出題校にインタビュー!
サレジオ学院中学校
2015年06月掲載
サレジオ学院中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
2.選挙に行って、自分たちのことは自分たちで決める大人になる
インタビュー2/3
文章記述や文章選択などの考える問題を増やす
以前(2012年7月掲載号)お話しをうかがったときに、「考える問題を増やしている」とのことでしたが、今年の入試問題を見ると、文章記述の問題が増えているように思うのはそのためでしょうか。
梶原先生 10年くらい前から、文章記述や、文章をしっかり読んで判断する文章選択の問題などを少しずつ増やしていますが、まだ小問が多く改良の余地はあります。社会科の入試では基礎知識が身についているかどうかだけでなく、考える問題も重視しています。例えば統計資料を見て、そこから何が読み取れるかを考える問題など、単純に知っている・知らないだけではない考える力を試したいと思っています。
社会科/梶原茂喜先生
『円とユーロ』の為替の問題など学校生活にちなんで出題
為替の問題は考える問題の一種だと思いますが、設定が「円とドル」ではなく「円とユーロ」ですね。
吉見先生 本校は中3の研修旅行先がイタリアということもあって、ユーロで出題しました。研修旅行前に、生徒に円をユーロに両替させる課題を出しますが、それを入試問題に取り入れました。
梶原先生 歴史の出来事の並べ替え問題などは難しいですが、地理や公民は学校生活や日常生活に関連させて作問しています。時事問題はそのものをズバリ聞く問題もありますが、「こんなことがありましたが〜」と前置きして、そこから派生した問題を出すことが多いですね。
吉見先生 この問題のように、受験生が解きながら「世の中って、そうなんだ」とおもしろがってくれるような問題を作りたいと思っています。ですから日常的にニュースを見聞きしてほしいですね。
時事的な問題を見ると、世界の出来事に関心を持たせようと意識されていると感じました。
吉見先生 B問題の公民は、2014年が第一次世界大戦開戦100年だったので、それを切り口にした問題を出しました。今年は戦後70年ですが、このように大きな出来事の節目の年は時事問題の切り口になり得るでしょう。
大人と子どもの常識のギャップが広がっている
川をテーマにした地理分野の問題で、大坂の町が「八百八橋」と呼ばれたことを答えさせる問題がありましたが、受験生の正答率はいかがでしたか。
梶原先生 江戸の「八百八町」に対し、大坂の「八百八○」の○に入る言葉を漢字1字で答える問題です。問題文の「大坂は運河が発達した」ということから推測して答えた受験生もいましたが、正答率はずいぶん低かったですね。昔は当たり前のように使われていた言い回しが、今は全く通じなくなっていて、大人の常識と子どもの常識は違うと改めて痛感しました。
確かにこうした表現は聞かなくなりました。テレビドラマ「銭形平次」の主題歌に「花のお江戸は八百八町」が、村田英雄の「王将」に「うまれ浪速の八百八橋」という歌詞がありますが、いずれも昭和の歌です。
梶原先生 おじいさん、おばあさんと同居していると、昔ながらの言葉や古い言い回しを聞く機会があると思いますが、核家族が当たり前の現代はそうしたことがなくなったのだろうと思います。ですから、昔より現代の子どもの方が、大人との常識のギャップが大きくなっている、世代間の共通点が少なくなっていることを寂しく感じます。
サレジオ学院中学校
選挙に行く必要性を繰り返し説く
選挙権が18歳へ引き下げられれば、近い将来、選挙権を持つ高3もでてきますね。
梶原先生 生徒には、とにかく「選挙に行きなさい」と勧めています。若者が「どうせ投票しても変わらない」と諦めて意思表示しないと若者に厳しい政治になる、投票しないツケは自分たちに返ってきます。特に人口問題、年金など社会保障の問題を取り上げるときは、投票の大切さを口を酸っぱくして伝えています。
小川先生 私は高校の地理を教えていますが、授業の冒頭5分程度で、地理に関係ある・なしにかかわらず、その週のトピックに触れて世の中の動きを意識させるようにしています。
選挙のことも取り上げます。私事ですが、今年4月の地方選挙に引っ越しが重なりました。市町村をまたがって転居した場合、投票するためには一定の手続きが必要になります。そうした私の体験と併せて世の中の出来事を話すことで、生徒が少しでも興味を持ってくれればと思っています。
新聞を取っていない家庭もあり、生徒の「ニュース離れ」を感じます。そこで、高校は2時間連続の授業なので、授業の内容に関連する新聞記事の切り抜きを拡大コピーして黒板に掲示しておくと、生徒が休み時間に見てくれます。
梶原先生 朝の情報番組を聞き流す程度でも、通学のときに電車内ビジョンのニュースをぼんやり眺める程度でもいい。これからを生きる生徒たちが、世の中のことに無関心にならないでほしいですね。
サレジオ学院中学校 校舎
インタビュー2/3