中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

共立女子中学校

2015年11月掲載

共立女子中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.単なる受け身の授業ではつまらない。生徒がかかわりたくなる学習が目標。

インタビュー2/3

学習は主体的に取り組むことが大事

社会科の中で特に重視していることを教えてください。

田村先生 言われたからやるというスタンスではなく、自分から興味をもち、主体的に取り組むことが大事であると考えています。これは大学に入って研究をしたり論文を作成したりする上でも大切な力なので、中高の間に身につけて、大学を単なる就職予備校として考えないでほしいと願っています。

私も中高一貫校の出身です。私が「受験したい」と言って受験しましたが、そこまでのレールは親が敷いていたようにも思います。そうした自分の経験から考えても、中学受験の勉強は受動的になりがちなので、中学校に入学したらまず姿勢を変えてもらうことから始めています。

中学教頭/今井利夫先生

中学教頭/今井利夫先生

授業では知的好奇心をくすぐりたい

田村先生 例えば歴史の授業では、「歴史とは何か?」から入ります。教科書を執筆しているのは学者であり、いろいろな考えがある中で、一番支持を得たものが採用されるというような話をすると、生徒は目を輝かせます。

「なぜそう思う?」という問いかけも、意識して行っています。今日も、1時間目に室町時代の対外貿易の話をしてきました。「琉球が中継貿易をしていた。言語が違うのに、なぜ東南アジアや中国、朝鮮、日本などの国とやりとりができたのか」というテーマでグループで話をさせると、「通訳がいた」という答えが出てきます。そこから華僑の話へ導いたりしています。

モノを見せることも心がけていることの1つです。レプリカでも、見たり、触ったりすることで感想が出て来ます。それを受け取り、キャッチボールをしながら、楽しく学ぶ機会をできるだけもつようにしています。

子どもたちはわからない時に困った顔をします。ところが、わかった時、納得した時に、表情ががらっと変わります。これを見るのが楽しいので、知的好奇心をくすぐりたいという思いで授業に取り組んでいます。受験生にも、ぜひ頭を働かせながら学んでほしいですね。

社会科内で校外見学を実施

田村先生 教科としても、単なる受け身の授業を避けるための施策として、社会科見学を実施しています。中1は皇居東御苑の資料館見学です。希望制ですが1クラス以上の人数になります。中2は年度により場所が変わりますが、昨年は鎌倉に行きました。鎌倉は歴史の授業に出てくるので、習ったことを自分の目で見て確認することができます。

今井教頭 中3は東京地裁の公判を見学します。定員が40名と決まっているので、希望者が多い時は抽選です。個人でも見学できるので、春休みなどに紹介すると2回行く生徒もいます。

共立女子中学校

共立女子中学校

調べたことを自分の言葉で伝える場面も設定

田村先生 社会科は、いかに興味をもってもらうかが大事なので、夏休みの自由研究のほか、中2では、歴史上の人物を研究しレポートにまとめる「人物ファイル」を実施しています。国内外を問わず歴史上の人物の肖像画をクラスの人数分リストアップして並べます。そこから好きな肖像画を選び、その人物について調べてレポートにまとめます。レポートは製本して文化祭に展示しますが、時間に余裕がある年は授業で研究内容を発表する機会を設けることもあります。頭で思っていることを言葉で発することは、社会でも求められている力なのでできるだけ経験させたいと考えています。中3の公民でも、個人で調べて発表する「ニュース報告」を行っています。

なぜそうなるのかを考えることが重要

中高6年間で身につけさせたい力とはどのような力ですか。

田村先生 今、世の中には情報が氾濫しています。今後、さらにあふれていくでしょう。それを取捨選択しながら活用していく時代なので、論理的に考える力を身につけてほしいと思います。2020年の大学入試改革はまだ先ですが、現在の入試問題でも東大などの問題は十分に論理的思考を問うています。小学生のうちから「なぜ、そうなるの?」と立ち止まり、その根拠は何かを自問自答しながら学習していってほしいと思っています。そうすると、一つのものごとを見る上で視野が広がったり、深く考えることができたり、注意深く見る力がつくと思います。

共立女子中学校

共立女子中学校

記述力や主体的に取り組む姿勢が伸びている

入試問題を変えてから、生徒さんに変化は見られましたか。

田村先生 中2の歴史のテストで120〜150字の記述問題を出していますが、よく書いています。生徒が主体的に取り組むよう、さまざまなアプローチを行っている国語科の力も大きいと思いますが、これには驚かされます。

