出題校にインタビュー!
光塩女子学院中等科
2014年12月掲載
光塩女子学院中等科の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
3.やりっ放しにしない、失敗から振り返る習慣をつける
インタビュー3/3
ゼミ形式の授業でクラスで考えを共有
村上先生 私は現在、高2と高3を教えています。高3の授業はゼミ形式で行うことが多く、生徒に解き方をプレゼンテーションしてもらいます。
生徒の説明が足りない場合は、教員からどんどん質問するようにしています。質問されることで考えて、考えて、自分なりの考えを絞り出します。質問されて答えに窮したということは、その部分の理解が浅かったということです。それをクラス全員で共有し、各自が意識するようになります。ゼミ形式を経験すると、説明を補足したり、相手に伝えることを意識するようになるなど、答案の作り方が変わってきます。
典型的な解法とは別の解き方を考えようとしたけれど、途中で行き詰まってしまったので「ヒントをください」と質問してくることもあります。問題を解くだけで満足するのではなく、他のアプローチで解けないか、もっと簡潔な解き方はないかと探る、問題を掘り下げて考える姿勢がゼミ形式の授業を通して身につけてくれるとうれしいですね。
数学科/村上裕幸先生
添削指導は説明不足の理由を書く
村上先生 高2では「MATHEMATICAS CON ALEGRIA(MCA)」というプロジェクトを行っています。これはスペイン語で「数学を楽しもう」という意味です。希望者対象に、長期休暇を使っておもしろい問題を4題出題します。これはいくら時間をかけても構わないので、じっくり考えてもらっています。こちらが「なるほど」と思うユニークな解法もあり、答案を添削していて楽しいですね。
高3の演習でも添削はよく行っています。添削する際は、生徒の思考を意識して、説明不足の箇所を指摘するだけでなく、その理由も書くようにしています。なぜこの説明が必要なのかを示して、生徒が次の演習に生かせるようにしています。
今年度から特別講座を開講
村上先生 今年度から週6日制になり、水曜日の6時間目に新たに「特別講座」を設けました。数学の講座は「図形の証明」を取り上げます。図形問題は解法がいろいろあるので、授業で扱う問題よりも解き応えのあるものを取り上げて、1つの問題とじっくり向き合ったり、図形的なセンスを養う機会になればと思っています。
中2は1学期に、四角形を扱いました。希望制ですが、学年の約4分の1が受講しました。数学が得意な生徒ばかりではありませんでしたが、折り紙を使って手を動かして楽しく取り組んでいました。中1は3学期に三角形について取り上げる予定です。
講座はこの他に、漢文素読(中1~中3)や英会話(高2)などを用意しました。各教科様々な講座を設けています。
光塩女子学院中等科 校舎
習熟度別にしないメリットもある
村上先生 数学は理解度の差がつきやすいので、中2から習熟度別授業を行っています。苦手な生徒はまず基本的な問題が解けるようになることを目標にします。学習したところが練習問題でできるようになれば、達成感や成長を実感できます。「この考え方をしっかり理解して計算できるようにしよう」などと目標を明確にし、定期テストにおける達成度をチェックして、がんばる意欲につなげてもらうようにしています。得意な生徒はプリントなどで応用問題などを扱い柔軟な思考力を養っています。
中1も以前は習熟度別で授業を行っていましたが、クラス授業に戻しました。理解度が違う生徒が一緒に学ぶメリットもあります。「このように考えられる人がいる」「このように勉強に取り組んでいる人がいる」というように、数学が苦手な生徒は得意な生徒から学ぶことができます。一方、苦手な生徒が発した素朴な疑問が、より深く考えるきっかけになるなど得意な生徒も得るものがあります。中1は学習のリズム、生活のリズムを整えることが第一なので、中1は授業もクラス単位で活動するのがよいと思っています。
ミスした理由を文章化する
計算テストは中1~中3で定期的に行っています。できなかったところをそのままにしないように、しつこいくらい解き直しをさせます。解けるようになるまで解き直しをすることで確実な理解や、学習習慣が身につきます。
どこで計算間違いをしたのか、正確に計算するにはどうすればよいかを考えてもらおうと、直し用のノートには自己分析して書いてもらうこともあります。「両辺を2倍するところを片方だけしかしなかった」「文章を読み間違えた」など、間違いを文章化することで、自分のミスの傾向がわかりますし、同じようなミスの繰り返しを防ぐことにもなると思います。
失敗することは悪いことではありません。失敗から学ぶ姿勢は数学に限らずとても大切なことです。失敗を活かすことで成長につながりますから、そうした経験は社会に出てからも生きてくるのではないかと思います。
中学生には手を差し伸べますが、高校生は逆にやりすぎないように心がけています。高校生は自分で課題を見つけて自分でやらなければならない時期です。テストで思うような点数が取れなかったときは、何ができなかったのか、どのような勉強の仕方だったかを振り返ってもらいます。自分で課題を見つけて積極的に解決する、そんな姿勢を身につけてほしいと思います。
光塩女子学院中等科
インタビュー3/3