中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

サレジオ学院中学校

2015年06月掲載

サレジオ学院中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.「他者のために」を実践できる心優しきリーダーに

インタビュー3/3

裁判所見学と地理巡検の社会科見学を開始

梶原先生 机上の学習で終わらせないように、現地の見学・体験によって生徒の理解を深め、興味・関心を高めようと、昨年度から希望制で、実地調査(地理巡検)と裁判所見学を始めました。

小川先生 「グローバル人材」の養成が求められていますが、世界で通用するには、まず日本のこと、自分が住んでいる地域のことを知らなければ、海外の人たちと対等につきあえません。世界に目を向けることも大事ですが、まずは足元をしっかり見て、自分たちが住んでいる地域はどんなところかを知る必要があるでしょう。地理巡検はその機会の1つになればと思います。

入試広報委員長/小川剛史先生

入試広報委員長/小川剛史先生

フィールドワークで地元の今と昔を知る

梶原先生 中学生を対象に昨年実施した学校周辺(横浜市都筑区)の地理巡検(半日)は、学校近くにある富士塚「山田富士」をスタートし、地形図を片手に、時折タブレットで昔の風景の写真と見比べながら、徒歩で港北ニュータウンを巡りました。その後、横浜市営地下鉄で移動し、鶴見川遊水池を散策しました。

自分でその場へ行ってわかるのは、「ここに、こういうものがある」ということと、説明板に書いてあることぐらいでしょう。そこで詳しい人に説明してもらうと説明板以上のことがわかって興味深い。私自身、初めて気づいたこともたくさんありました。

今年度は横浜駅周辺の巡検も計画しています。昔、横浜駅周辺が海だったとわかる埋め立て跡や地盤沈下の跡を巡る予定です。

教科書だけではわからない社会の姿に触れる

吉見先生 また、東京地方裁判所・高等裁判所への見学を2回実施しました。2回目に参加した生徒の中には、1回目に参加した生徒から話を聞いて興味を持った生徒もいました。教科書で学ぶ裁判を自分の目で見ることによって、教科書だけではわからない、社会の姿に触れることができました。将来法律関係に進みたいと考えている生徒にとってはよい経験になったようです。見学前は“物見遊山”の気持ちだったでしょうが、裁判所から出てきた表情は引き締まっていました。

梶原先生 2回目のときは裁判終了後、被告人や他の傍聴者が退席したあとで、裁判官や検察官が残って生徒の質問を受け付けてくれました。突然のことでしたが、生徒は裁判のシステムなどについて積極的に質問しており、現場に足を運んで体験する大切さを強く感じました。

ドン・ボスコ像

ドン・ボスコ像

サレジオ生は『縁の下の力持ち』のフォロワータイプが多い

小川先生 カトリックの大切な教え「隣人愛」については、中学の宗教の授業(中1が週2時間、中2・中3が週1時間)や毎週3回の「朝の話」、さらに学校行事でその都度触れています。中1の宗教の時間は、1時間は校長がドン・ボスコの生涯やサレジオ会、カトリックの歴史を講義します。もう1時間は神父が聖書を使う、いわゆる道徳のような授業で、「君ならどうする?」と問いかけます。

梶原先生 限られた生徒ではなく、みんながボランティアに積極的に参加します。中1の校外募金にはたくさんの生徒が参加してくれます。

小川先生 よい取り組みをしている生徒を取り上げようとすると、皆「自分は大したことはしていません」と謙遜します。「サレジオの生徒はぐいぐいみんなを引っ張るリーダータイプというより、リーダーを盛り上げるフォロワータイプが多いのではないか」と卒業生が話していました。

吉見先生 それはよくわかりますね。そうした卒業生の顔が次々思い浮かびます。リーダーもできるのですが、率先してフォロワー役に回って、しかもフォロワーとして自分の持ち味もしっかり発揮しているように思います。

『人を笑顔にしたい』25歳の卒業生の決意

小川先生 本校の使命は「奉仕する心を持つリーダー」を育てることです。それは、他者のために行動できる気概と資質を持っている人材です。「25歳の男づくり」を始めて15年くらいになるでしょうか。25歳という年齢は、社会人になって数年がたち、自分の仕事も軌道に乗り始め、自分の目標を具体的に実現し始めるときです。本校の卒業生が25歳になったとき、本校の教育の真価が問われます。

学校案内で25歳の卒業生4人に話を聞いたとき、異口同音に「人を笑顔にする仕事がしたい」と答えていました。クレープチェーンのフードベンチャーに就職した卒業生は、「小麦アレルギーでクレープを食べられない人が安心して食べられる商品を開発し、クレープのおいしさを伝えてもっと笑顔を増やしたい」と抱負を語ってくれました。

自分の目標に向かって歩き始めた彼らの姿を頼もしく思います。他者を思いやり、他者のためにできることを考え、行動する土台には本校のカトリックに基づく6年間の教えがあり、彼らの支えになっていると思います。

サレジオ学院中学校

サレジオ学院中学校

インタビュー3/3

サレジオ学院中学校
サレジオ学院中学校ドン・ボスコ(1815年北イタリア生)が設立したサレジオ修道会が、1960(昭和35)年に目黒サレジオ中学校を創立。75年に川崎市鷺沼へ移転。89(平成1)年にはサレジオ学院へ改称。95年に港北ニュータウンに新築移転を果たす。大阪星光学院もサレジオ会により創立された姉妹校。
港北ニュータウン内に位置し、校地は約4万8千平方メートルの広さに及ぶ。そのなかにグラウンド、テニスコート、体育館、サブ・グラウンドを配するなど、校地の大半以上を充実したスポーツ用地が占め、大きな魅力のひとつとなっている。ほかにチャペル、ドン・ボスコシアター、サレジオホール(食堂)などの施設がある。
少人数の家庭的な雰囲気のなか、キリスト教精神に基づく情操教育を実践。週1時間の宗教の授業(中1は2時間)「朝の話の放送(人生の道しるべの話)」「カテキスタ(倫理・宗教教育を担当する人)」によるカウンセリング、生徒が自分らしく、いきいきと過ごせるコミュニケーションルームの設置などを通じて豊かな人間形成を目指す。
中学では学習姿勢を養うことを重点におくが、高3ですべての教科で演習中心の授業ができるようなカリキュラムを構成。英語は『New Treasure』を使用。中学の英会話も2分割授業を行う。高1までは4クラス編成、高2から文理分けし、6クラス編成として1クラスの人数を減らし、きめ細かな指導をする。補習は中学では英・数を中心に必要に応じて実施。夏期・春期講習は指名制・希望制で行い、高2・高3では約1週間の勉強合宿もある。大学受験も学校の授業だけで十分対応できる体制を整えている。夜9:00まで使用できる自習室がある。
サレジオ学院の基本方針「アッシステンツァ(ともに居ること)」のもとで明るく家庭的な校風が築かれてきた。学校行事は多彩で、四季折々のプログラムが用意されている。特に感謝祭、慰霊祭、クリスマスの集いは学校の個性が表れる。そのほか林間学校(中1)、スキー教室(中2)、研修旅行(中3卒業後、全員、イタリア)、フィリピンの語学研修(高校、希望制)、文化祭、秋季校外学習、マラソン大会など。クラブ活動は文化部6、体育部9、同好会5あり、活動は週3日。中学テニス部は2年連続全国優勝の快挙を成し遂げた強豪だ。独特なカテキスタは、サレジオ会員を中心とする先生のグループで、宗教の時間などを通じて生徒の心のケアに対応している。