中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

共立女子中学校

2015年11月掲載

共立女子中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1.与えられた情報を手がかりに推察し、考えて、答えを導き出す力をつけよう。

インタビュー1/3

身につけた知識を活用する力を問う問題

この問題の出題意図からお話いただけますか。

田村先生 社会科では「社会科=暗記科目」という概念を払拭したいという思いで問題作成にあたっています。この問題は、基礎的な「知識」をもとに表などの与えられた情報から「読み解く力」、そこから答えを「推測する力」、推測しながら答えを「考える力」を見たいと思い出題しました。知識をもっているだけでなく、活用する力があるかを問う問題ということですね。

歴史でも、参勤交代を行った意図を読み解く問題を出しました。この問題も、取り上げていただいた地理の問題と同様で、3つの力を問いたいというねらいがありました。

そのような意図で出題するようになったのは、いつ頃からですか。

田村先生 渡辺前校長の頃からです。「考える力」を問う入試にしてほしいという校長の意向に我々も賛同して2012年の入試から大きく変えました。受験生がとまどうのではないかという危惧もありましたが、入試の日に問題を解く様子を見に行くと一生懸命取り組んでいたので、受験勉強をしてきた成果をそれまで以上に問える入試になってきていると自負しています。

社会科/田村剛先生

社会科/田村剛先生

問題の難易度と正答率が一致した

正答率はいかがでしたか。

田村先生 映画館は約90%、海水浴場は約80%、スキー場は約55%でした。先ほど3つの力をお話しましたが、映画館は大都市圏に多いであろうという想像がたやすくつくと思います。どの都道府県が大都市圏であるかは、受験生なら知っている基礎「知識」だと思いますので、この問いは「知識」だけで解けたのではないでしょうか。海水浴場は海に面しているはずです。つまり内陸県を除外すればいいという「読み解く力」と、内陸県はどこかという「知識」の組み合わせにより解ける問題です。スキー場は、降雪量の多い都道府県に多いであろうと「推測」して「考える力」や「読み解く力」が必要になります。そして降雪量の多い都道府県はどこかという「知識」が必要になります。これは恐らく学んできていると思いますが、CとDに降雪量の多い北海道や長野が入っているので迷います。そのため正答率は下がりましたが、Dには千葉、埼玉があり、受験生が住んでいる地域ですから「そこにスキー場はあったかな」と、持っている「知識」をフルに使って考えることができた子は正解したと思います。こうして振り返ると、3つの力が段階的に求められる問題となり、正答率も段階を反映した数字になったので、いい出題ができたと思っています。参考までに、合格者、不合格者の正答率を出して比較すると、3問とも7〜10%の差が出ました。

解答を求められてない施設の情報も活用してほしかった

最初からこの5つの項目が上がったのですか。

田村先生 そうですね。受験生に身近なものにしようということで、映画館、海水浴場、スキー場になりました。

今井教頭 ゴルフ場はもめましたよ(笑)。受験生は行ったことがない場所なのに、判断できるのかと……。

今井先生も社会科ですか。

今井教頭 校長も私も社会科で、私は教科会に参加しています。

田村先生 確かに議論はしましたが、ゴルフ場には行っていないにしても想像はつくだろうと。解答を求められていない温泉地とゴルフ場の情報も最大限に活用することで答えに近づくということを伝えたかったので、施設は5つにしました。

教科内の一部の先生が問題を作るのですか。

児島校長 全員で作ります。社会科の中の何名かが委員になって、持ち寄った問題を選んだり、整えたりしながら完成させていきます。

共立女子中学校 校舎

共立女子中学校 校舎

求めているのは柔軟性のある思考力

入試問題のバランスがいいですよね。基本知識を問う問題のほか、統計資料を読み解く問題や時事問題も毎年出ます。

田村先生 本校の入試問題は「考える問題」に力を入れています。柔軟性のある思考力を求めていますので、社会科でも基本的な知識を幅広く問いつつも、思考力を問えるよう出題のバランスを考えています。

私は日本史が専門ですが、何年に何が起きたということだけを覚えるのではなく、出来事と出来事の因果関係により歴史をつかんでほしいと思っています。ですから、正誤判断や歴史の並べ変えなど、単なる暗記では解けないような出題を心がけています。

資料の読み解きや時事的な問題も積極的に取り入れています。自分で興味をもって新聞やテレビのニュースなどを見ることにより、情報は入ってくると思います。これからは情報を収集する力、収集した情報を取捨選択する力(リテラシー)がとても大切になると思います。

インタビュー1/3

共立女子中学校
共立女子中学校1886(明治19)年、当時の先覚者たちが創立した共立女子職業学校が前身。2006(平成18)年に高等学校からの生徒募集を停止、中高の校舎も一体化した新校舎となり、完全中高一貫校に。「女性の自立」という建学の精神と「誠実・勤勉・友愛」の校訓に基づき、どのような場所・場面においても輝き、翔ばたくことができる女性を育成。比較的生徒数が多いこともあり、学校生活は活気に満ちていて、行事もとても盛ん。
2期制・週6日制により、主要教科に対する十分な授業時間を確保。早期から将来のビジョンを描かせる啓発を行い、高校2年生から3つのコースを設定し、進路に応じて指導。完全一貫体制後の卒業生が2012年から出ていますが、その成果も特筆もの。併設大学の合格を得たまま他大学受験も可能で、併設大学・短期大学へは例年10~15%が進学。補習や補講などのバックアップ体制も整備。英語は『ニュー・トレジャー』STAGE1~5を使用し、実践的な英語力を養成します。
心の教育も重視し、「礼法」の授業は中学3年間必修。小笠原流の形を基本に、落ち着きのある美しい振る舞いとともに、思いやりや気配りを身につけます。主要教科以外も手を抜くことなく、本格的な授業内容となっており、美大・音大に進学する生徒も少なくありません。クラブではバトン、吹奏楽、音楽、ソフトテニスなどが強く、太極拳、能楽、弦楽合奏など珍しい部も。