中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

鎌倉学園中学校

2014年11月掲載

鎌倉学園中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.「読む力」を磨くことが、国語としての読解力、理解力を深める近道。

インタビュー2/3

中学の国語では毎時間10分間読書で習慣づけを図る

授業で力を入れたり、工夫されたりしているところはありますか。

齊籐先生 授業は検定教科書を使って進めています。国語A、国語Bに分けていて、Aは教科書中心(現代文)、Bは古典中心で進めています。すべての題材に、独自に作っている授業プリントがあり、毎年、担当者の間で引き継ぎながら、それをもとに授業を行っています。

また、中学生は3年間、国語の授業の中で10分間読書に取り組んでいます。読む本は生徒自身が興味のあるもの、好きなものを持って来させています。長文読解が苦手な生徒は、教科書を読むのも嫌いなんですよね。ですから生徒の興味のあるところから広げていきます。学年によっては10分間読書ではまった本を友達に紹介する取り組みを行っていて、紹介文を書かせて、集めて、学年通信に掲載しています。ここ4、5年で、本を読む習慣がついたのではないかと思います。休み時間に本を読んでいる生徒がいることが普通の光景になりました。

国語科/齋藤先生

国語科/齋藤先生

受験対策においても文章を読む力がポイントに

最近、生徒の間で人気が高かった本はありますか。

齊籐先生 少し前になりますが、高校生の間で朝井リョウさんの「部活やめるってよ」がよく読まれていて、ここはこういう意味なのではないかと議論していました。

青瀬先生 男の子に本を読ませるのは難しいですよね。中学生の担当者はよく指導しているなと思います。読書は習慣づけが大事。まわりが読んでいれば自然と読むようになるので、そういう環境になったのは大きいと思います。

私は高校生を担当することが多いのですが、受験対策においても文章を読む力がポイントになります。中学生から高1くらいまでの間に、いろいろな方法で畑を深く耕しておいてもらえると、問題を解く上での引き出しも備わって「それを引っ張り出して考えればいいんだよ」と指導することができます。

今の生徒は不確かなことは発言したがらない

ここ10年ほどで、子ども達に違いは見受けられますか。

青瀬先生 今の子ども達は、きちんとつじつまが合わないと不安なんですよね。結果がハッキリしないと落ち着かないので、すぐにスマホやタブレットで調べようとします。だから提出物の多くが同じような文章になっていることがあります(笑)。「人が書いたものを写してなんになる」「つたない文章でもいいから自分で考えて書きなさい」と言うのですが、それができないのです。

高学年になると格好悪いところは見せたくないという思いが強く、授業中でも簡単に「わかりません」と言います。少しは自分の考えを持っているのですが、自信を持てないと発言しようとしないのです。

100%正しくなくてもいいんですよね。英文読解でも、全部単語がわかるわけではない。わからないところはわからないままでいい。つなげる力があればなんとかなるのですから、国語でも格好をつけないで、間違ってもいいから、自分の考えをアウトプットすることを習慣づけてほしいのですが…。「わかりません」と言うので、「お前にもなにか思うことがあるだろう」「考えていることがあるだろう」と、じっくり引き出しています。

建長寺

建長寺

高校の模試では、高入生より一貫生のほうが現代文の成績はいい

齊籐先生 入試問題を解いていても、どうしてその答えになるのか、ということより、まずその答えを知りたがる傾向はありますね。こういう問題が出てきたら、こう選べばいいんだという「解法」を知りたがります。こちらとしては、文章に戻って「この場合、ここがヒントになって、それぞれ見ていくとこうだよね」というように、プロセスを追いながら解く力をつけてほしいと思っているのですが、そういう面倒くさいことはしたくないという子が増えているような気がします。

一貫生と、高校から入学する生徒の間で違いは見られますか。

齊籐先生 普段から違いが見られるかというとそうでもないのですが、模試の成績などを見ると一貫生のほうが現代文の成績はいいですね。

青瀬先生 本を読ませているから、という単純なことではないと思いますが結果はいいです。公立校よりも時間をかけていますし、一定の基準を設けて、問題形式のプリントに生徒自身が書き込み、それをもとに議論するという授業が、毎年継続して行われているのは大きいと思います。

プリントを使って国語的な読み取り方を学ばせる

授業で使われるプリントの設問はどのようなものなのですか。

齊籐先生 B5のプリントで、5枚くらいあれば1問目は「語句を調べてきなさい」に始まり、「この主人公の性格を何ページ何行目までを読んでまとめなさい」「何ページ何行目にこんな記述がありますが、この時の僕の心情はどうだったのか説明しなさい」というような問いがずらっと並んでいます。選択肢ではなく、書かせる問題が中心です。

