中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

神奈川大学附属中学校

2015年08月掲載

神奈川大学附属中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.緑豊かなキャンパスで、男女が人としてかかわり、ともに成長できる学校

インタビュー3/3

学年の半数以上が理系

理数系に進む生徒さんは多いですか。

重永先生 学年の半数以上が理系です。その数が増える時期は過ぎて、今は安定しているという印象です。新しいものを創るには科学の力が欠かせないので、興味をもっている生徒にはただ知識を詰め込むだけでなく、何かを生み出す力も育んでいかなければいけないと思っています。

男女に特徴的なところは見られますか。

重永先生 高2にもなると、それほど男女の差はありません。理系クラスは、選択する科目によりクラスが分かれています。生物を選択しているクラスは男女半々ですが、私が担任するクラスは物理を選択しているので男子が多く、雰囲気が少し違います。それでも女子はたくましく、男子とも仲良く、切磋琢磨しながら学習しています。ただ明るく活発というだけでなく、学術的なことも意見交換できるクラスになっているのではないかと思います。

神奈川大学附属中学校 校舎

神奈川大学附属中学校 校舎

中学では女子が引っ張り、高校では男子が引っ張る

市川先生 本校は男子が若干多いので、望ましいバランスになっていると思います。やはり、入学当初は女子のほうがまじめで、体も大きい。男子は小さくなっているのですが、成長に伴い、非常にいいバランスになっていきます。

重永先生 男子は高1の終わりから高2のはじめあたりで急に変わります。女子に押されっぱなしだったのが、気づくと追い越している。それに気づいた女子が、離されまいと頑張るというかたちが自然とできます。それは共学の特徴かもしれません。

市川先生 女子も自立していて、塾の帰りに一人で定食屋さんでごはんを食べることも平気なようです。女子のグループ化を好まない男女が多いことも、本校の特徴だと思います。

自然と性差を超えた仲間の関係になれる環境

市川先生 学校生活の中に男女で分ける場面があまりないので、生徒も高学年になるほど男女ということを気にせずに話したり、かかわったりするようになります。例えば、体育の授業でバレーボールやバスケットボールをする時は男女一緒にやります。体育大会では男女に分かれて競い合い騎馬戦では強い男子の雄姿が見られます。混合バレー、バスケの授業では女子が得点すると高い得点が入るローカルルールにして行うため、男子は女子にいいパスを出すことを考えます。家庭科の調理実習で動くのは女子。家でも家事をするかというと、そうではないようですが、「やらなければいけない」という気持ちと、それなりに器用なので、見ているといつの間にか女子は調理、男子はお皿洗いという分担が自然とできているようです。授業の中でも性差を補い合う体験をしていくので、男女が一緒に登校する姿も普通に見られます。何事にも「一緒に頑張ろうぜ」という雰囲気になります。大学受験に向けても男女が同志という姿勢で臨み、その価値観は大学生になっても変わらない。そこに魅力を感じてくださる保護者が多いです。

広報部次長/市川英夫先生

広報部次長/市川英夫先生

文化祭などの行事が成長の場

性差を感じなく男女がかかわる姿は文化祭でも感じ取れますよね。

重永先生 私は演劇が好き。生徒がそれを知っていて、強く勧めるわけではないのですが、私のクラスになると文化祭で劇をやらざるを得ないと思っているところがあります。最初は緊張して言葉を発することができなかった子が、馴れてくると声が出るようになり、わずかな準備期間なのですが、人間性が増す、頼もしくなる。そういう姿を見ると、やってよかったと思います。行事の先に生徒の新しい姿を見ることができます。そういう機会が本校にはたくさんあるので、外部の方も好意的にとらえてくださっているのではないでしょうか。

市川先生 文化祭で演劇に取り組むクラスは多く、日頃見せない顔を見られておもしろいです。生徒同士の間でも新しい発見があり、そこから接し方が変わることがよく見られます。ダブルキャストで演じることも多いので、切磋琢磨し合うのです。演劇は教育効果が大きいと思います。子どもの力を量る尺度は、テストの点数だけではありません。いろいろな場面で発見があるので、文化祭をはじめ行事は大事にしています。

部活動はタテの組織を学べる貴重な場

音楽部は人数が多いですね。

市川先生 オーケストラなので、100名以上います。最上級生が下級生を指導する、タテ関係の中で楽器別の練習を行い、土曜日に合奏をするというスタイルで活動しています。
学校教育の中でタテ社会の組織を学べるのは部活動と委員会活動です。5学年上の先輩とかかわることができる機会は貴重です。8割程度の生徒が最後まで活動し、引退する時に泣くくらい、充実した活動ができているので、9割程度まで上げたいとことです。重永先生は演劇部の顧問で、今年は全国大会に出場します。だから高3の引退は、例年よりも遅くなります。

