中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

吉祥女子中学校

2014年06月掲載

吉祥女子中学校【社会】

2014年 吉祥女子中学校入試問題より

屋久島と種子島では、次の表からわかるように、降水量において大きな違いがあります。二つの島はすぐ近くに位置しているにもかかわらず、屋久島では、なぜこれほど雨が多くなるのでしょうか。その原因について、地図から読み取れることをふまえて1行で説明しなさい。

吉祥女子中学校 地図

 屋久島種子島
平均気温(℃) 19.4 19.6
降水量(mm) 4477.2 2345.0
日照時間(時間) 1530.5 1804.2
1mm以上の降雨の日数(日) 162.8 126.1

(気象庁ホームページ資料より作成)
※数字は1981~2010年の平均値です。

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この吉祥女子中学校の社会の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、出題意図についてのインタビューを見てみましょう。

解答と解説

日能研による解答と解説

解答例

屋久島は標高差が大きく、湿った風が山にぶつかり、雨が多くなるから。

解説

地図から読み取れる2つの島の最大のちがいは、山の険しさです。この地図は等高線ではなく陰影で標高の高さを表現しています。この陰影から屋久島は種子島に比べて谷が深く山がちであることがわかりますし、島の中央にそびえる宮之浦岳は数値を読み取ると2000メートル級の山であることもわかります。

ここで、山と雨の関係についてあらためて考えてみましょう。冬の季節風が越後山脈にぶつかって新潟県に大量の雪を降らせることや、中国山地や四国山地が季節風をさえぎるために瀬戸内地方の降水量が年間を通じて少なくなることなどは知っていますね。同じことを屋久島にもあてはめて考えてみましょう。屋久島では、湿った風が吹いてきたときに山にぶつかって雨を降らせるのに対し、高い山のない種子島では湿った風が通りすぎていってしまうと推測できます。

日能研がこの問題を選んだ理由

山地と降水量の関係は、気候について学ぶときに必ずふれる内容だといえます。しかし、「冬の季節風と越後山脈の関係」といった、わかりやすい地域に特化して学ぶことが多く、屋久島と種子島にその関係をあてはめて考える経験は、ほとんどの受験生にとってそれまでにないことだったのではないでしょうか。

あることがらに見られる関係を一般化して、他のことがらにもあてはめる力は、社会科に限らず学ぶ上で非常に大切な力です。なぜ湿った風が山地にぶつかると雨が降るのかということを、しくみの上でも理解していないと、なかなか「一般化する」ことができず、「屋久島の降水量については習っていないから」として、考えることをやめてしまうかもしれません。

この問題は、学んだことを、学んだときの形のまま問うのではなく、新たな状況にあてはめて考え、しかも簡潔に文章で表現することを求めています。子どもたちの力を多面的に試すことができるという意味でも興味深い設問だといえます。

このような理由から、日能研ではこの問題を□○シリーズに選ぶことに致しました。