うことができれば、より関心や理解が深まると思います。もっている知識を活用し、自分の考えをもつことができるようになれば、勉強がすごくおもしろくなると思います。
共立女子中学校
インタビュー3/3