重永先生 高3は今、一時的に離れて受験勉強していますが、大会が近づいたら部活動に復帰して最後の大会に臨みます。演劇部員は女子のほうが多いですが、男子がいると劇の幅が広がります。今年の作品は卒業生の創作作品で、脚本を時代に合うように手直ししたものです。16、17歳の恋愛ドタバタ劇ですが、共学校だからできる作品になっていると思います。

市川先生 全国大会に出ることを目指しているわけではありません。それぞれの部活動のゴールでいいのです。地区大会で終わってしまっても、それまでにしっかり活動に参加し、先輩・後輩との関係において礼儀を学び、自分たちが納得したかたちで終わることが望ましいと考えています。

神奈川大学附属中学校

神奈川大学附属中学校

進路は生徒の希望を後押し

最後に進路指導について教えてください。

市川先生 選択科目でクラス編成はしますが、特進クラスのようなものは設けていません。最難関の大学に合格させることだけに進路指導があるとは考えていません。基本的に、生徒が希望する進路を後押しするというスタンスです。パンフレットに合格者数ではなく、ほぼ全員の進学先を掲載しているのも、本校の姿勢の表れです。
ただ「積極進取」という神奈川大学の精神に則り、積極的なチャレンジを推奨しています。適性や希望にもよりますが、一般受験を基本とした受験を勧めています。

神奈川大学とはどのようなつながりがありますか。

重永先生 大学が身近なので、興味関心を持ちやすい環境だと思います。高校生になると神奈川大学で講義を聴く機会があります。進路を考えた上で、大学に足を踏み入れる機会は、その後いろいろな大学を調べるにあたり、生徒にいい影響を与えていると思います。

市川先生 もちろん神奈川大学の推薦制度もありますが、「建学の精神」の通りに大半の生徒が一般受験します。首都圏のある程度の私立大学の合格発表後に、神奈川大学のⅡ期推薦入試が行われます。毎年、3、4名はその制度を活用していますが、安心して難関大学にチャレンジできるというのも、本校の特色です。

人として成長できる学校を創ろう

市川先生 自然に恵まれたキャンパスで6年間、のびのびと過ごすことに価値を感じてくださるご家庭が、本校を第一志望に選んでくださいます。勉強ももちろんしっかりやりますが、学校行事や部活動で養われるコミュニケーション能力や問題解決能力、あるいはバイタリティに魅力を感じてくださるので、とてもありがたいです。

進路適正は中高6年間の中で見つけられます。それまで、社会や政治やスポーツなど世の中で動いている様々なことがらに興味・関心の持てる子供たちに入学してもらいたいです。世の中では、表現力であるとかプレゼンテーションと言われますが、それらはOUTPUT(アウトプット)です。その前にINPUT(インプット)がなければOUTPUTされません。様々な話題について、生徒同士、教師とも議論できるようなマルいアタマの生徒になってもらいたいと考えています。幅広い見識を持ち、それぞれの話題について自分の意見が言える生徒がますます輝く学校を創っていってくれることを期待しています。

本校の卒業生は異性と平気で話をします。大学入学当初は(他校出身者から)驚かれるくらい、違いがあるようです。学校に顔を見せてくれた時に、あまり「変わったな」という感じがしないのも、在校中から素の自分をさらけ出しているからだと思いますが、私はもっと男女がかかわることを望んでいます。けんかをするくらい意見交換をして一つのゴールを目指すような雰囲気になってほしいのです。これから入学する生徒には、さらなる活発なかかわりを期待しています。

神奈川大学附属中学校 教室

神奈川大学附属中学校 教室

インタビュー3/3

神奈川大学附属中学校
神奈川大学附属中学校「質実剛健」「積極進取」「中正堅実」を建学の精神に掲げ、真面目で、サバイバル能力があり、何事も進んで行う人間性豊かで有能な人物の育成に努める。「足を大地に手を大空に」という学校のモットーは平成10年に生徒会の提案で決められた。多様な教科をバランスよく学ぶ「生涯学習」の立場、すべて男女共修の「ジェンダーフリー」の立場をとりながら、国際化と情報化への対応や個性本位の進路指導を教育理念の柱とする。
「教科学習」「進路指導」「生活指導」「校外学習」等のすべては、2年ごとにきざむ3段階でゆとりを持って積み上げられており、保健体育科・音楽科・美術科・技術家庭科の充実度は大きな特色の一つとなっている。体育も家庭科も男女混合で行われており、体格差、得意不得意の差があるからこそ助け合いの大切さを学べるという考えのもと、社会性が養われている。部活動も盛んであり、広大な敷地と、その中にある多様な施設を使って、10の運動部と8つの学芸部が活動している。顧問の他にコーチ制度も設けられ、専門的な技術指導が受けられる体制も整っている。
神奈川大学への推薦入試制度はⅠ期とⅡ期の二度あり、Ⅱ期では、ある程度の私大入試が終わってからの出願になる。一人ひとりの可能性を見逃さないきめ細やかな指導による6年間で、大学合格実績や現役での合格率も、年々向上している。学校にある「くすのき」はシンボル的存在であり、合格祈願のために「くすのき」の前で手を合わせる受験生も多い。