中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

光塩女子学院中等科

2014年12月掲載

光塩女子学院中等科の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.答えをどのように導いたか、記述問題で解答のプロセスを見る

インタビュー2/3

順を追って問題を解く力を求めたい

村上先生 多くの受験生が大問1〜3をスピーディーに解き、なおかつ得点できているので、大問4、5に時間をかけることができていると思います。大問4、5でしっかり手を動かして、考えてもらえるような作問を心がけています。

本校が入試で求める力としては、次の4つが挙げられます。(1)問題文を読んで条件を読み取る、(2)条件を整理する、(3)整理した条件からどんな式を立てるか方針を立てる、(4)確実に計算する、というように順を追って問題を解く力を試しています。数学は論理的思考が大事になりますから、入試問題で論理的思考につながる力を試したいと思っています。

この問題を含む大問のポイントは、Bさんの進み方を正しく読み取れるかどうかです。文章はさほど長くはありませんし、問題の条件も目新しいものではないと思います。しっかり読んで情報を整理できれば正解に近づけると思います。この問題を解く方針としては、まず「次の地点まで何分かかるのか」ということが必要だとわかるでしょうから、それを計算することから始めます。

本校は、例年グラフの問題を出題しているので、しっかり対策してきた受験生は得点できたのではないかと思います。

数学科/村上裕幸先生

数学科/村上裕幸先生

答えが妥当な数値かどうか気をつけよう

村上先生 計算力は中学でも計算テストで鍛えていますが、計算して出た数値が妥当かどうかは、小学生のうちから意識してほしいと思います。自分が出した答えが条件からはみ出ていたら「おかしい」と思う感覚、計算して出てきた値が何を示しているのかをとらえる「数のセンス」というのは必要な感覚です。

速さを教えていると、「秒速30m」というありえない答えを出す子どもがいますが、計算結果がそうだからと思うと子どもは思考停止してしまいます。

村上先生 自分の体験と関連づけられれば、おかしな数値に気づけると思います。例えば、体育の授業の短距離走のタイムから、人が走る速さがどれくらいかわかるはずです。買い物の割引など、実生活で具体的な数値に触れる機会はたくさんあります。算数は実生活の場面を題材にしていることが多いので、算数の「数のセンス」は、実生活で養えると思います。数のセンスは、例えば、売上の見積りを「概数でこれくらい」とイメージしたりデータを分析したりするなど、社会に出てから役に立つ機会が多いと思います。

数値を複数代入して情報を増やすと、規則性が見えてくる

算数から数学への移行を見据えて、入試問題で留意していることはありますか。

村上先生 取っかかりが難しい問題の場合、具体的な数値を複数代入してみます。こうして出てきた具体的な数値から規則性を発見する、具体から抽象への転換を入試でも経験してほしいと思っています。目新しい問題については、とにかく手を動かすこと。その結果、何らかの規則性が見つかったとき、今まで学習してきた知識を上乗せして考えます。

算数は答えを求めることが重視されますが、数学では答えを導くまでの過程を重視します。本校の入試は記述問題を比較的多く出題して考え方を見るようにしています。

どのように考えたのかを相手にきちんと説明する練習をして欲しいです。小学生は式の羅列になることが多いのですが、式を見ると考え方がある程度わかります。たとえ式が不完全でも、考え方が正しく書かれていれば点数を与えるようにしています。ですからできるだけ自分の考えを表現してもらいたいと思います。

光塩女子学院中等科 校舎

光塩女子学院中等科 校舎

社会に出たとき、自然と数学のスキルを発揮できるように

村上先生 社会に出て実際に数学の公式を使うかというと、多くの人は使わないだろうと思います。でも、課題に直面したときにどうやって解決するか、数学で身につけた論理的思考(問題解決力)を自然と使っているのではないでしょうか。実際は正解がないことの方が多いと思いますが、いろいろな角度からアプローチをして自分なりの答えを見つけていると思います。実生活で役立てられるような論理的思考力を、中高6年間で身につけさせたいと思っています。

インタビュー2/3

光塩女子学院中等科
光塩女子学院中等科1931(昭和6)年、スペインを発祥とするカトリック・メルセス宣教修道女会によって、かけがえのない自分に目覚めた女性を育てることを目的として、光塩高等女学校が設立される。47年に現在の校名に改称、高等科・中等科・初等科を設置。55年、幼稚園を設立した。2001年(平成13)に高校募集停止。
人間はすべて「世の光、地の塩」であるという真理が校名に刻まれているように、かけがえのない「自分」の存在に目覚め、惜しみなく己を他人のために開くことのできる人間に成長することを願う。年に数回個人面談があり、フランクに日頃思っていることを話し合う機会を設けており、教師と生徒、生徒同士、教職員同士の相互の「信頼感」に支えられた温かく密なコミュニケーションの雰囲気がある。生徒の真に主体的で、調和のとれた人格の発達を目指している。
白とレンガ模様を基調とした校舎は、施設拡充を積極的にはかったもの。地下には聖堂、体育館がある。校内は清楚で落ち着いた雰囲気。
1学年5~6名の教師が担当する共同担任制を採用している。一人ひとりの学力を伸ばすことを大切に考え、中学の英・数や、高校の英・数・理などでは習熟度別授業を実施。高2からは授業の5割を選択科目とし、生徒がそれぞれ自分の進路にあわせた時間割を組めるようにしている。小テストがこまめに行われ、漢字とスペリングは月2回、中1・中2の計算小テストは月2~3回ある。英語の教科書は『プログレス21』を使い、高2までにBOOK1~5を使用。自分で考え、分析する力の養成も重視し、国語や社会では「書く」機会を多く作り、高2の教養演習ではクリティカル・シンキングも取り入れている。難関大学への実績も好調で、理数系進学者は4割強。
高3まで、週1時間、倫理の時間を設けている。クリスマスやミサなど、宗教的な行事のほかに文化祭、林間学校、中・高が合同で行う体育祭、弁論大会などの学校行事があり、すべて学年単位で取り組み、学年ごとの結束が強い。創立当初から奉仕の精神を大切にし、ボランティア活動も盛んで、10月の親睦会はバザーとしての意味あいも強い。クラブ活動は体育系7、文系11あり、中高合同で活動し、学業と両立できるように、通常の1週間の活動日は2日以内だが、約9割の生徒が参加している。