出題校にインタビュー!
光塩女子学院中等科
2014年12月掲載
光塩女子学院中等科の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
1.「歩く」と「走る」を繰り返す条件をグラフ化するとどうなるか
インタビュー1/3
グラフの作図が合否を分けた
村上先生 算数では、「○時○分にどこにいるか」、「AさんとBさんはどれくらい離れているか」といった問題はよくあると思います。この問題は、Cさんという第三者の目(Q地点)でグラフを見る問題です。角度を変えて聞いたときに、受験生がどのようにグラフを読み取るのかを試したいと思いました。
グラフの読み取り問題は入試問題でよくありますが、このように、自分でグラフをかいて、そこから読み取るというのは新しい形式ではないでしょうか。この問題は大問の(5)、最後の問いです。(2)でグラフをかかせますが、作図は難しかったのではないでしょうか。
村上先生 この問題の正答率は、(1)は95%程度、(2)は50%程度、(3)と(4)は50%を少し下回りましたが、(5)の正答率も50%程度でした。この結果から、(2)を正解すると(5)まで概ね正解できたようです。逆に(2)で間違えてしまうと、それを(5)まで引きずってしまったと思われます。合格者・不合格者の正答率を見ると、(1)は両者とも高かったのですが、(2)で大きく差がつきました。(2)のグラフの作図は合否を分けた問題となりました。
数学科/村上裕幸先生
作図は条件を読み違えた間違いが多かった
村上先生 解答欄にはあらかじめAさんの進み方のグラフを提示しました。通常のグラフは1要素1本の線ですが、この問題ではAさんの進み方を表す線が5本あります。まるで鉄道のダイヤグラムのようになっていて見たことがないパターンだと思いますが、Aさんのグラフから、どのようにBさんのグラフをかけばよいか、つかんでもらうのがねらいです。
作図の間違いで多かったのは、条件を読み違えて、1周目の「歩く→走る→歩く」グラフと同じパターンを、2周目以降も続けてしまったことです。1周目のグラフをかいて、「同じパターンをかけばよい」と思ってしまったのでしょうが、条件は、「Bさんは『歩く』『走る』を交互に行う」ですから、2周目は「走る→歩く→走る」というグラフをかかなければなりません。
村上先生 次の問いの(3)で、「2人が一緒に『並んで』走る」とあります。例えば1マスずらしてグラフをかいてしまうと、並走している(グラフが重なる)箇所がないので、間違ってかいていることに気づきます。ところが、同じパターンのグラフを連続してかいてしまうと並走する部分があるので、条件の読み取り違いを引きずってしまいます。
問題の設定に入り込んで考えよう
この問題にはモデルとなった公園がありました。実際に問題中の図のような左回りの周回コースがあって、そこではジョギングとウォーキングを組み合わせてトレーニングしている人がいました。現実にありうる状況を設定したので、その設定に入り込んでグラフを見ると、この時間帯はAさんとBさんが並走しているとか、Q地点のベンチに座っているCさんの見え方など、状況がつかみやすいと思います。この問題のように、日常生活にあることをグラフや数式で表すことができることを知ってほしいですね。
光塩女子学院中等科
Cさんが最後に見たのはAさん? それともBさん?
村上先生 この問題の正解ではAさんを続けて見ることがあるのですが、AさんとBさんを最後まで交互に繰り返す誤答がありました。また、Bさんのグラフは4本入るのですが、すべて同じパターンでかいてしまうと3本だけになり、最後にBさんを見ないことになってしまいます。この間違いでは、ある時間帯でAさんとBさんが並走して(同じタイミングで)Q地点を通過してしまうため、それをどのように表現すればよいか迷った受験生もいたのではないかと思います。ここで「おかしい」と思った受験生は、グラフの作図の間違いに気づけたかもしれません。
インタビュー1/3