生徒はその問いを家で解いてくるのですか。

齊籐先生 その場合もありますし、授業中に配ってやらせる場合もあります。

書く量は多いのでしょうか。

齊籐先生 一言で終わる子もいますが、まじめな子は結構書いていますね。そのプリントを通して、国語としての読み解き方を習得できると思うので、しっかり取り組んでほしいと思っています。定期試験では、そのプリントと同じ問題は出しません。同じことを聞くにしても違う聞き方をします。

登場人物にAさん、Bさんがいたら、プリントではAさんの視点でしたが、試験ではBさんの視点で聞くなどの工夫をされているということですか。

齊籐先生 そうですね。問題を解説する時に、必ずBさんの心情についても触れて、板書し解説しますので、プリントを丸暗記しても試験で点数は取れないようにしています。

鎌倉学園中学校 先生

鎌倉学園中学校 先生

大学受験対策では漢文を重視

一言しか書かない子は、やはり話す力も不足しているのでしょうか。

齊籐先生 どちらもコミュニケーションなのでそう感じます。だから対話をしながら、その子が思っていること、考えていることをできるだけ引き出すことを心がけています。

青瀬先生 最終的には、読解力、理解力が不足している生徒もセンターレベルまで引き上げなければいけません。それはまた違う方法になります。たとえば漢文ですよね。理系の国公立クラスを作りますが、そのクラスの生徒には高1から高2の途中あたりまでに漢文の力をつけてあげて、その後は理系の勉強に専念させたいと考えています。

齊籐先生 それは国語科の中でも話をしていて、いつ、どの段階から始めればいいのかを話し合っています。鎌学セミナーなどの時間を使って、そういうことができたらおもしろいのではないかと考えています。

小論文対策は課題文の要約に力を入れている

小論文対策はどのように行っていますか。

齊籐先生 高3の自由選択授業として行っています。教員1人に対して10人前後のクラスが、毎年4、5クラスできます。今年は私も担当しています。評論を100字に要約することから始めて、1学期の終わり頃から大学の入試問題に取り組み、高3の秋頃からようやく形になってきました。大学入試の小論文には課題文があり、それについていくつかの問いがあったり、自分の考えを求められたりしますが、どちらにしても、課題文を踏まえなければなりません。つまり要約が重要なので、高2までに現代文をある程度やってきた子は、後半になって練習すれば、ある程度カタチになります。中学時代 に作文を書かせたり、要約させたり、先生によっては社説の書き写しをさせたりしていますが、一番大切なのはやはり読む力だと思います。

青瀬先生 日常の中で新聞、小説、雑誌など、なんでもいいので読みながら見通しを立てたり、全体の流れを見て、山場をつかんだりする力を養ってほしいと思っています。

建長寺

建長寺

インタビュー2/3

鎌倉学園中学校
鎌倉学園中学校鎌倉五山の第一刹建長寺が、宗派の師弟教育のため設立した「宗学林」を前身とし、昭和22年(1947年)学制の改革により法人名を鎌倉学園とし、鎌倉中学校と鎌倉高等学校が併設されました。、「質実剛健」の武士の魂と、「自主自律」の禅の精神を現代に受け継いで、知・徳・体のバランスのとれた教育を目指しています。校訓は『礼義廉恥』で、教育のモットーである『文武両道』は、今までも、そして未来へと鎌倉学園が追い求めていく姿です。
礼義廉恥を校訓としての人材が育成されています。「礼義廉恥」とは、中国の古典「菅子」という書物の中に出てくる言葉からとられたもので、「礼」とは「節度を守ること」。「義」とは「自分を実際以上に見せびらかさないこと」。「廉」とは「自分の過ちを隠さないこと」。「恥」とは「他人の悪事に引きずられないこと」。教育目標は、父の厳と母の慈を根本として、知徳体一体の教育を行うことです。殊に現代社会の進歩に適応できるように進路指導を特に重視し、適性・能力に応じて指導をすると共に、生徒会活動・クラブ活動・ホームルーム等を通じて、社会の一員として理想的な生活態度を養い、情操豊かな人間の育成に努めてきました。校風は、豊かな宗教的環境の中で、学校全体が家庭的友愛精神に結ばれ、誠実の気風に満ち、生徒達は明朗な生活を楽しんでいます。
生徒の学力と適性に応じた指導や基礎学力の充実に重点をおいた指導が心がけられており、英語、国語、数学、理科、社会等基本科目はもとより、国際化に向けた「話せる英語」の修得をめざし、外国人教師による英会話プログラムを実施、年一回の英語検定も行っています。土曜日には「鎌学セミナー」3時間と通常授業1時間の授業が行われます。「鎌学セミナー」とは、国語・数学・英語の特別授業のことで、通常授業とは一線を画した1回完結の内容となっており、多角的な視点から学力の向上を図ります。
広大な建長寺の境内に隣接して建つ鎌倉学園。静寂な環境の中、集中して自己研鑽に励むことができます。古都鎌倉との調和を図りながら整えられた教育環境に包まれ、日々の生活の中で四季の移り変わりが感じられます。