中2は6月に富士で宿泊研修を行います。そこで学んだことを発表し、選ばれた生徒が授業参観の日に講堂で発表します。私はその責任者を任されたことがありますが、見ていると一生懸命やります。どうすれば伝わるかを生徒自身で考えて、みんなで読むところを作ったり、一人がパフォーマンスしたりと、工夫を凝らしていました。もしかしたらそういう積極性にもつながっているのかなと思います。

生徒は気さくで親切

貴校には闊達なイメージがありますが、実際にはいかがですか。

児島校長 気さくで親切な生徒が多いです。文化祭に来て「他の学校と雰囲気が違う」と感じる受験生が多く、明るく元気に楽しく学校生活を送っているところに共感して入ってきてくれるので、雰囲気が変わらないのだと思います。

今井教頭 生徒は昔も今も変わらず親切です。私が教壇に忘れ物をすると届けてくれます。そっと届けるという、気づかいができる生徒もいます。

児島校長 私がよく話すのは「多様性」と「柔軟性」です。1学年320名(40名×8クラス)と人数が多いので、よく保護者から、「目が届かないのでは?」と聞かれるのですが、我々の考え方は逆です。大勢の中にいろいろな子が混ざっているからいいのです。

共立女子中学校

共立女子中学校

1学年8クラス。多数・多様な生徒を多数・多様な先生が見守る環境

今井教頭 当然、生徒が多い分、教員の数も多いので、1人の生徒を何人もの教員で見守っています。学年が中心になって生徒を育てていくので、学年の先生方は生徒をよく見て、学年会議では個人名をどんどん挙げながら報告して、担任や教科を担当している先生だけでなく、みんなで共有し見守る体制ができています。これは規模の大きい学校のメリットだと思います。

また、生徒同士だけでなく、生徒と先生にも相性があります。本校には教科の先生が学年に複数いますから、教えてもらいたい時に、習っている先生だけでなく、他の先生も含めて生徒が選べるというのも、いいところだと思います。

いろいろな個性、いろいろな考え方と出会える

児島校長 クラス替えも、中1から高2になるまで毎年やっています。クラスのメンバーと、次の学年で同じクラスになる確率は8分の1しかないので、いろいろな子と友達になれます。いろいろな個性、いろいろな考え方と出会えます。

今井教頭 入学当初、少しみんなと違っていて、「変わっているな」と思われる子がいたとしても、クラス替えを重ねていくうちに友達ができて、周囲も認め合うようになります。自然と変わっていくのですごいなと思います。比較的みんな明るく元気ですが、内気な子、おとなしい子もいます。それでも浮きません。いろいろな子がいるのが当然という土壌だからです。

共立女子中学校

共立女子中学校

インタビュー2/3

共立女子中学校
共立女子中学校1886(明治19)年、当時の先覚者たちが創立した共立女子職業学校が前身。2006(平成18)年に高等学校からの生徒募集を停止、中高の校舎も一体化した新校舎となり、完全中高一貫校に。「女性の自立」という建学の精神と「誠実・勤勉・友愛」の校訓に基づき、どのような場所・場面においても輝き、翔ばたくことができる女性を育成。比較的生徒数が多いこともあり、学校生活は活気に満ちていて、行事もとても盛ん。
2期制・週6日制により、主要教科に対する十分な授業時間を確保。早期から将来のビジョンを描かせる啓発を行い、高校2年生から3つのコースを設定し、進路に応じて指導。完全一貫体制後の卒業生が2012年から出ていますが、その成果も特筆もの。併設大学の合格を得たまま他大学受験も可能で、併設大学・短期大学へは例年10~15%が進学。補習や補講などのバックアップ体制も整備。英語は『ニュー・トレジャー』STAGE1~5を使用し、実践的な英語力を養成します。
心の教育も重視し、「礼法」の授業は中学3年間必修。小笠原流の形を基本に、落ち着きのある美しい振る舞いとともに、思いやりや気配りを身につけます。主要教科以外も手を抜くことなく、本格的な授業内容となっており、美大・音大に進学する生徒も少なくありません。クラブではバトン、吹奏楽、音楽、ソフトテニスなどが強く、太極拳、能楽、弦楽合奏など珍しい部も。