中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

吉祥女子中学校

2014年06月掲載

吉祥女子中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.問題解決のために何らかの行動を起こせる人になってほしい

インタビュー3/3

公民科は人間教育としての側面も担う

岡田先生 中学は時間的にゆとりがあるので、夏休みのレポート作成(中2・中3)やディベート、新聞ノート作り、新聞記事の発表など、課題や発表が多いのが特徴です。レポートは、中2は博物館を見学して得た知見をまとめ、中3は新聞記事から気になるテーマを取り上げて深掘りします。レポートから生徒の興味・関心やこだわりが伝わります。

中1・中2は地理と歴史を並行して学習します。中3の公民では高校の現代社会の副教材を併用し、高1で中3の学習を引き継いで政治・経済を学習することで、中3から高1にかけて重複することなくこの分野の学習を完成させていきます。

高2の倫理では自ら生き方に対する内省力の育成に力を入れます。学期ごとに「愛について」など大きなテーマでレポートを課しています。これは小論文の練習にもなります。

また本校の公民科は、人間としての自立を手助けするよう人間教育としての側面も担っています。女子教育に携わる立場として女性の権利の獲得を啓発する使命が、社会科、特に公民科にあると考えています。

吉祥女子中学校 先生

吉祥女子中学校 先生

相手の価値観を認め、リーダーにもフォロワーにもなる

岡田先生 本校は校是にある「互いの価値観を認める」ことを重視し、リーダーシップとともにフォロワーシップも大切にしています。いつも同じ生徒がリーダーになるのではなく、いろいろな場面でリーダーとフォロワーが入れ替わるようであればよいと思っています。生徒を見ていると、互いの意見を尊重し合い、譲歩や主張のバランスを取りながら、文化祭等の学校行事の決めごとをうまくまとめているように思います。

進路選択は文系・理系同様、『芸術系』も

若杉先生 本校は理系が45%で全体のほぼ半数を占めます。また、毎年東京芸大をはじめ芸術系への進学者も一定数いる(7%)点も特徴だと思います。以前から「芸術コース」を設置しており、完全中高一貫になってからも高2で文系・理系を選ぶように、芸術系を選択できるようになっています。

学校生活の中で音楽や美術など芸術系の生徒の活動を発表する場が日常的にあることや、中1からお互いのよさを認め合う雰囲気の中で過ごしているため、芸術系の進学もごく自然のことと受け止められています。

進路・進学に関しては、中1から学年ごとのテーマに沿ったプログラムを組み、各自が自分の周りの環境や仕事について調べて、調べたことをその都度発表する場を設けています。高2に進級する際にどの系を選ぶかについては、ある程度自分でよく調べて学んだ上で選択しているので、そこで迷う生徒はあまりいません。

手取り足取り教えるわけではありませんが、選択に必要と思われる情報を与えたり、考え方のアドバイスをしたり、卒業生や社会人の講演会等を頻繁に行っています。現在活躍されている講演者の高校時代と、実はさほど変わらないことに気づけば、「私もできる!」と進路を前向きに考えてもらえるのではないかと思っています。

数学/若杉 晴彦先生

数学/若杉 晴彦先生

現代社会の問題の本質を見抜く力を養いたい

岡田先生 大学受験は、文系は日本史か世界史を選択する生徒が多いですが、「日本史か世界史か」という狭い視点にとらわれずに、分野を超えて自分自身で問題を発見して解決する力を身につけさせたい。現在、世の中で起きている出来事について、その背景に目を向けられること、そして問題解決のために何が必要かを考える力を養いたいと思っています。

例えば、新疆ウイグル自治区の自爆テロの背景には何があるのか。中国が東トルキスタンやチベットを併合したことは世界史で習いますが、事件のニュースを見たとき、その本質がわかるかどうか。ウクライナの問題も然りです。

教科書で学んだことを、現代の問題解決に活かしてもらいたい。最終的には、問題意識を持てる、問題の本質を見抜ける力を持ってほしい。地理、歴史、公民のすべての知識を総動員して、問題解決のために何らかの行動を起こせる人になってほしいですね。

インタビュー3/3

吉祥女子中学校
吉祥女子中学校1938年(昭和13)年に、地理学者の守屋荒美雄が創立。2007年(平成19)年より高校募集を停止し、完全中高一貫校となる。
「教育とは捧げる心、思いやる心、微笑む心」という設立者の言葉を心におき、「社会に貢献する自立した女性の育成」を目指している。なでしこの花を型どった校章には、「清く、美しく、強く、正しく」育つようにと願いが込められている。
教科指導では、知的好奇心に訴えかける学習指導を展開。国語の調べ学習、社会科のディスカッション、保健体育科での「性とは生である」の理念に基づく研究発表など、自分を表現する機会がたくさんある。理科の実験レポートでは、レポート作成の基礎から完成まで丁寧に指導。理系・医学部への高い進学実績へと結びついている。英語は中学1年~高校1年で『ニュー・トレジャー』Stage1~3、数学は『体系数学』などハイレベルなテキストを使用。高校3年では、受験対策学習に力を入れ、高い進学実績を上げている。高校2年生・3年生では、文系・理系・芸術系のクラス編成になる。2012年より、国公立大学志望者の増加に合わせて、高校2年生までは文系を国公立・私立に分けず、高校3年生で分けるようにした。
アメリカ、オーストラリア、カナダ、中国、韓国に姉妹校があり、語学体験で訪問するほか、1年間の留学制度もある。中学の音楽ではバイオリンが必修となっており、課外授業ではピアノや日本舞踊などが学べる。クラブは、弓道やサッカー、ソフトボール、テニス、陸上などが活躍。ボイスレスパフォーマンスは声のない演劇を行う珍しいクラブ。
図書館の蔵書数は6万8000冊で、CDやDVDなども充実。八王子には、運動会や部、クラブの練習や合宿で利用するキャンパスもある。