出題校にインタビュー!
鎌倉学園中学校
2014年11月掲載
鎌倉学園中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
1.覚えるだけではいけない。引き出しを探り、考える力をつけよう!
インタビュー1/3
受験生には難しい問題だった
青瀬先生 作問の意図は「解答と解説」に書いてくださったとおりです。大問5は、受験生が持っている知識で解けるような単純な問題だと差がつかなくなってしまいます。慣用句やことわざを単純に出題したら正答率が90%を超えますからね。ですから、いつも工夫を凝らしたいと思って作問しています。引き出しを探り、考える作業ができる問題ですね。
一見、手をつけたくなる問題ですが、やってみると意外と難しいですよね。
齊籐先生 1番の正答率は78%でした。これはよくできていましたが、2番は19%、3番は23%、4番は32%、5番は25%と、その他は低く、全体を通すと4割前後でした。
青瀬先生 入試問題としては、もう少し正答率が高くなる問題になるとよかったと思います。特に一次の問題で、国語は1番最初の試験なんですね。漢字(大問1、大問2)から入り、次に大問5へ進む受験生が多いと思いますので、そういう意味でももう少し正答率が高い問題のほうがよかったのではないかという反省をしました。
国語科/青瀬先生
字数は問題を解く一つの手がかり
この問題はどのようにして思いついたのですか。
青瀬先生 体を使った言葉をリストアップし、対義語がいくつかできることに気づきました。問題にできるかもしれないと思ったので、候補をなるべくたくさん作り、5つに絞り込みました。字数を示したのは、手がかりがないと言葉が浮かばないと思ったからです。
字数が明確になっていることで、思い出す手がかりにもなりますし、これかなと思った時に、字数が合っていると安心しますよね。
青瀬先生 そうですね。受験生も、言葉を思いつき、字数が合っていたときに、うれしい!いける!と思えたのではないでしょうか。
できない子は空欄が多いのですか。
青瀬先生 そうですね。対義語なので、適当な答えは書けない問題だと思います。
入試問題は無難にまとめざるを得ない
青瀬先生 大問3、4の長文読解も問題づくりが難しいです。
例えばどのようなところで苦労しますか。
齊籐先生 大問3は物語文です。作品の中から出したい部分を決めて、問いを作り、選択肢を作って持ち込み、国語科の中で意見を聞くのですが、人によりさまざまな読み取り方があります。「こういうふうに読み取る子もいるのでは?」と指摘され、「確かにこの選択肢だと答えが2つになるな」と考えさせられることもあるので、設問の仕方を検討したり、選択肢を変えたりしながら、1問、1問、丁寧に問題を作っています。
青瀬先生 僕らはおもしろい問題を作りたいのですが、何人かで集まり、意見を出し合うと、「そこまで踏み込んでいいのか」という疑問が必ず出て、無難な方向にいかざるを得なくなります。
齊籐先生 長い小説は、一部分を切り取って問題を作りますよね。そこだけを読んで解ける問題にしなければならないのですが、作問者はその前後も読んでいるので、先入観があり、そこを調整するのが難しいのです。
選択肢も、まったく外れているものは出せません。ここまでは合っているけれど、この先は違うという作り方をするので、ざっくり見ればみんな合っているのです。作り手は物語をすべて読んでいるので「これしかない」とわかるのですが、問題文として切り取ったところだけしか読んでいないと、それがわからないことがあります。そのため選択肢を調整するのは珍しいことではありません。
鎌倉学園中学校 校舎
少年が主人公の作品を取り上げる傾向が強い
作品選びにルールはありますか。
齊籐先生 入試問題によく取り上げられる、有名作家の作品は避けます。最近の作品を出すこともありますが、積極的には選んでいません。そのくらい、ざっくりとしたルールの中で選ぶため、作問者の好みは出やすいですね。僕らが出題作品のリストを見て、この文章はあの先生が好きそうだなと思うと、たいてい当たっています(笑)。
青瀬先生 持ち込まれた作品を、複数の先生で見合って検討しますが、最優先は問題ができるかどうかです。文章がよくても、問題が作れないぞという文章もあるので、そこを見極めてみんなが賛成すれば半分はできたようなもの。あとは技術的な作業になります。問題文選びが一番重要です。
結果的に見られる特徴で、思い当たることはありますか。
齊籐先生 主人公が少年で、事件が起きて…。
青瀬先生 なるべく複数名が絡んで…という作品ですね。たまに女の子が主人公の場合もあります。
インタビュー1/3