シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

光塩女子学院中等科

2014年12月掲載

光塩女子学院中等科【算数】

2014年 光塩女子学院中等科入試問題より

公園に右の図のような、1周の長さが1.8㎞の左回りの方向だけに進んでよい周回コースがあります。コースには、同じ間隔で3か所P、Q、R地点にベンチがあります。AさんとBさんは一緒にP地点を10時にスタートして、次のように進みます。

Aさんは、分速150mで走り続けます。
Bさんは、Q地点のベンチまで歩き、Q地点のベンチからR地点のベンチまで走ります。その後は次のベンチまで歩き、さらにその次のベンチまで走ることをくり返します。歩くときの速さは分速75mで、走るときの速さは分速150mです。

このとき、次の問いに答えなさい。

図:公園

(問)10時から11時までCさんはQ地点のベンチにずっと座って、通り過ぎる2人を見ていました。AさんとBさんをどの順に見ましたか。

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この光塩女子学院中等科の算数の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)

解答と解説

日能研による解答と解説

解答

A → B → A → B → A → A → B → A → B

解説

1周1.8kmのコースに等間隔でP、Q、R地点があるので、ベンチとベンチの間は、1800÷3=600(m)です。

  • 1800÷150=12(分)…Aさんがコースを1周するのにかかる時間
  • 600÷75=8(分)…Bさんがベンチとベンチの間を歩くのにかかる時間
  • 600÷150=4(分)…Bさんがベンチとベンチの間を走るのにかかる時間

10時から11時までに、AさんとBさんがコースを進んだ様子をグラフに整理すると、次のようになります。

グラフ:P地点から進んだ距離

グラフのQ地点に着目して、2人がQ地点を通り過ぎた順をとらえます。
すると、「A→B→A→B→A→A→B→A→B」の順であったことがわかります。

日能研がこの問題を選んだ理由

2人の人が進む様子を進行グラフに表して規則をつかむと、何分後であっても、ある地点を2人が通過した順を正確にとらえることができます。情報を加工して視覚化するチカラ、そして、視覚化したものから、さらに必要なことを読み取っていくチカラが求められています。このようなチカラは、これからの時代を生きていく子ども達にぜひ身に付けてほしいチカラであるといえるでしょう。

このような理由から、日能研ではこの問題を□○シリーズに選ぶことに致しました。